永住者と在留カード

2023.01.05

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永住して日本社会に溶け込んでいても、帰化して日本国籍を取得しない限り、外国人であることには違いありません。永住者は在留資格を更新する必要がなくなりますが、日本に住んでいる他の外国人と同様に、在留カードを常に携帯していなければなりませんし、7年ごとには更新しなければなりません。

永住者になっても切り離せない在留カードとの関係について、基本的なところを解説します。


■在留カードの携帯義務違反には、罰則がある

在留カードは外出などをするときに、常に携帯しておかなければなりません。もし、入国審査官や警察官などから、提示するよう求められたときには、いつでも提示しなければならないのです。この義務は、永住者や高度専門職2号ビザの外国人のように、在留資格の期限がない人であっても例外ではありません。

もし、在留カードを携帯していなかった場合は、最高で20万円の罰金、携帯していても提示を拒否した場合には、最高で懲役1年が科されるおそれがあります。たとえ罰金であっても前科がつきますので、お金を払うだけでは済みません。くれぐれも注意してください。

携帯義務が免除されるのは、手続きのため在留カードを行政書士に預けているタイミングなど、やむをえない場合に限ります。


■永住者の在留カードの有効期限は7年

在留資格を更新する必要がない永住者であっても、在留カードは定期的に更新しなければなりません。矛盾しているように思えますが、本人を写した証明写真が古くなりすぎて、人相が変わってしまい、証明書としての機能を果たさなくなってしまうことを防ぐ目的もあります。

在留カードの有効期限更新の手続きでは、一般の外国人が在留資格を更新するときのようには、厳しく審査されることはありませんし、数か月もかかることはありません。原則として、その日のうちに新しい在留カードが発行されます。

永住者の在留カードの有効期限は、7年間です。有効期限満了日の2か月前からカードの更新手続きを行えます。ただし、出張や留学のため、長期間日本を離れて生活しなければならず、申請期間内に日本へ再入国することができない事情があるなど、やむを得ない場合は、特別に有効期限満了日の2か月前よりも早い段階で在留カードの更新手続きが可能です。


■永住者の在留カード有効期限更新の手続き

手続きを行う窓口は、住居地を管轄する地方出入国在留管理官署です。札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・高松・福岡の他、全国各地に支局や出張所があります。有効期限更新の手数料は無料です。新しいカードは、原則として即日交付されます

必要なものは「在留カード有効期間更新申請書」と「在留カードの原本」「パスポート」「証明写真1枚」です。もし、パスポートを持参できない場合は、その理由書を書いて提出してください。証明写真は、縦4cm×横3cmで、3か月以内に撮影したものでなければなりません。申請書に貼る前に、写真の裏面に申請者の氏名を記載しておきましょう。

また、在留カードに記載される氏名は原則としてアルファベット表記ですが、もし漢字表記の氏名の併記を希望する場合は、追加で「在留カード漢字氏名表記申出書」を記入し、提出します。

更新手続きには、申請者本人が出頭しなくても、依頼によって申請人本人と同居する16歳以上の親族が代理人として出頭し、完了させることができます。その場合は、申請人との関係を証明する資料(住民票など)や在留カードのコピーを持参してください。

在留カード有効期間更新申請書には、国籍・地域、生年月日、氏名、性別、住所地、在留カード番号などを記入します。申請書はご自分でデータをダウンロードして、A4用紙に印刷したものを使っても有効です。

在留カードに漢字氏名の併記をしてもらいたい場合に提出する「在留カード漢字氏名表記申出書」には、国籍・地域、生年月日、英字氏名、性別を記載した上で、在留カードに記載を希望する漢字氏名を大きく、はっきり書いてください。また「在留カードに記載される漢字の範囲・用法は法務大臣が告示をもって定めるものになりますので,旅券等又は申請書に記載した漢字と異なるものになることがあります」という注意書きに、同意のチェックを付けます。在留カードには、日本で一般的に使われている漢字しか使えないからです。

また、本国において氏名に漢字が使用されていることを証する資料の提出も必要ですが、パスポートのコピーで十分でしょう。事実上、中国や韓国、台湾、香港に籍を置いている永住者しか、漢字氏名の併記は使えません。なお、漢字氏名の併記を希望すると、在留カードの再発行と同じ手続きとなりますので、手数料として1,600円を用意してください(2022年現在)。

もし、在留カードの有効期限を過ぎても更新を忘れていれば、出国後に日本へ再入国できなくなるリスクが伴いますし、入管法の規定に基づき、最高で懲役1年の罰則が適用されるおそれもあります。平日が忙しくて、どうしても更新手続きに行けない場合は、同居の親族に代理を頼むか、永住手続きに詳しい行政書士に相談してください。