交通違反が永住権申請に与える影響とは?過去に交通違反を起こしている場合の対処法も解説!

永住権の許可要件には、申請者の過去の行動や現在の生活態度が日本社会の秩序や法令を尊重しているかどうかをチェックする素行善良要件があります。この要件では、過去の交通違反歴も審査の対象です。
それだけに、永住権許可の申請を検討する外国人の方のなかには、交通違反が永住権申請に与える影響について心配している方も少なくありません。
そこで、本記事では、交通違反が永住権申請に与える影響について解説します。申請前に交通違反を起こしている場合の対応方法についても解説するため、参考にしてください。
交通違反は永住権申請にどう影響を与える?
交通違反は、永住許可の審査にマイナスの影響をおよぼす可能性があります。
それは、軽微な交通違反を起こした場合でも変わりません。実際、スピード違反や駐車違反といった軽微な交通違反を繰り返した結果、永住許可の審査で素行善良要件に反すると判断され、不許可になったケースも多々あります。
一方、申請者が飲酒運転や死傷事故の加害者である場合は、絶望的です。飲酒運転や死傷事故で罰金刑や懲役刑を受けてから所定の年数が経過していない場合、申請者は完全に国益適合要件に反するため、ほぼ不許可になってしまうでしょう。
交通違反の種類
交通違反によってくだされる処分は、行政処分と刑事処分に大別されます。ここからは、それぞれ解説するため、参考にしてください。
行政処分
交通違反における行政処分は、公安委員会が道路交通法や道路交通法施行令に基づいて、運転者の運転免許の効力の停止や取消しなどを決定する処分です。
交通違反における行政処分は、運転者の将来における道路交通上の危険性を定量的に評価する点数制度で決まります。点数制度は、運転者は過去3年以内の処分回数と累積点数に応じて、免許の拒否や保留、取消し、停止などの処分を受ける仕組みです。
なお、行政処分は行政制裁の一種のため、前科はつきません。
刑事処分
交通違反における刑事処分は、点数制度上6点以上の重大な交通違反に科せられる刑罰です。出頭した裁判所の裁判で有罪が決まると、「罰金・禁錮・懲役」のいずれかの刑罰が科せられます。仮に罰金のみで終わった場合でも、有罪を受けた事実は変わらないため、前科がつきます。
ただし、重大な交通違反を起こしても、交通反則通告制度と呼ばれる制度を利用することで、刑罰を免れることが可能です。
交通反則通告制度は、運転者が反則行為と呼ばれる比較的軽微な交通違反を起こした場合、一定期間内に反則金を納めると、刑罰の発動を免れる制度です。いわゆる「青切符」と呼ばれる青色の交通反則告知所によって処理される交通違反が対象で、期限内に反則金を納めると、刑事裁判や家庭裁判所の審判を受けないで事件が処理されます。
交通違反をした場合に交付される切符の種類
交通違反をした場合に交付される切符には、赤切符と青切符、白切符の3種類があります。ここからは、それぞれの切符の種類について解説します。
赤切符
赤切符は、点数制度上6点以上で、刑事罰が適用される交通違反を起こしたときに交付される切符です。正式名称は「道路交通法違反事件迅速処理のための共用書式」と呼ばれます。
赤切符の交付対象となる交通違反は酒気帯び運転や一般道での30km/h以上の速度超過、無免許運転などです。これらの交通違反で赤切符が切られると、運転者は罰金刑や懲役刑が科され、前科も付きます。
青切符
青切符は、駐停車違反や一般道での30km/h以下のスピード違反など、6点未満の比較的軽度な交通違反をしたときに交付される切符です。正式名称は「交通反則告知書」と呼ばれ、違反点と反則金の支払いが科せられます。
青切符の対象となる交通違反を起こすと、道路を取り締まる警察官により青切符と反則金の仮納付書が交付されます。違反者は納付期限内に反則金を納めることで、刑事処分を免れることが可能です。
白切符
白切符は、青切符よりもさらに軽微な交通違反を犯したときに交付される切符です。正式名称は「告知票」と呼ばれています。
白切符交付の対象となる交通違反は、シートベルト装着義務違反やチャイルドシート使用義務違反などです。白切符が交付対象の交通違反の場合、反則金を納める必要はありませんが、違反点数は1点が加算されます。
交通違反が永住権申請に与える具体的な影響
ここからは、交通違反が永住権申請に与える影響について解説します。
赤切符の場合
赤切符を切られると、懲役刑や罰金刑といった刑罰が科せられます。刑罰が科せられると、素行善良要件に充足できなくなるため、永住許可審査はほぼ通りません。
素行善良要件を再び満たし、永住許可審査を通過するためには、次の年数を経過する必要があります。
- 懲役・禁錮刑の場合は出所後10年(ただし、執行猶予が付いている場合は、猶予期間満了から5年)
- 罰金刑の場合は、刑の執行から5年
青切符の場合
何回までという規定は特にありませんが、軽微な交通違反が過去5年間で3〜4回程度であれば永住許可審査に影響はないとされています。
ただし、軽微な交通違反でも、直近年度に複数回続けている場合は、永住許可審査で不許可の判断が下りる可能性が高くなります。
また、軽微な交通違反の繰り返しにより過去3年間で違反点数が6点以上で、免許停止の処分をくだされた場合は、永住申請が可能になるまで5年以上待たなければなりません。
過去に交通違反を起こしていた場合
一般的に、青切符対象の交通違反でも、違反時から5年経過していれば、永住許可審査に与える影響は小さいとされています。
それでも、過去に交通違反を起こしている場合は、理由書や陳述書で、「過去に交通違反を起こしたが、現在はルールを守っている」ことを証明するとよいでしょう。
申請前に交通違反を起こしている場合の対応方法
申請前に交通違反を起こしている場合の対応方法には、次の4つがあります。
- 運転記録証明書を発行して違反点数を調べる
- 未納の反則金があれば支払っておく
- 永住許可申請書で正直に申告する
- 在留許可の専門家に相談する
これらの対応方法を知っておくことで、過去に交通違反を起こしていても、慌てずに済みます。ぜひ参考にしてください。
運転記録証明書を発行して違反点数を調べる

