永住権の審査期間はどのくらい?審査期間を長引かせないための方法も解説!

永住ビザ(永住権)は外国人材に無期限の在留を認める在留資格です。一度許可を出すと取消しが困難であることから、永住ビザの審査は慎重に行われる傾向にあり、審査期間も長めになっています。
本記事では、日本における永住ビザの審査期間の実態のほか、永住ビザの審査期間が長い理由について解説します。永住ビザの審査を長引かせないための方法についても解説するため、参考にしてください。
永住権の審査にかかる時間はどのくらい?
出入国管理庁によれば、永住ビザの審査期間(標準処理期間)は4カ月〜6カ月とされていますが、近年は大幅に長期化しています。
実際、同庁がまとめた在留審査処理期間(日数)によれば、在留資格「永住者」の審査終了までの日数は274.4日、処分(告知)までの日数は313.8日となっています。つまり、永住ビザの審査では、標準処理期間と実績値に大きな乖離があるのが実情なのです。
永住ビザの審査にかかる期間は2019年5月に永住許可に関するガイドラインが改定されるまで、4カ月程度でした。しかし、ガイドライン改定による要件の厳格化に伴い、永住ビザの審査要件が厳しくなり、審査期間もより一層長くなりました。
永住権申請で審査される項目
正確な審査項目は非公開ですが、次のような項目が審査されるとされています。
今までの在留状況 居住年数と就労年数 今の在留資格(ビザ)のステータスの該当性 過去の在留資格(ビザ)の申請内容 過去から現在までの年収 今までの出国日数 税金の納税状況 社会保険の支払い状況 交通違反を含む犯罪歴 現在の生活状況 扶養家族について 身元保証人について |
出典:ビザプロ「永住権の審査期間でどのくらい?早く審査を終わらすためのポイントについても解説」行政書士法人フォーワード運営
永住許可を受けるための要件には、①素行善良要件、②独立生計要件、③国益適合要件の3つがあります。
ただ、実際の審査では、上記項目のように3つの要件に基づく基準に限らず、申請書類をもとに申請者の生活実態についても詳しく審査されます。
審査の進捗状況は教えてもらえない
個別の永住許可申請に関する審査の進捗状況については、原則として教えてもらえません。そのため、出入国管理庁は、ウェブページで、「進捗状況を確認するためのお電話はお控えください」と呼びかけています。
ただし、オンライン申請の場合は、在留申請オンラインシステムの「申請情報一覧」→「申請状態」欄から確認できます。
「申請状態」欄で表示される申請状態については、「申請完了」や「審査中」、「(郵送の場合)発行待ち」、「完了」などです。追加資料の提出が必要な場合は、「添付資料」欄に「追完待ち」と表示されます。
追加資料提出が求められるのはいつ?
申請時に提出した書類に不備や不足があったり、申請後の社会情勢に変化があったりした場合、入国管理局から資料提出通知書が届く場合があります。
資料提出通知書は、入国管理局へビザ申請した後に届く追加資料要求資料です。
この資料提出通知書が届くタイミングは一律で決まっているわけではありません。人によっては申請直後に通知がくる場合があるほか、申請から10カ月近く経過した後に求められる場合もあります。
資料提出通知書への対応を誤ると、永住ビザの許可が遠のく可能性があるため、慎重に対応する必要があるでしょう。
永住権の審査期間が長い理由
冒頭でご説明したとおり、永住ビザの審査期間が長くなっている背景には、2019年5月にあった「永住許可に関するガイドライン」の改定があります。
ガイドライン改定により、公的義務の履行に関して、納税や年金・健康保険料の納付、入国管理局への届出といった具体的な項目が明記され、永住許可の取得が大幅に難しくなりました。さらに、年金・健康保険料の納付記録や国税の納税証明書など、永住許可申請で提出する書類も大幅に増えたこともあり、一件あたりの審査期間が長期化しています。
このほかにも、申請件数の増加や新しい在留資格への対応に伴う審査官の業務負担の増加も、審査期間が長期化している要因だとされます。
永住権の審査期間を長引かせないための方法
永住ビザの審査期間を長引かせないための方法には、次の4つがあります。
- 申請書類の不備や不足に注意する
- 永住理由書は内容を吟味したうえで提出する
- 身元保証人の資格に注意する
- 審査期間中の転職は避ける
これらの方法を実行することで、審査期間の長期化を防げる可能性があります。ぜひ参考にしてください。
申請書類の不備や不足に注意する
永住ビザの審査期間の長期化を防ぐためには、申請書類の不備や不足に注意することが大切です。
