日本の永住者が日本に帰化する場合の手続きと、メリット・デメリット

日本の永住者とは、事実上、在留期限がなく日本に住み続けられる外国人です。就労ビザで入国していて仕事内容が指定されている外国人と異なり、永住者は仕事内容の制限もありません。もはや日本人と同等と言っていいほど、国内でかなり自由に活動できるのも確かですが、永住者としての地位を捨てて、あえて日本に帰化しようとする外国人もいます。


■日本の永住者が日本に帰化する理由

永住者は、あくまでも外国人という立場で日本に滞在し続ける在留資格です。よって、犯罪が発覚したり、政府などにマークされたりするなどして、強制的に国外追放され、日本に二度と入国できなくなるリスクがあるのも事実といえます。

外国人としての氏名のまま、日本に滞在し続けると、様々な差別的な取り扱いや言動を受けてしまうこともありえます。大和民族を中心とした閉鎖的・排他的な文化がまだまだ抜け切れていない日本では、多様性の考え方が浸透し切れているとはいえず、外国人である間は、差別によるトラブルを完全に避けることはできないかもしれません。

また、融資・ローンを受けるにも、日本の金融機関による外国人の扱いは残念ながらかなり冷淡です。外国人のままでは選挙で投票や立候補もできませんし、公務員にもなれません。

よって、すでに日本に永住する資格がある外国人でも、日本に帰化する決断をすることがあるのです。世界でも入国が許可される国の数が最も多いとされる(2021年現在)日本のパスポートを取得できるのも帰化のメリットです。

ただし、デメリットもあります。日本では二重国籍が認められていませんので、帰化によって日本国籍を取得するのと引き換えに、今までの祖国の国籍は捨てなければなりません。祖国の家族や友人に会いに行くとしても、祖国にとっては外国人の入国になりますので、審査が今までよりも厳しくなります。場合によっては入国拒否や制限を受ける場合もありますので、その点はデメリットといえるでしょう。

また、永住者になる手続きにも、手間がかかる手続きや審査があったはずなのですが、帰化をするときにも、その申請でさらに厳しい審査があり、大量の書類の収集など改めて手間がかかります。こうした二重の手間がかかる点も永住者による帰化のデメリットとして挙げることができます。

  • 日本の永住者の帰化が認められる条件

永住者だからといって、帰化の条件が特に緩められたり、例外規定や特別規定が設けられていたりすることはありません。つまり、永住者は他の外国人と比べて容易に帰化できる「簡易帰化」の対象ではないのです(特別永住者は除く)。

ただし、帰化は法務局の裁量によっても決まるため、すでに永住者として日本で長年にわたって平穏に住んでいるという事実が、帰化の許可の判断を得るために有利に働くことは十分にありえます。

改めて、帰化の許可が出る条件を挙げておくと、次の通りです。

【住居要件】

日本に5年以上引き続き、住所を有し、そのうち3年以上の就労経験があること。永住者であれば、大半の人がこの要件を満たしているでしょう。

【能力要件】

18歳以上であること。ただし、18歳未満でも保護者とともに有効に申請できます。

【素行要件】

日頃の行いが善良であると認められること。犯罪歴がないことも大事ですが、税金や社会保険料などの未納・滞納がないことも重要です。

【生計要件】

自己または生計を共にする配偶者やその他の親族の資産や収入によって生計を営むことができることが求められています。

【喪失要件】

日本国籍の取得によって、原国籍を失うべきこと。

【日本語能力】

基本的な日本語能力が必要となります。およそ、日本語能力検定のN3相当の読み書きができれば十分なので、そこまで高度な語学力は求められていません。


■永住者が、帰化するまでの流れ

永住者が帰化するために求められる手続きも共通していますので、他の外国人に比べて簡略化されていることはありません。

【法務局(地方法務局)への相談】

法務局に事前予約して、職員に帰化申請の相談を行います。上に挙げた要件を満たしているかどうか、簡単にチェックされ、問題がなければ必要書類について伝えてもらえます。

【帰化申請に必要書類を集めたり、作成したりする】

祖国に問い合わせたり、国内の役所で発行申請したりするなどして、本人の個人情報を証明する書類を取り寄せて準備します。外国語の書類は日本語に翻訳しなければなりません。また、申請書類に必要事項を記載します。

これらが揃ったら、法務局に提出しましょう。

【面接】

数か月ほど経ったら、法務局から面談の連絡が入りますので出頭しましょう。日本人の結婚相手がいる場合は、一緒に面接が行われます。

この他、必要に応じて近隣調査や家庭訪問、職場訪問などが行われ、提出した書類通りの生活実態があるかどうか、審査が実施されます。問題がなければ、正式に帰化の許可が出て、日本国籍を取得する流れとなります。

記事の監修者

Eight Links行政書士事務所 代表 蜂須賀 昭仁

Eight Links 行政書士事務所 所長
蜂須賀 昭仁

2016年9月〜
VISA専門行政書士事務所
「Eight Links 行政書士事務所」を開業
専門分野 外国人在留資格申請、帰化許可申請
外国人の在留資格申請を専門分野とし
年間500件以上の相談に対応

講師実績
広島県行政書士会国際業務協議会 担当講師
中華人民共和国遼寧省鉄嶺市(外国人会社設立・経営管理)についての講師

詳しいプロフィールを見る

運営HP
広島外国人ビザ相談センター
https://hiroshima-visa.link/
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