永住許可申請に必要な書類とは?取得方法や取得時の注意点も解説!

永住許可の申請では、在留資格の種類や申請人の立場に合わせて、多くの書類を用意しなければなりません。

用意が必要な書類には、出入国在留管理庁が指定する必須書類と、申請人が不利益事項をカバーするために提出する任意書類(理由書や疎明資料など)に分かれます。審査官がこれらの資料を総合的に判断した結果、永住許可の要件を満たしていると判断すれば、永住許可がもらえます。

これを踏まえ、本記事では、永住許可申請に必要な書類のほかに、ケース別に必要な書類について解説します。永住許可申請に必要な書類の取得ルートや書類を取り寄せる際の注意点についても解説するため、参考にしてください。

永住許可申請に必要書類一覧

永住許可申請に必要な書類は現在の在留資格によって異なりますが、申請人が日本人・永住者・特別永住者の配偶者、あるいは実子である場合、次のような書類が必要です。

永住許可申請書 写真 身分関係を証明する次のいずれかの資料 申請人を含む家族全員(世帯)の住民票 申請人または申請人を扶養する方の職業を証明する資料 直近(過去3年分)の申請人及び申請人を扶養する方の所得及び納税状況を証明する資料 申請人及び申請人を扶養する方の公的年金及び公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料 申請人の親族一覧表 パスポート(旅券)または在留資格証明書 在留カード 身分保証に関する資料 了解書

出典:出入国在留管理庁「永住許可申請1

このうち、日本で発行される証明書については、すべて発行日から3カ月以内である必要があります。また提出書類が外国語で作成されている場合は、日本語訳の書類を添付しなければなりません。

これらの点にも留意したうえで、書類を収集してください。

永住許可申請書 1通

永住許可申請書は、出入国在留管理庁のウェブページからダウンロード可能です。地方出入国在留管理局の窓口でも入手できます。

写真(縦4cm×横3cm) 1葉

写真は規格を満たしたうえで、申請書に添付して提出します。具体的な規格については、次のとおりです。

縦4センチ、横3センチ 申請人本人のみが撮影されている 縁を除いた部分の寸法が、出入国在留管理庁が指定する各寸法を満たしている 無帽で正面を向いている 背景(影を含む)がない 鮮明である 提出の日前6カ月以内に撮影されている 裏面に氏名が記載されている(写真を直接申請書の写真添付欄に印刷して提出する場合を除く)

出典:出入国在留管理庁「提出写真の規格

これらの規格を満たさない写真を用いて申請された場合は、写真の撮り直しを求められる場合があります。なお、16歳未満の方は、写真の提出が不要です。

身分関係を証明する次のいずれかの資料

身分関係を証明する資料では、戸籍謄本をはじめとした公的資料を用意する必要があります。

  1. 申請人が日本人の配偶者である場合

配偶者の戸籍謄本(全部事項証明書)1通

  1. 申請人が日本人の子である場合

日本人親の戸籍謄本(全部事項証明書)1通

  1. 申請人が永住者の配偶者である場合

婚姻関係を証明できる次のいずれかの書類

  1. 配偶者との婚姻証明書1通
  2. 上記aに準ずる文書(申請人と配偶者との身分関係を証明するもの)適宜
  1. 申請人が永住者または特別永住者の子である場合

