永住者の子どもは、生まれた国によって在留資格が異なる

2023.01.05

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日本での永住許可が出された外国人については、在留資格の更新をすることなく、日本国内に末永く住み続けることができますし、仕事や活動内容の制限もありません。永住者と結婚した配偶者の外国人も、結婚し続けている限りは同じように仕事内容などの制約なく、日本に住み続けることができるのです。

では、永住者の子も、同じように日本に住み続けることができるのでしょうか。このページでは、永住者の子の在留資格について解説しています。

これは、子どもが日本国内で生まれたのか、それとも国外で生まれたのかで場合分けして説明しなければなりません。

■日本の永住者の子が、日本国内で生まれた場合

もし、永住者の子が日本で生まれ、引き続き日本に住み続けるのであれば「出生による永住許可」が認められます。つまり、生まれながらに永住者としての在留資格が得られるのです。

たとえ、何らかの事情で条件を満たさずに、出生による永住許可が出されなかったとしても、「永住者の配偶者等」という在留資格によって、やはり日本に住み続けることができます。この「等」に子が含まれる趣旨です。

日本に永住することを決めた外国人ですから、子は日本で出産することを想定して法制度を組んでいるものと考えられます。

■日本の永住者の子が、外国で生まれた場合

出入国管理当局の内部ルールである審査要領で「永住者の配偶者等」は次のように定められています。「本邦で出生したこと」が必要であり、永住者の在留資格をもって在留する者の子であっても、母が再入国許可を受けて出国し外国で出産した場合等外国で出生した場合は該当しない。

このようにハッキリと定められています。つまり、日本国内で生まれた場合のように、永住者に準じた在留資格を得られるわけではありません。

その代わりに、外国で生まれた永住者の子には「定住者」という在留資格が与えられます。入管民法告示の規定によれば「日本人、永住者の在留資格をもって在留する者又は日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(平成3年法律第71号)に定める特別永住者の扶養を受けて生活するこれらの者の未成年で未婚の実子」は定住者であると定められているからです。

この他、「外国人の方が日系3世である場合」「外国人の方が日系2世・3世の配偶者である場合」「外国人の方が日本人、永住者、定住者、特別永住者のいずれかの方の扶養を受けて生活する、6歳未満の養子である場合」には、定住者としての在留資格が認められることになっています。

永住者の扶養を受けて生活する未成年で未婚の実子にも、定住者としての在留資格が与えられ、認められる在留期間は5年・3年・1年・6か月のいずれかが付与されます。子が日本に入国するのに先立って、日本の出入国在留管理局に「在留資格認定証明書交付申請」を行い、申請書(16歳未満の場合は、写真の貼付は不要)と、子の扶養者(永住者)の納税証明書や出生届受理証明書、住民票、在職証明書、預貯金通帳のコピー、身元保証書、理由書などを添付して、定住者としての在留資格を申請します。海外に滞在したままでは収集が難しい証明書類も多いので、行政書士のサポートを受けると確実です。

もちろん、子に与えられた定住者としての在留資格は、繰り返し更新して日本に住み続けることが可能です。16歳になると本人が単独で更新手続きを行えますが、それまでは親権者が更新手続きを代理することになります。代理する際は、申請書に氏名や住所などを記入し、身分証明書を職員に提示しなければなりません。

<注意点>

なお、定住者の在留資格は18歳を過ぎると切れてしまいます。要件の中に「未成年」と明記されているからです。よって、成人した永住者の子は、「留学」や就労ビザなど、別の在留資格を得なければならないでしょう。その点では、外国で生まれた場合のほうが、やや不利な扱いとなるといえます。

日本の永住者の子どもは、海外で出産して日本に呼び寄せるよりも、日本国内で出産した方が、将来のことを考慮すると望ましいのです。海外で出産して家族で日本に居住している場合は、子どものためを考えて、定住者としての在留資格が有効であるうちに、永住許可申請や帰化許可申請をして、制約なく日本で暮らせるように配慮しておきたいものです。

日本の永住者のもと、海外で生まれ育った子どもを、たとえば16~18歳ぐらいで日本に呼び寄せた場合、定住者としての在留資格を得られない場合があります。日本でも15歳以上であれば就労できる年齢に達しているので、定住者として保護する必要性が少ないためです。この場合、最初から就労や留学のビザを取得してから入国させた方がいいかもしれません。子が確実に定住者としての在留資格をもらうためには、幼いうちに日本に呼び寄せるに超したことがないというわけです。