日本に帰化するメリットとは?デメリットとあわせて解説!

日本への帰化には、日本人としての名前を持てたり、選挙権・被選挙権を取得できたりするメリットがあります。一方で、母国の国籍を失ったり、母国へ帰る際にビザが必要になったりするデメリットも生じます。

本記事では、そんな帰化によるメリット・デメリットについて解説します。日本への帰化はデメリットよりメリットの方が大きいものの、ぜひ参考にしてください。

日本に帰化するメリット

日本に帰化するメリットには、次の9つがあります。

  • 日本人としての名前を持てる
  • 日本の戸籍を持つことができる
  • 日本のパスポートを取得できる
  • 職業の制限がなくなる
  • 参政権が得られる
  • 日本人と同等の社会保障を受けられるようになる
  • ローンや融資を受けやすくなる
  • 賃貸物件を借りやすくなる
  • 強制送還の心配がなくなる

これらのメリットを把握すると、帰化許可を目指すうえでのモチベーションが上がります。ぜひ参考にしてください。

日本人としての名前を持てる

帰化すると、日本人としての名前を名乗ることができます。日本人としての名前を名乗る際は帰化申請前の名前や通称名をそのまま使用できますが、姓名(名前)を含め、全く新しい名前を付けることも可能です。

日本人としての名前を名乗れるようになると、母国で名付けられた本名と通称名を使い分ける必要がなくなり、煩雑さから解放されます。また、東アジア出身の方は外見と名前の両方が日本人とほぼ同じになるため、通称名を名乗ることによる差別を感じる機会が激減するでしょう。

日本の戸籍を持つことができる

帰化すると、「外国籍の方が日本国籍を取得する」という帰化制度の本旨のとおり、日本の戸籍を持つことができます。

戸籍とは、出生や婚姻、死亡など、人の出生から死亡に至るまでの親族関係を登録公証する制度です。外国人が戸籍を取得すると、配偶者や子どもが日本人の場合に家族で同じ戸籍に入れます。

また、戸籍の取得によって、出産・結婚・離婚・死亡といった形で親族関係に変化が生じる度に、母国の領事館で書類を取り寄せる必要がなくなります。公的手続きにかかる負担の軽減は大きなメリットといえるでしょう。

日本のパスポートを取得できる

帰化すると、日本のパスポート(旅券)を持つことができます。

日本政府が発給するパスポートは、入れる国が多いという点で、世界で最も強力なパスポートの一つです。実際、パスポートのインデックスやビザの要件を確認できるアプリ「Visa index」によれば、ビザなしで訪問できる国・地域は190に上り、シンガポールに次いで世界二位となっています。

このように日本のパスポートはビザなしで渡航できる国や地域が多いことから、取得後に海外渡航にかかる自由度が飛躍的に向上し、短期であれば母国に帰りやすくなるでしょう。また、海外渡航中に危ない目に遭ったときは、現地の日本大使館で手厚い保護を受けられます。

職業の制限がなくなる

帰化すると、日本人と同等の職業選択の自由が保障されることから、職業の制限がなくなります。つまり、これまでの在留資格に基づいた労働に縛られずに、公的機関を含むどの職業、どの会社にも就職、転職することが可能です。

職業選択の自由が保障される最大のメリットは、日本の公務員になれることです。外国人に対して採用の門戸を広げている一部の地方自治体はあるものの、外国人は現状、原則として国家公務員のほか、警察官や自衛官などになれません。もちろん、総合職として採用されることもありません。

一方で、帰化すると、職業的な制約を受けることなく、自由に公務員になることが可能です。

参政権が得られる

帰化すると、日本の政治に参加する権利を得ることができます。具体的には、国政選挙や地方選挙を問わず、投票や立候補することが可能です。

政治家になった帰化日本人は枚挙にいとまがありません。国政関連では、元中国国籍の英利アルフィヤ氏が2023年4月に衆議院議員補欠選挙(千葉5区)に当選しました。また、直近はウズベキスタン出身のババホジャエヴァ・オルズグル氏が2023年5月に世田谷区議会議員に当選しています。

日本人と同等の社会保障を受けられるようになる

帰化すると、日本人と同じように年金や保険、教育、福祉などの社会保障を受けられるようになります。

活動に制限を受けない「永住者」や「定住者」といった在留資格者でも、要件を満たせば、生活保護を受給することは可能です。同様に条件を満たせば、加入者が障害を負った場合の「障害年金」や、亡くなった場合の「遺族年金」なども受け取れます。

