永住権が取り消されるケースとは?取り消されるまでの流れも解説!

永住権を取得すれば、ずっと日本に住めるとイメージする方は少なくありません。

しかし、永住権は在留資格の1つであることから、不正や不手際があれば、取り消される場合があります。

そこで、本記事では、永住権が取り消されるケースについて解説します。永住権が取り消されるまでの流れや永住権取消による影響などについて解説するため、参考にしてください。

永住権は取り消される場合がある

永住権(永住者)は在留期間の更新といった手続きがありませんが、在留資格に変わりありません。そのため、一定の条件に当てはまると、ほかの在留資格と同じように、取り消される可能性があります。

実際、出入国在留管理庁は、永住許可制度の適正化Q&Aで、次のように説明しています。

 現行入管法上、新住居地の届出をしなかった場合や虚偽の住居地を届け出た場合、不正の手段等により永住許可を受けた場合は、「永住者」の在留資格が取り消されることがあります。  また、永住者であっても、1年を超える実刑に処せられた場合や薬物事犯により有罪の判決を受けた場合などは、退去強制されることがあります。
出典:出入国在留管理庁「永住許可制度の適正化Q&A

 しかし、悪事を働かず、真面目に過ごしていれば、永住権が取り消されてしまう場合は基本的にありません。

在留資格「永住者」の取消件数

出入国在留管理庁によれば、2024年の在留資格取消件数1,184件のうち、永住者の取消件数はわずか4件でした。これは、2024年末時点で永住者の人数が91万8,116人であることを考えると、非常に少ないと言えるでしょう。

なお、在留資格別にみた取消件数は、「技能実習」が710件(全体の60.0%)が最も多く、次いで「留学」が312件(同26.4%)、「技術・人文知識・国際業務」が69件(同5.8%)となっています。

永住権を取得すれば、ずっと日本に住めるとイメージする方は少なくありません。

しかし、永住権は在留資格の1つであることから、不正や不手際があれば、取り消される場合があります。

そこで、本記事では、永住権が取り消されるケースについて解説します。永住権が取り消されるまでの流れや永住権取消による影響などについて解説するため、参考にしてください。

永住権は取り消される場合がある

永住権(永住者)は在留期間の更新といった手続きがありませんが、在留資格に変わりありません。そのため、一定の条件に当てはまると、ほかの在留資格と同じように、取り消される可能性があります。

実際、出入国在留管理庁は、永住許可制度の適正化Q&Aで、次のように説明しています。

 現行入管法上、新住居地の届出をしなかった場合や虚偽の住居地を届け出た場合、不正の手段等により永住許可を受けた場合は、「永住者」の在留資格が取り消されることがあります。  また、永住者であっても、1年を超える実刑に処せられた場合や薬物事犯により有罪の判決を受けた場合などは、退去強制されることがあります。
出典:出入国在留管理庁「永住許可制度の適正化Q&A

 しかし、悪事を働かず、真面目に過ごしていれば、永住権が取り消されてしまう場合は基本的にありません。

在留資格「永住者」の取消件数

出入国在留管理庁によれば、2024年の在留資格取消件数1,184件のうち、永住者の取消件数はわずか4件でした。これは、2024年末時点で永住者の人数が91万8,116人であることを考えると、非常に少ないと言えるでしょう。

なお、在留資格別にみた取消件数は、「技能実習」が710件(全体の60.0%)が最も多く、次いで「留学」が312件(同26.4%)、「技術・人文知識・国際業務」が69件(同5.8%)となっています。

出典:出入国在留管理庁「令和6年の「在留資格取消件数」について

永住権が取り消されるケース

永住権が取り消されるケースには、次の5つがあります。

  • 単純出国する
  • 再入国許可の期限を過ぎても帰ってこない
  • 退去強制される
  • 住所地変更の届出を怠る
  • 虚偽申請で永住権を取得したことがバレる

いずれのケースも致命的な取消事由です。絶対に起こさないように注意しましょう。

単純出国する

単純出国とは、みなし再入国許可を含む再入国許可を受けることなく、日本から出国する行為です。

故意かどうかを問わず、単純出国すると、すべての在留資格と在留期間が消滅してしまいます。

再入国許可の期限を過ぎても帰ってこない

再入国許可とは、外国人が一時的に出国し再び日本に入国しようとする場合に、入国・上陸手続を簡略化するために出入国在留管理庁長官が出国に先立って与える許可です。1回限り有効なものと有効期間内であれば何回も使用できる数次有効なものの2種類があります。

後者の数次有効なものを使用する場合、5年間を最長とする期限を過ぎても日本に帰ってこないと、永住権が取り消されます。再入国許可の期限オーバーは、永住権の取消事由として最も多いため、注意が必要です。

同様の出入国手続上の瑕疵では、みなし再入国許可によって日本を出国し、1年以内に日本へ再入国しなかった場合も、永住権が取り消されます。

退去強制される

退去強制とは、日本が好ましくないと認める外国人を行政手続きにより日本の領域外に強制的に退去させることです。出入国管理及び難民認定法第24条(退去強制)に規定されています。

