軽く見ていると不許可に!? 帰化の「素行要件」について詳しく解説。

普通帰化や簡易帰化の中でも、許可を得るための意外な関門といえるのが「素行要件」です。それまで善良に、真面目に生きてきたかどうかが問われているのですが、犯罪歴だけでなく、他にも様々な過去や現在の状況によって、素行要件を満たしていないと判断されてしまい、帰化が認められない場合があります。不許可となる確率を少しでも減らすため、前もって何とかできるところは対策してから申請に臨みましょう。

■税金は納めていますか?

日本で真面目に生きているつもりでも、税金で未納がある場合、国や都道府県、市町村との間では不誠実とみなされ、帰化が認められなくなります。日本の会社で働いている外国人の場合、所得税などは会社が代わりに計算して納めてくれているはずです。なので、未納に注意しなければならないのは住民税です。

会社によっては、給料天引きで住民税も納めてくれている特別徴収の場合がありますが、従業員が自分自身で給与の中から納めるよう手続きさせている会社も多いからです。この手続きができていないと、住民税が未納になっていて、素行要件を満たさないことになります。

住民税の未納分を今からまとめて納められれば、ちゃんと汚名返上でき、素行要件はクリアできます。しかし、未納分が多すぎて一括で納められそうもなければ、帰化はひとまず先送りにし、役所に分割納付を申請して、少しずつでも納めるようにしましょう。すべて納められたときに、改めて帰化申請をしましょう。

自分でビジネスを立ち上げている場合、所得税や住民税だけでなく、会社の法人税などでも未納があると帰化が認められないおそれがあります。

注意しなければならないのは、結婚相手の住民税が未納な場合も、素行要件で引っかかるおそれがあるという点です。帰化の申請には配偶者の納税証明書も必要となりますので、もし滞納している住民税があれば、すべて納めてしまいましょう。

また、結婚相手を扶養に入れているのに、その結婚相手がアルバイトなどで年収103万円以上を得ている場合も、実質的に住民税が未納になってしまいます。年収103万円以上の結婚相手(配偶者)は、日本の法律で扶養に入れることができないので、住民税の割引が適用できなくなるからです。よく見落とされがちですので、この点も前もって対策しておきましょう。

母国の家族に仕送りなどをしている方なら、その家族を扶養に入れている場合もありそうです。しかし、ちゃんと働いて十分な収入を得ているにもかかわらず扶養に入れていると、やはり扶養控除を不当に受けて税金負担を軽くしていると評価されるおそれがあります。これも帰化申請の前に扶養から外して、今まで控除された税金を修正申告によって納められれば特に問題ありません。


■年金保険料は納めていますか?

外国人も年金保険料を納めなければなりませんが、ここでも未納・滞納があると帰化は認められません。会社が年金関連の手続きをすべてこなしてくれていて、給料から厚生年金の保険料が天引きされているのならば心配ありません。会社が年金の手続きをしてくれず、自分自身で行わなければならない場合は、厚生年金と国民年金、いずれも滞納状態が続いているケースも珍しくありません。素行要件を満たすためには、少なくとも国民年金の保険料を直近1年分支払うことになります。トータルで20万円近くの支出になります。すぐに資金を準備できない場合、準備できるまで帰化申請は先送りにすべきです。

会社を立ち上げている場合は、その会社で厚生年金に加入しなければならないので、国民年金だけでなく厚生年金保険への加入も、素行要件を満たす最低条件として加わります。未加入や未納がある場合は、今からでも対策しておきましょう。個人事業主であれば、厚生年金の加入義務がないので、ほとんどの場合は国民年金のみです。やはり、未納があると素行要件で引っかかりますので、最低でも直近1年分の国民年金保険料を納めてから帰化申請しましょう。

※現在は遅れず納付していることも要件となっているようです。


■交通違反はありませんか?

運転免許を持っていない方は、何の問題もありません。もし、飲酒運転やスピード違反など、裁判所から罰金が科されるほど重大な交通違反をしてしまった場合は、素行要件でアウトになります。罰金は刑罰なので、その交通違反行為は犯罪そのものだからです。この先、数年間は、帰化が認められないでしょう。

問題は、罰金ではなく、警察に納める反則金の支払いを命じられた場合です。同じように警察官に捕まったとしても、こちらは犯罪歴(前科)とは違います。比較的軽微な違反であり、反則金の支払いを命じられるレベルの交通違反を日本では犯罪といいません。たとえば、駐車違反や一時停止違反、運転中の携帯電話使用などです。しかし、過去5年間で、反則金レベルの交通違反を6回以上やっていると、素行要件に引っかかるおそれがあります。絶対的な線引きではありませんが、年間平均1回を超える交通違反数は、素行要件の審査で「多すぎる」という印象になりやすいのです。

※現在は交通違反歴が5回未満でも不許可になる場合もあります。

記事の監修者

Eight Links行政書士事務所 代表 蜂須賀 昭仁

Eight Links 行政書士事務所 所長
蜂須賀 昭仁

2016年9月〜
VISA専門行政書士事務所
「Eight Links 行政書士事務所」を開業
専門分野 外国人在留資格申請、帰化許可申請
外国人の在留資格申請を専門分野とし
年間500件以上の相談に対応

講師実績
広島県行政書士会国際業務協議会 担当講師
中華人民共和国遼寧省鉄嶺市(外国人会社設立・経営管理)についての講師

詳しいプロフィールを見る

運営HP
広島外国人ビザ相談センター
https://hiroshima-visa.link/
広島国際結婚&配偶者ビザ申請代行センター
https://eightlinks.link/marriage/
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Eight Links行政書士事務所 代表 蜂須賀 昭仁

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蜂須賀 昭仁

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専門分野 外国人在留資格申請、帰化許可申請
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