永住許可の「生計要件」「素行要件」について、より深掘りして解説します

2023.01.05

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外国人が日本に永住するための申請をするとき、不許可になる理由でも上位に挙がるのが「生計要件」や「素行要件」を満たしていないことです。生計要件で不許可になるのは、つまり収入の水準が低く安定していない場合、素行要件で不許可になるのは、税金や社会保険料の滞納がある場合が多いです。

このページでは、永住許可申請の落とし穴になりやすいポイントについて、より深掘りして解説します。

  • 本人や本人を扶養する方の所得や納税状況の証明書類

  • 「直近3年分の住民税の課税(又は非課税)証明書」1通

  • 「納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの)」1通

これらを市区町村の役所や役場から発行してもらい、申請書などとともに提出します。1年間の総所得や、税金を納めているかどうかの納税状況、これら両方が記載されている証明書であれば、いずれか一方の提出で構いません。

もし、直近3年分の住民税課税証明書が発行されない場合、発行される最長期間分について発行してもらい提出します。また、入国後間もないタイミング、あるいは転居などの事情によって、これらの証明書が市区町村から発行されない場合は、最寄りの地方出入国在留管理官署に問い合わせてください。

  • 金融機関の通帳のコピー(あるいは領収証書等)

これは、直近3年間において、住民税が期限内に納められているかどうかを確認するために提出する資料となります。特に、住民税が給料からの天引き(特別徴収)になっていない場合に必要です。もし、過去3年間すべて特別徴収になっていれば、通帳のコピーは不要です。住民税が特別徴収されていない期間がある方は、その期間だけ口座引き落としになっている事実を示す通帳コピーを提出すれば足ります。

Web通帳の取引履歴画面のコピーでも構いませんが、スクリーンショットやPDFなど、加工できない状態で出力されたデータに限ります。加工できるWordファイルやExcelファイル等を使うと、出入金履歴の改ざんなどが疑われる原因になりますので、絶対に避けましょう。

  • 源泉所得税及び復興特別所得税、申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税、相続税、贈与税に係る納税証明書(その3)

これは2019年から新たに証明書類として加えられたもので、住所地を管轄している税務署が発行します。所得税や消費税などの国税に関する納税状況を証明する資料となります。

日本人・永住者・特別永住者の実子等の場合は、直近1年分の資料を提出してください。

この納税証明書(その3)は、所得税・消費税・地方消費税・相続税・贈与税について、未納がないことを証明する書類です。上記の5税目全てに関連する納税証明書を提出してください。

その他、所得を証明できる書類として、預貯金通帳のコピー(毎月の入金履歴がわかる部分)を併せて提出します。所得が証明できれば、他の代わりになる資料でも構いません。


■本人や本人を扶養する方の、公的年金・公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料

これも2019年から新たに提出が求められるようになりました。

  • 直近(過去2年間)の公的年金の保険料の納付状況を証明する資料〔原則いずれか1通〕

  • 「ねんきん定期便」(全期間の年金記録情報が表示されているもの)

  • ねんきんネットの「各月の年金記録」の印刷画面

  • 国民年金保険料領収証書(コピー)

日本人・永住者・特別永住者の実子等の場合は、直近1年分の資料の提出で足ります。

基礎年金番号、医療保険の保険者番号、被保険者など「記号・番号」が記載されている書類や、そのコピーを提出する場合には、これらの番号の部分を黒塗りにするなど、記号・番号を復元できない状態にして提出してください。

厚生年金などに加入している方は、「ねんきん定期便」か「ねんきんネット」を提出してください。また、直近2年間において国民年金に加入していた期間がある方は、「ねんきん定期便」か「ねんきんネット」のどちらかの資料を用意し、加えて国民年金保険料領収証書のコピーも提出してください。

もし、直近2年間の国民年金保険料領収証書(コピー)を提出することが困難な場合は、その理由を記載した理由書を作成し、代わりに提出します。

  • 直近(過去2年間)の公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料〔原則いずれか1通〕
    • 健康保険被保険者証(コピー)
    • 国民健康保険被保険者証(コピー)
    • 国民健康保険料(税)納付証明書
    • 国民健康保険料(税)領収証書(コピー)

提出が困難な方は、その理由を記載した理由書を提出してください。


■未納・滞納がある場合は、まず完納してから永住許可申請を!

税金や社会保険料の未納があると、日本で素行がよくなく、安定した生計も立てられない外国人とみなされるので、永住許可はまず通りません。まずは全て納め終わってから、改めて永住許可申請を出しましょう。数十万円ほどのまとまった費用が必要となる場合もあって、一時的に資金繰りが厳しくなる場合もあるでしょうが、日本に住み続ける以上は納め続けなければならないお金なのです。

しかも、近ごろは後から未納分を納めても、永住不許可になってしまう例が増えてきています。それだけ審査が厳しくなっているので注意しましょう。