親子関係を証明できる次のいずれかの書類

  1. 出生証明書1通
  2. 上記aに準ずる文書(申請人と永住者または特別永住者との身分関係を証明するもの)適宜

申請人を含む家族全員(世帯)の住民票 1通

個人番号(マイナンバー)を省略したうえで、他の事項について省略のない住民票を用意します。

申請人または申請人を扶養する方の職業を証明する資料

  1. 会社等に勤務している場合

在職証明書1通

  1. 自営業等である場合
  1. 確定申告書控えの写し1通
  2. 営業許可書の写し(ある場合)1通

*自営業などの方は、書面を通じて自らの職業を立証する必要があります。

  1. その他の場合

職業にかかる説明書(書式自由)及びその立証資料 適宜

また、申請人と配偶者の両者が無職である場合、その旨を説明書(書式自由)に記載して提出する必要があります。

直近(過去3年分)の申請人及び申請人を扶養する方の所得及び納税状況を証明する資料

日本人と永住者、特別永住者の実子である場合は、直近1年分の資料を提出する必要があります。

  1. 住民税の納付状況を証明する資料
  1. 直近3年分の住民税の課税(または非課税)証明書および納税証明書(1年間の総所得および納税状況が記載されたもの)各1通
  2. 直近3年間で住民税を適正な時期に納めていることを証明する資料(通帳の写し、領収書など)
  1. 国税の納付状況を確認する資料

源泉所得税および復興特別所得税、申告所得税および復興特別所得税、消費税および地方消費税、相続税、贈与税にかかる納税証明書

  1. その他

所得を証明する次のいずれかの資料

  1. 預貯金通帳の写し 適宜
  2. 上記aに準ずるもの 適宜

申請人及び申請人を扶養する方の公的年金及び公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料

直近2年間に加入した保険料の納付状況を証明する資料では、次に紹介する資料のうち、該当する資料を提出する必要があります。

ただし、日本人と永住者、特別永住者の実子である場合は、直近1年分の資料で構いません。

  1. 直近2年間の公的年金の保険料の納付状況を証明する資料
  1. 「ねんきん定期便」(全期間の年金記録情報が表示されているもの)
  2. ねんきんネットの「各月の年金記録」の印刷画面
  3. 国民年金保険料領収証書(写し)
  1. 直近2年間の公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料
  1. 健康保険被保険者証(写し)
  2. 国民健康保険被保険者証(写し)
  3. 国民健康保険料(税)納付証明書
  4. 国民健康保険料(税)領収証書(写し)

①マイナ保険証を所持している方

マイナポータルの健康保険証情報に記載の「資格取得年月日」が確認できる画面の写し(3カ月以内のもの)

②マイナ保険証を所持していない方

「資格確認証」(写し)

上記の書類の提出が難しい場合は、その理由を記載した理由書を提出する必要があります。

  1. 申請人が申請時に社会保険適用事業所の事業主である場合

申請時に、社会保険適用事業所の事業主である方は、事業所における公的年金と公的医療保険の保険料にかかる資料として、次の①、②を提出しなければなりません。

もちろん、上記の「公的年金の保険料の納付状況を証明する資料」と「公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料」の提出も必要です。

  1. 健康保険・厚生年金保険料領収書(写し)

すべての期間について領収証書(写し)が提出できない方は、下記②を提出します。

  1. 社会保険料納入証明書または社会保険料納入確認(申請)書(いずれも未納の有無を証明・確認する場合)

