永住者が日本に帰化するには?手続き・メリット・注意点を解説

永住ビザ(永住者)の資格を持つ方は、日本で安定した生活を送ることができます。しかし、「より安心して長く暮らしたい」「家族と同じ日本国籍を持ちたい」と考え、帰化(日本国籍の取得)を検討する人も増えています。
永住と帰化は似ているようで、法的には全く異なる制度です。永住は「外国人として日本に住む権利」ですが、帰化は「日本人になること」。したがって、得られる権利も責任も大きく変わります。
この記事では、永住者が日本に帰化する際の手続き・条件・メリット・注意点を、広島県での実務や相談窓口も含めて詳しく解説します。
永住者が帰化を選ぶ理由
永住者として十分に安定した生活を送れる一方で、あえて「日本国籍を取得」する人も少なくありません。その背景を見てみましょう。
永住者は在留期限がなく、日本国内で自由に働ける在留資格です。しかし、法的にはあくまで「外国人」であり、国家の判断ひとつで在留資格が取り消される可能性も残ります。たとえば、刑事事件や税金の滞納があった場合、永住許可の取り消しや退去強制処分を受けることがあります。
また、社会生活の中でも、外国人という立場ゆえに差別的な対応を受ける場面があるのも現実です。住宅ローンやクレジット審査では、日本人よりも厳しい条件が設定されることが多く、選挙権・被選挙権もありません。
このような背景から、長年日本に住んできた永住者の中には、「日本社会の一員として正式に認められたい」「子どもと同じ国籍で暮らしたい」と考え、帰化を選ぶ人が増えています。
特に広島県のように地元企業での雇用が多い地域では、長期的な社会的信用を得る手段として帰化を希望するケースが目立ちます。
一方で、帰化すると母国の国籍を失うため、母国への一時帰国や親族訪問が「外国人扱い」になるなどのデメリットもあります。帰化を検討する際は、利点と不利益の両面を理解したうえで慎重に判断しましょう。
帰化のメリットとデメリット
永住者が帰化することで得られる権利は多い一方、失うものもあります。主なメリット・デメリットを整理しましょう。
| 項目 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 国籍・法的地位 | 日本人として完全な法的保護を受けられる。退去強制の対象外。 | 旧国籍を失う(二重国籍禁止)。母国入国時にビザが必要になる場合あり。 |
| 社会的信用 | 金融機関・住宅ローン・就職で信用度が上がる。 | 一部の母国年金・国籍関連特典を喪失。 |
| 政治的権利 | 選挙権・被選挙権を持つ。公務員にもなれる。 | 特定の国際組織や母国の選挙への参加権を失う。 |
| 生活面 | 日本旅券(パスポート)を取得可能。ビザなし渡航が容易。 | 帰化後の各種手続き(戸籍作成・国籍離脱)が必要。 |
日本のパスポートは2024年版ヘンリーパスポートインデックスで194か国・地域にビザなし渡航可能とされ、世界でもトップクラスの信頼性を誇ります。
(出典:Henley & Partners, Henley Passport Index 2024)
永住者が帰化するための条件
永住者だからといって、帰化の審査が自動的に緩和されるわけではありません。基本的には一般の外国人と同様の条件を満たす必要があります。
帰化の条件は「国籍法」に基づき、次の6つの要件を満たす必要があります。
| 要件 | 内容 | 永住者との関係 |
|---|---|---|
| 住居要件 | 5年以上引き続き日本に住所を有し、そのうち3年以上の就労実績があること。 | 永住者の多くはすでに満たしている。 |
| 能力要件 | 18歳以上(成人)であること。 | 未成年でも親と一緒に申請可能。 |
| 素行要件 | 法律を守り、税金・年金をきちんと納めていること。 | 永住許可取得時に審査済みでも再確認される。 |
| 生計要件 | 安定した収入や資産があること。 | 配偶者の収入も含めて判断される。 |
| 喪失要件 | 帰化によって旧国籍を失うこと(日本は二重国籍を認めない)。 | 帰化許可後に母国で国籍離脱手続きが必要な場合あり。 |
| 日本語能力 | 日常会話・読み書きができること(日本語能力試験N3程度)。 | 日常生活レベルの日本語力で可。 |
広島県では、帰化申請の受付を広島法務局 国籍課が担当しています(所在地:広島市中区上八丁堀6-30)。
面談時には、日本での就労状況や納税実績、家族構成などを確認されるため、書類上だけでなく生活実態の一貫性が重視されます。
永住者が帰化申請を行う流れ
永住者の帰化申請は、他の在留資格者と同じ流れで進められます。準備から許可までの一般的な手順を確認しましょう。
永住者が帰化を申請する手続きは、以下のように進みます。
| 手順 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| ① 事前相談 | 居住地を管轄する法務局に予約を取り、帰化相談を行う。 | 広島県では広島法務局 国籍課で実施。 |
| ② 書類準備 | 出生証明書・国籍証明書・税証明・在職証明などを収集。外国語書類は日本語翻訳が必要。 | 翻訳文には翻訳者の署名が必要。 |
| ③ 書類提出 | 書類一式を法務局に提出。 | 不備があると再提出になる。 |
| ④ 面接 | 数か月後に法務局職員による面接。必要に応じて配偶者も同席。 | 日本での生活や家族関係を確認。 |
| ⑤ 調査・審査 | 近隣調査や勤務先への確認が行われる場合も。 | 素行要件の裏付けとして重要。 |
| ⑥ 官報掲載・許可 | 約1年前後で帰化が許可され、官報に掲載。 | 官報掲載日が「帰化の効力発生日」。 |
広島県では、申請から許可まで平均10〜12か月程度が一般的です。
特に外国語書類の翻訳や母国からの証明書取り寄せには時間がかかるため、早めの準備が重要です。
帰化後に必要な手続き
帰化が許可された後も、戸籍や在留カードなどの各種手続きを完了させる必要があります。
官報に帰化が掲載されると、日本国籍を正式に取得します。
しかし、ここで終わりではありません。1か月以内に市区町村で「帰化届」を提出する義務があります(戸籍法第102条の2)。
広島市や福山市などの役所で手続き可能で、これにより戸籍が新たに作成されます。
また、旧在留カードや特別永住者証明書は、14日以内に返納しなければなりません。
返納先は、
- 在留カード:出入国在留管理局(郵送可)
- 特別永住者証明書:住民登録地の市区町村役場
さらに、パスポート・運転免許証・銀行口座・携帯契約などの氏名変更手続きも必要です。
広島県内では、広島国際センター(HIC)が外国人の生活サポートを行っており、帰化後の各種相談にも応じています。
まとめ
永住者が日本に帰化することは、単に「在留資格を変える」以上の意味を持ちます。
それは、日本社会の一員として責任と権利を同時に得ることです。
手続きは煩雑ですが、永住者としての安定した生活基盤を持つ方なら、条件を満たしている場合が多く、許可の可能性は高いといえます。
申請には膨大な書類や翻訳作業が伴うため、行政書士など専門家のサポートを受けることで、ミスなくスムーズに進められます。
広島県での帰化申請や書類準備に不安がある方は、広島法務局 国籍課や、外国人ビザ申請を専門とする行政書士事務所へ相談するのがおすすめです。
あなたの日本での新しい人生を、安心してスタートできるように支援いたします。
記事の監修者