出典:自動車安全運転センター「運転経歴に係る証明書」
過去に交通違反を起こしており、現在、どのくらい点数が累積しているかわからない場合は、最寄りの自動車安全運転センター窓口で運転記録証明書の発行を依頼しましょう。
運転記録証明書には、過去5年・3年または1年の交通違反、交通事故、運転免許の行政処分の履歴が記録されています。記録を確認することで、運転者は違反点数を把握可能です。
未納の反則金があれば支払っておく
申請時に未納の反則金があれば、必ず払っておきましょう。反則金は制度上、納付が任意とされているものの、未納のままだと最悪、刑事手続きへの移行を招いてしまうためです。
刑事手続きへの移行後、裁判の結果として刑事罰が科されれば、永住権の許可は大きく遠のいてしまいます。それだけに、未納の反則金は払っておくことに越したことはありません。
永住許可申請書で正直に申告する
過去に交通違反を起こしている場合は、永住許可申請書で正直に申告しましょう。
永住許可申請書には、「犯罪を理由とする処分を受けたことの有無(日本国外におけるものを含む。)」という記載欄があります(下図)。
出典:出入国在留管理庁「永住許可申請書」
この欄に、過去の交通違反の履歴をすべて書きましょう。違反歴が多岐にわたる場合は、別紙を付けても問題ありません。
在留許可の専門家に相談する
過去に重大な交通違反を起こしている場合や、軽微な交通違反を繰り返している場合は、在留資格の専門家に相談するのもおすすめです。
弁護士や行政書士といった専門家は、永住権を取得するうえで不利な履歴が申請者にあっても解決策を考えてくれるでしょう。
まとめ
交通違反は永住権の審査に明白な影響を与えます。特に、交通違反で刑罰を受けている場合、永住権審査を突破するのは絶望的です。軽微な交通違反を繰り返している場合も、過去3年以内の処分回数と累積点数によって、不許可が下りる可能性が高くなります。
こうした実情を踏まえ、交通違反歴により永住権申請に不安がある方は、行政書士をはじめとした在留資格の専門家のサポートを受けるとよいでしょう。
記事の監修者

Eight Links 行政書士事務所 所長
蜂須賀 昭仁
2016年9月〜
VISA専門行政書士事務所
「Eight Links 行政書士事務所」を開業
専門分野 外国人在留資格申請、帰化許可申請
外国人の在留資格申請を専門分野とし
年間500件以上の相談に対応
講師実績
広島県行政書士会国際業務協議会 担当講師
中華人民共和国遼寧省鉄嶺市(外国人会社設立・経営管理)についての講師
運営HP
広島外国人ビザ相談センター
https://hiroshima-visa.link/
広島国際結婚&配偶者ビザ申請代行センター
https://eightlinks.link/marriage/
広島永住ビザ申請代行センター
https://hiroshima-visa.link/permanent/
広島外国人雇用&就労ビザ申請代行センター
https://eightlinks.link/work/
広島外国人会社設立&経営管理ビザ申請代行センター
https://hiroshima-visa.link/businessmanagement/
広島帰化申請代行センター
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蜂須賀 昭仁
2016年9月〜
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専門分野 外国人在留資格申請、帰化許可申請
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