特別永住者(在日韓国人・在日朝鮮人)が帰化申請するときの注意点

外国人が日本に帰化した件数は、2021年の法務省の統計において8167人で、そのうち3564人が韓国籍・朝鮮籍の外国人でした。そのうち、かなり大きな割合が特別永住者による帰化であると考えられています。

つまり、日本で特別永住者の帰化はメインストリームになっているのです。では、特別永住者が日本に帰化する場合において、注意すべき点はないのでしょうか。


■特別永住者の帰化申請の難易度は?

特別永住者とは、いわゆる在日韓国人・在日朝鮮人が特別に認められている在留資格のことです。1991年に施行された「出入国管理に関する特例法」によって新たに創設されました。2021年の時点で、特別永住者の人口は約30万人で、そのうち半数近くが大阪・京都・兵庫の関西3府県に集中しています。

1910年に日本が韓国を併合したことをきっかけに、韓国人にも日本国籍が与えられ、朝鮮半島から日本列島へ多くの人々がやってきて、定住するようになります。1945年に日本が戦争に負け、サンフランシスコ講和条約によって朝鮮半島が日本の主権から切り離されるようになり、韓国にルーツがある人々の日本国籍もなくなりました。

しかし、35年あまり続いた日本の韓国併合の間に世代が替わり、朝鮮半島で暮らしたことがない韓国人が増えていったため、引き続き住み慣れた日本で暮らし続ける決断をした人も少なくなかったのです。彼らが在日韓国人・在日朝鮮人であり、このような状況を作った戦前の日本政府にも歴史的な責任があるものとして、特別永住者という在留資格を正式に認めるようになったのです。

そして、特別永住者の中にも、日本社会で暮らし続けるための便宜など、様々な事情から日本に帰化しようと考える人がいます。


■特別永住者は、簡易帰化の対象

特別永住者は、そのほとんどが「日本で生まれた者で引き続き3年以上日本に住所・居所を有し、またはその父か母(養父母を除く)が日本で生まれた人」か「引き続き10年以上日本に居所を有する人」(いずれも国籍法の条文より)であり、原則として5年と定められている帰化の住居要件が緩和される、簡易帰化の対象になります。

特別永住者の帰化申請は、過去に重い罪を犯したことがあるなど、よほど問題がある場合を除いて、ほぼ許可される運用です。日本の公務員になりたいという特別永住者もいますし、就職や進学を機に日本風の氏名に変更したいとか、日本の友達と違うパスポートで海外旅行に行くのに抵抗があるなど、帰化の動機は人それぞれです。

なお、特別永住者の帰化申請では、帰化の動機書の作成や提出が免除されています。


■手続きについての注意点

まず、特別永住者でも「韓国語・朝鮮語がわからない」という方がかなりの割合でいらっしゃいます。帰化申請にあたっては、母国から様々な書類を取り寄せなければならないので、その心配をする気持ちも理解できますが、すべて日本にある韓国領事館で手続きを行うことができますので、使うのは日本語のみで問題ありません。領事館から遠い地域にお住まいの方は、郵送で請求することもできますし、行政書士などの専門家に依頼することも可能です。郵送請求の場合、書類が手元に届くまで1か月以上かかることがあります。

ただし、母国から集めてきた書類はすべて日本語に翻訳しなければなりません。韓国語がわからない場合、個人的に翻訳家・翻訳会社に依頼するか、翻訳家と提携している行政書士事務所に相談するかで解決できます。日本語に翻訳した書類には、翻訳家本人の署名と捺印が必要です。

また、韓国に兵役があるため、兵役を終えなければ帰化できないのではないかと心配する方もいます。確かに、兵役義務がある国の男性は、兵役を終えなければ国籍の離脱が認められないので、日本に帰化することができません。つまり喪失要件を満たさないのです。しかし、日本で生まれた在日韓国人の方に兵役義務は及びませんので、そのまま帰化申請をしても問題ありません。

なお、在日朝鮮人(朝鮮籍)の方は、韓国領事館で手続きをすることができません。現在の北朝鮮と日本に国交がなく、北朝鮮の大使館や領事館が日本に置かれていないためです。よって、母国から必要な書類を取り寄せることが事実上不可能となることがほとんどとなります。

この場合は、日本国内で極力、集められる資料を集めたら、それ以外の提出は免除とされる運用が多いです。そのぶん、事実関係の裏付けのため、通常よりも多めの書類が要求されることになり、手間もかかりますが、朝鮮籍の特別永住者でも問題なく帰化の手続きを進められるのです。不明な点や手続きで大変なところがあれば、帰化や在留資格の手続きで経験豊富な行政書士にご相談ください。

学校や職場に、在日韓国人・在日朝鮮人であることを明かさずに在籍している方も少なくありません。その場合、学校や職場に気づかれないように帰化申請の手続きを進めることも可能です。法務省側の担当官に、前もってその旨を伝えれば配慮してもらえます。

記事の監修者

Eight Links行政書士事務所 代表 蜂須賀 昭仁

Eight Links 行政書士事務所 所長
蜂須賀 昭仁

2016年9月〜
VISA専門行政書士事務所
「Eight Links 行政書士事務所」を開業
専門分野 外国人在留資格申請、帰化許可申請
外国人の在留資格申請を専門分野とし
年間500件以上の相談に対応

講師実績
広島県行政書士会国際業務協議会 担当講師
中華人民共和国遼寧省鉄嶺市(外国人会社設立・経営管理)についての講師

詳しいプロフィールを見る

運営HP
広島外国人ビザ相談センター
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