Eight Links 行政書士事務所 所長
蜂須賀 昭仁
2016年9月〜
VISA専門行政書士事務所
「Eight Links 行政書士事務所」を開業
専門分野 外国人在留資格申請、帰化許可申請
外国人の在留資格申請を専門分野とし
年間500件以上の相談に対応
講師実績
広島県行政書士会国際業務協議会 担当講師
中華人民共和国遼寧省鉄嶺市(外国人会社設立・経営管理)についての講師
運営HP
広島外国人ビザ相談センター
https://hiroshima-visa.link/
広島国際結婚&配偶者ビザ申請代行センター
https://eightlinks.link/marriage/
広島永住ビザ申請代行センター
https://hiroshima-visa.link/permanent/
広島外国人雇用&就労ビザ申請代行センター
https://eightlinks.link/work/
広島外国人会社設立&経営管理ビザ申請代行センター
https://hiroshima-visa.link/businessmanagement/
広島帰化申請代行センター
https://hiroshima-visa.link/naturalization/
記事の監修者

Eight Links 行政書士事務所 所長
蜂須賀 昭仁
2016年9月〜
VISA専門行政書士事務所 「Eight Links 行政書士事務所」を開業
専門分野 外国人在留資格申請、帰化許可申請
外国人の在留資格申請を専門分野とし年間500件以上の相談に対応
講師実績
広島県行政書士会国際業務協議会 担当講師
中華人民共和国遼寧省鉄嶺市(外国人会社設立・経営管理)についての講師
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広島外国人ビザ相談センター https://hiroshima-visa.link/
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