しかし、在留資格者は在留資格の変更や資格によって、社会保障を享受できなくなる可能性があります。一方、日本に帰化した場合は、社会保障を受ける永続的な権利が付与されるため、生活保護や年金などを受け損ねる機会が激減するでしょう。

ローンや融資を受けやすくなる

帰化すると、金融機関から住宅や自動車のローン、仕事上の融資を受けやすくなります。帰化人は突然出国するリスクが小さいことから、十分な返済能力があれば、信用度が日本人と同等になるためです。

ただし、帰化人も融資やローンを受けるにあたって、勤務先や勤務形態、年収、所有資産、信用情報など、さまざまな面で日本人と同様に審査を受けることになります。審査の結果、融資やローンを受けられない場合もあります。つまり、帰化すれば確実に融資を受けられるわけではありませんので、注意しましょう。

賃貸物件を借りやすくなる

帰化すると、賃貸物件を借りやすくなります。帰化人は在留資格者と比べて社会的信用が高いことから、賃貸人から一定の信用も獲得しやすいためです。

本来、外国籍であることを理由に入居を拒否する行為は、不合理な差別にあたり、社会的に許容すべき限度を超える違法なものとみなされます。しかし、現実は言語の壁や文化的な摩擦、家賃滞納のリスクにより、賃貸人や不動産会社による入居差別が絶えないのが実情です。

それでも、日本人に帰化すると、入居差別を受けにくくなります。結果、外国人を専門とした不動産仲介会社を選ぶ必要性が減るため、住居の選択肢も増えるでしょう。

強制送還の心配がなくなる

帰化すると、日本人として扱われるため、どんなに重い罪を犯しても母国に強制送還される心配がなくなります。

日本における強制送還とは、出入国管理及び難民認定法(入管法)第24条に規定される退去強制のことです。犯罪行為や不法滞在などで摘発された外国人は原則として退去強制処分となり、速やかに送還、母国へ送り返されます。

しかし、帰化人は日本の刑法で裁かれるため、強制送還されることはありません。

日本に帰化するデメリット

日本に帰化するデメリットには、次の2つがあります。

  • 母国の国籍を失う
  • 母国へ帰る際にビザが必要になるケースがある

永住権取得と同じように、帰化はデメリットよりメリットの方が大きいですが、ぜひ参考にしてください。

母国の国籍を失う

帰化すると、母国の国籍を失うことになります。日本の国籍法は単一国籍を原則としており、二重国籍は認められないためです。

母国に国籍回復制度がない場合、一度帰化した人は帰化した国の人として扱われるため、国籍の再取得が難しいとされます。多くの国で元々その国の国民に対して国籍回復にかかる例外的な措置が用意されているケースが多いものの、帰化を希望する方は国籍回復制度あるいはそれに準ずる制度の有無について事前に調べておきましょう。

母国へ帰る際にビザが必要になるケースがある

国によっては、母国へ帰る際にビザが必要になるケースがあります。

実際、Visa indexによれば、アフガニスタンやアルジェリアなどの18カ国は、入国時にビザを提示しなければなりません。

ビザなしで渡航できるアメリカやカナダなどでも、滞在期間によってビザを提示し、入国許可を得る必要があります。

前述のとおり、日本のパスポートを取得すれば、多くの国にビザなし渡航ができるようになります。それでも、滞在期間が長い場合はビザが必要になるケースがあるため、事前に母国が日本人の滞在について、どのように規定しているか調べておくとよいでしょう。

まとめ

便益という観点では、日本への帰化はデメリットよりメリットが大きいといえるでしょう。

それでも、帰化すると母国の国籍を失うことになるため、自身のアイデンティティーを大事にされる方は、帰化を再検討されることをおすすめします。

いずれにせよ、帰化は一生の決断です。メリット・デメリットを比較検討したうえで、慎重に決断してください。

記事の監修者

Eight Links行政書士事務所 代表 蜂須賀 昭仁

Eight Links 行政書士事務所 所長
蜂須賀 昭仁

2016年9月〜
VISA専門行政書士事務所
「Eight Links 行政書士事務所」を開業
専門分野 外国人在留資格申請、帰化許可申請
外国人の在留資格申請を専門分野とし
年間500件以上の相談に対応

講師実績
広島県行政書士会国際業務協議会 担当講師
中華人民共和国遼寧省鉄嶺市(外国人会社設立・経営管理)についての講師

詳しいプロフィールを見る

運営HP
広島外国人ビザ相談センター
https://hiroshima-visa.link/
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Eight Links行政書士事務所 代表 蜂須賀 昭仁

Eight Links 行政書士事務所 所長
蜂須賀 昭仁

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専門分野 外国人在留資格申請、帰化許可申請
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