永住許可申請に必要な要件をすべて充足していても、添付書類に不足があったり、記載内容が不十分・不適切だったりする場合は、審査期間が長引いてしまいます。最悪の場合、不許可になってしまうでしょう。
申請書類の不備や不足を防ぐには、必要書類のチェックリストを作成したうえで、記入漏れや誤記入がないかを複数回チェックすることが大切です。パートナーや家族、職場の同僚など、他者にチェックしてもらうのもよいでしょう。
永住理由書は内容を吟味したうえで提出する
出入国在留管理庁は永住許可申請に必要な書類として永住理由書を明示していませんが、永住理由書は内容を吟味したうえで必ず提出しましょう。
永住理由書は、日本の永住ビザを必要とする理由を記載した書類です。具体的な理由や動機のほかに、自分の経歴や来日した経緯、日本での活動履歴、家族構成など、審査官にアピールする内容をA4用紙1〜2枚程度(2,000〜4,000字程度)にまとめます。
永住理由書は、必ず提出しなければならない書類ではありません。しかし、永住への思いや日本社会への貢献意欲を伝える絶好の機会になり、内容次第で審査官の心証に良い影響を与えられます。そのため、可能な限り提出するようにしましょう。
身元保証人の資格に注意する
永住許可の申請に際しては身元保証人の資格に注意しましょう。身元保証人の資格が所定の条件を満たしていなければ、身元保証人に関する書類の再提出を求められる可能性があるためです。
身元保証人は、主に申請者の金銭面や法令遵守についてサポートすることを法務大臣に約束する役割を担います。
この身元保証人は、誰でもなれるものではありません。身元保証人になるには、次の4つの条件をすべて満たす必要があります。
- 日本人または永住者
- 一定以上の資産
- 納税義務を果たす
- 身元保証人になる意思
身元保証人は、日本人と結婚している方であれば、日本人の配偶者がなります。日本人の配偶者がいない場合は、勤務先の上司や同僚、仲の良い友人などが依頼するのが一般的です。
審査期間中の転職は避ける
永住ビザの審査中は転職しないようにしましょう。審査官に「仕事の安定性と継続性」がないと判断され、不信感を抱かせる原因になるためです。
そもそも永住ビザの審査は申請時点の仕事状況に基づいて行われます。そのため、審査中に転職すると、収入や職業状況に関する審査がやり直しになり、永住ビザの審査期間が長くなってしまうのです。
ただし、永住ビザ申請中の転職は、必ず不許可を招くわけではありません。転職後に「所属機関変更の届出」を入国管理局に提出したうえで、転職理由を記載した書類を追加提出すれば、審査に影響がない場合があります。
それでも、永住ビザの取得を真剣に考えている場合は、転職のタイミングに注意するに越したことはありません。可能であれば、永住ビザ取得後に転職することをおすすめします。
まとめ
永住ビザは審査要件が厳しいため、審査期間が長い傾向にあります。
長い審査期間は、早く永住ビザを取得したい方にとって、もどかしく感じられるかもしれません。
それでも、申請書類の完璧な準備や永住理由書の提出といった対策を講じることで、審査期間の長期化を回避できます。ただし、それらの対策は専門的な知見を要するため、行政書士をはじめ、在留資格の専門家の力添えを受けながら、取り組んでください。
記事の監修者

Eight Links 行政書士事務所 所長
蜂須賀 昭仁
2016年9月〜
VISA専門行政書士事務所
「Eight Links 行政書士事務所」を開業
専門分野 外国人在留資格申請、帰化許可申請
外国人の在留資格申請を専門分野とし
年間500件以上の相談に対応
講師実績
広島県行政書士会国際業務協議会 担当講師
中華人民共和国遼寧省鉄嶺市(外国人会社設立・経営管理)についての講師
運営HP
広島外国人ビザ相談センター
https://hiroshima-visa.link/
広島国際結婚&配偶者ビザ申請代行センター
https://eightlinks.link/marriage/
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https://hiroshima-visa.link/permanent/
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Eight Links 行政書士事務所 所長
蜂須賀 昭仁
2016年9月〜
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専門分野 外国人在留資格申請、帰化許可申請
外国人の在留資格申請を専門分野とし年間500件以上の相談に対応
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