退去強制事由に該当すると、永住者でも日本から強制的に退去させられ、在留資格を失います。代表的な退去強制事由は次のとおりです。

  • 上陸許可を受けることなく日本に入国する
  • 不正に上陸や在留するために、組織的・専門的に偽物のパスポートや書類を作成したり、提供したりする
  • 在留資格で定められた活動以外のことをする
  • 日本に滞在することを許された期間を過ぎて滞在する
  • 犯罪により懲役または禁錮に処せられる
  • 売春関係の業務に従事する
  • 出向命令制度などによりすでに退去命令が出ているにもかかわらず日本に居続ける

居住地変更の届出を怠る

引っ越しに伴って居住地を変更したにもかかわらず、地方出入国在留管理局に居住地変更の届出をせず、90日以上放置すると、永住権が取り消される可能性があります。

住民基本台帳法では、転入をした日から14日以内に転出先の役場窓口に転入届を提出する義務が規定されています。同じように、地方出入国在留管理局に対しても居住地変更の届出を忘れないようにしましょう。

ただし、住居地変更の届出をしないことについて、次のような正当な理由がある場合は、永住権が取り消されない場合があります。

勤務先の急な倒産や派遣切りなどで住居を失い、経済的困窮によって新たな住居地を定めていない場合 配偶者からの暴力を理由として避難または保護を必要としている場合 病気治療のため医療機関に入院しているなど、医療上のやむを得ない事情が認められ、本人に代わって届出を行うべき者がいない場合 転居後急な出張により再入国出国した場合など、再入国許可による出国中である場合 頻繁な出張を繰り返して1回当たりの日本の滞在期間が短いものなど、在留活動の性質上住居地の設定をしていない場合

出典:法務省入国管理局「住居地の届出を行わないことに正当な理由がある場合等在留資格の取消しを行わない具体例について

虚偽申請で永住権を取得したことがバレる

虚偽申請による永住権の取得は基本的に一発アウトです。バレた段階で、永住権が取り消されます。

出入国管理及び難民認定法第22条の4第1号~第4号に規定される虚偽申請とは、嘘をつくなどの不正な手段を用いた申請だけではありません。捏造・改ざんなどした不実の記載のある文書などを用いた申請も、虚偽申請とみなされます。

なお、虚偽申請の有無がチェックされるのは、永住権申請だけではありません。過去の就労や配偶者ビザなどの申請も対象となります。つまり、それらの在留資格の申請に際して、虚偽や書類の捏造などをしていれば、年数の経過にかかわらず、現在保有する在留資格が取り消されます。

永住権が取り消されたらどうなる?

ここからは、永住権が取り消されるまでの流れや永住権取消による影響などについて解説します。

永住権が取り消されるまでの流れ

永住権が取り消されるまでの流れは、次のとおりです。

入国審査官または入国警備官による事実の調査 意見聴取(正当な理由なく意見聴取に応じない場合、意見徴収を経ずに在留資格が取り消される場合があります) 委任を受けた出入国在留庁長官及び地方出入国在留管理局長を含む法務大臣による判断 在留資格の取消し

出典:出入国在留管理庁「在留資格の取消し(入管法第22条の4)

永住権の再取得は可能

永住権が取り消されても、永住権の再取得は可能です。

しかし、永住権を再取得するまでには、長い年月を要します。永住許可に関するガイドラインでは、要件として10年以上の日本への在留が規定されていることから、再取得に最長10年以上かかるとみてよいでしょう。

配偶者や子どもの在留資格に影響はない

自分の永住権が取り消されても、配偶者や子どもの在留資格に影響はありません。

実際、出入国在留管理庁によれば、永住者の子どもの在留資格が「永住者」や「永住者の配偶者等」である場合、永住者以外の在留資格に変更する必要はありません。ただし、配偶者の在留資格が「永住者の配偶者等」の場合は配偶者要件から外れるため、「定住者」などの資格に変更する必要があります。

取消処分に不服がある場合は取消訴訟も提起可能

職権による在留資格の変更や、永住権の取消処分に不服がある場合は、取消訴訟の提起が可能です。

取消訴訟は、行政庁の処分・裁決について、その全部または一部の取消しを求め、その処分・裁決の法的効力をさかのぼって消滅させる訴えです。

永住権の取消処分を不服とした取消訴訟が提起されたのはそもそも永住権の取消件数が少ないこともあり、ごくわずかです。それでも、2020年ごろには、当時8歳のフィリピン国籍の女児が永住許可申請書に父親の名前を記さなかったことにより、約6年後に国から在留資格を取り消されたのは違法だとして、取消訴訟を提起したことがあります。

まとめ

永住権の取消事由に該当する状況があったとしても、すぐに永住権が取り消されるわけではありません。

上述のとおり、意見聴取を経たうえで、取消しが相当であると判断されて初めて、永住権が取り消されることになります。

そのため、ご自身の永住権について不安があるときは慌てず、適切な支援機関や専門家に相談するとよいでしょう。これらの機関や専門家に相談することで、問題や不安の解消を図ることができるでしょう。

記事の監修者

Eight Links 行政書士事務所 所長
蜂須賀 昭仁

2016年9月〜
VISA専門行政書士事務所
「Eight Links 行政書士事務所」を開業
専門分野 外国人在留資格申請、帰化許可申請
外国人の在留資格申請を専門分野とし
年間500件以上の相談に対応

講師実績
広島県行政書士会国際業務協議会 担当講師
中華人民共和国遼寧省鉄嶺市(外国人会社設立・経営管理)についての講師

詳しいプロフィールを見る

運営HP
広島外国人ビザ相談センター
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