外国人の「永住」と「帰化」は、どう違うの? 共通点とそれぞれのメリット、注意点

2023.01.05

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よく混同されがちなのが、日本に永住資格のある外国人と、日本に帰化した外国人です。両者には、よく似た点があるのも確かですが、根本的に異なるところもあります。このページでは、日本に永住している外国人と、日本に帰化した外国人の共通点や違いについて解説しています。

■永住と帰化の共通点

日本に永住している外国人と、日本に帰化した外国人、両方とも在留資格の制限がなく、日本にずっと住み続けることができるという共通点があります。その他の外国人は、高度専門職2号の外国人を除いて、1年間~5年間という在留期間の制限があります。期限が切れる前に更新しなければならない手間がかかりますし、もし更新を忘れて日本に滞在し続けると、オーバーステイ(超過滞在)の罪によって処罰されるおそれがあります。日本人と結婚した外国人も、その日本人と離婚や死別をした場合には在留資格が消滅してしまいますので、別の在留資格を取るか、別の日本人と再婚するなどしなければ、不法滞在の罪に問われて祖国へ強制送還されるおそれもあるのです。

その点、日本に永住している外国人と、日本に帰化した外国人は、在留資格の更新をする必要がなく、オーバーステイとなる心配もありません。永住者資格の在留カードには、7年間の有効期間が定められていますが,この期限が切れたからといってオーバーステイの罪に問われるわけではありません。あくまでもカードそのものの有効期限です。

日本に永住している外国人と、日本に帰化した外国人の、もうひとつの共通点は、国内でどんな職業にも就けるなど、活動に制限が設けられていないところです。他の在日外国人と比べても自由度は高いです。

一般の就労ビザで日本に滞在している外国人は、まず、コンビニやスーパーの品出しやレジ打ち、工場作業や工事現場作業といった仕事には原則として就くことができません。留学ビザなどで滞在している外国人なら、週28時間を上限としてアルバイトで仕事できる場合がありますが、基本的には日本人しか受け付けていない業種です。

もうひとつ、キャバクラやパブ、バーといった夜の水商売も、一般的な就労ビザで外国人が仕事をするのは違法となってしまいます。日本で水商売をしている外国人の多くは、日本人との既婚者です。

しかし、日本で永住している外国人や、日本に帰化した外国人は、仕事内容に制限がないので、国内のコンビニやスーパー、水商売でも制限なく働ける特徴があるのです。

■永住外国人と、日本に帰化した外国人の根本的な違い

日本に永住している外国人は、あくまでも外国人としての扱いですが、外国人が日本に帰化したら、日本国籍を取得しますので日本人と同じ扱いになります。帰化した外国人には、日本のパスポートが発行されていますが、日本に永住している外国人のパスポートはそのままです。

つまり、日本に永住している外国人といっても、日本国内で罪を犯すなどして、強制送還の対象となれば、国籍のある祖国へ帰らなければなりません(実際には在留特別許可によって日本に留まれる可能性もあります)。しかし、日本に帰化していれば、万が一、刑事裁判で有罪となったとしても強制送還されることはありません。帰化済みの外国人にとっては、日本が母国になるからです。

永住はあくまでも在留資格であり、日本国内で違法なことをすれば取り消される場合もあります。その一方、外国人がいったん帰化すれば、何があっても帰化が取り消されることはありません。実際、過去に帰化が取り消された事例は存在しません(2022年現在)。

また、外国人が日本に帰化すれば、選挙の際に投票することもできますし、立候補も可能です。試験に合格すれば公務員になることもできます。しかし、永住外国人はこれらすべてが許されていません。

永住している外国人は、在留資格の期間が無制限になっているとはいえ、永住という在留資格に基づいて日本に住んでいるのは確かです。なので、外出時には在留カードの携帯義務があります。その一方、帰化した外国人は日本人と同じ取り扱いなので、在留資格という概念そのものがありません。よって、在留カードが発行されませんから、その携帯義務も課されません。

日本への再入国許可の手続きに関しても違いがあります。永住資格を持っているとしても、日本にとって外国人であることには違いがありませんので、いったん海外に出て、日本に帰るときには「再入国」という扱いになります。つまり、出入国管理当局によって許可をもらうという立場になるのです。

しかも、外国人がいったん日本を出国したら、再入国には期限が設けられています。通常は1年以上の猶予がありますが(みなし再入国制度)、その期限を超えても日本に戻ってこなければ、永住資格を失うおそれがあります。

その一方で、外国人が帰化をした場合には、日本国籍を取得することによって日本人として扱われるわけですから、再入国という概念自体が適用されません。外国に行って戻ってくるのは再入国ではなく「帰国」です。そこに審査などありません。どれだけ長く海外に滞在していようと、いつでも日本に帰ってくることができます。

また、永住の手続きは、出入国在留管理庁(地方出入国在留管理局)の管轄ですが、帰化の手続きは法務省(法務局)の管轄になるという違いもあります。