申請人の親族一覧表

申請人が日本人の配偶者等または永住者の配偶者等(実子または特別養子を除く)の在留資格を持つ場合は、親族一覧表を提出する必要があります。

パスポート(旅券)または在留資格証明書*提示

パスポート(旅券)または在留資格証明書を提示できない場合は、その理由を記載した理由書を提出する必要があります。

在留カード*提示

申請人以外の方が、代わって永住許可申請する場合は、来庁する方が申請人の在留カードを持参する必要があります。

在留資格に属さない収入を伴う事業を運営する場合に必要な資格外活動許可書の交付を受けている方は、資格外活動許可書も提出しなければなりません。

身元保証に関する資料

  1. 身元保証書 1通

身元保証書は、出入国在留管理庁のウェブページからダウンロード可能です。地方出入国在留管理局の窓口でも受け取れます。

  1. 身元保証人にかかる次の資料

身元保証書に加え、次のa〜cを提出しなければなりません。

  1. 職業を証明する資料

在職証明書や会社の登記簿謄本など

  1. 直近1年分の所得を証明する資料

住民税の課税証明書や源泉徴収税の写しなど

  1. 住民票1通

了解書 1通

了解書は、出入国在留管理庁のホームページよりダウンロード可能です。地方出入国在留管理局の窓口でも受け取れます。

ケース別に必要な書類

ここからは、就労ビザから永住許可申請するパターンと定住者から永住許可申請するパターンに分けて、必要書類について解説します。

就労ビザから永住許可申請する際に必要な書類

就労ビザ(技術・人文知識・国際業務等)から永住許可申請する際に必要な書類は次のとおりです。

永住許可申請書 写真(縦4㎝×横3㎝) 永住許可を必要とする理由書 申請人を含む家族全員の住民票 ①在職証明書、②確定申告書控えの写し、③営業許可書の写し、④職業にかかる説明書およびその立証資料、のいずれかの書類 直近5年分の住民税の課税(または非課税)証明書 直近5年分の住民税の納税証明書 直近5年分の住民税を適正な時期に納めていることを証明する資料(通帳の写しなど) ①源泉所得税・復興特別所得税、②申告所得税・復興特別所得税、③消費税・地方消費税、④相続税、⑤贈与税、のすべての情報が記載された書類 直近2年分のねんきん定期便またはネットの「各月の年金記録」の印刷画面 直近2年分の国民年金保険料領収証書(写し) 健康保険被保険者証(写し) 国民健康保険被保険者証(写し) 直近2年分の国民健康保険料(税)納付証明書 直近2年分の国民健康保険料(税)領収証書(写し) 直近2年分の健康保険・厚生年金保険料領収書(写し) 直近2年分の社会保険料納付証明書または社会保険料納入確認(申請)書 ①預貯金証明書の写し、②不動産の登記事項証明書のいずれかの書類等 身元保証書 身元保証書にかかる資料 我が国への貢献にかかる資料(ある場合のみ) 了解書

出典:出入国在留管理庁「永住許可申請にかかる提出書類一覧表(概要版(就労資格))

定住者から永住許可申請する際に必要な書類

定住者から永住許可申請する際に必要な書類は、次のとおりです。

永住許可申請書 写真(縦4㎝×横3㎝) 永住許可を必要とする理由書 ①戸籍謄本、②婚姻証明書、③出生証明書、④認知届の記載事項証明書等、⑤上記①〜④に準ずるもの、のいずれかの書類等 申請人を含む家族全員の住民票 ①在職証明書、②確定申告書控えの写し、③営業許可書の写し、④職業にかかる説明書およびその立証資料、のいずれかの書類 直近5年分の住民税の課税(または非課税)証明書 直近5年分の住民税の納税証明書 直近5年分の住民税を適正な時期の納めていることを証明する資料(通帳の写し等) ①源泉所得税・復興特別所得税、②申告所得税・復興特別所得税、③消費税・地方消費税、④相続税、⑤贈与税、のすべての情報が記載された書類 直近2年分のねんきん定期便またはネットの「各月の年金記録」の印刷画面 直近2年分の国民年金保険料領収証書(写し) 健康保険被保険者証(写し) 国民健康保険被保険者証(写し) 直近2年分の国民健康保険料(税)納付証明書 直近2年分の国民健康保険料(税)領収証書(写し) 直近2年分の健康保険・厚生年金保険料領収書(写し) 直近2年分の社会保険料納付証明書または社会保険料納入確認(申請)書 ①預貯金証明書の写し、②不動産の登記事項証明書のいずれかの書類等 身元保証書 身元保証書にかかる資料 我が国への貢献にかかる資料(ある場合のみ) 了解書

出典:出入国在留管理庁「永住許可申請にかかる提出書類一覧表(概要版(就労資格以外)

永住許可申請に必要な書類の取得ルート

永住許可申請に必要な書類の主な取得ルートには、次の3つがあります。

  • 市区町村役場から書類を取得する
  • 日本年金機構から年金関連書類を取得する
  • 本国機関から書類を取り寄せる

ここからはそれぞれ取得ルートにおける留意点について解説するので、参考にしてください。

市区町村役場から書類を取得する

市区町村の役場で取得できる書類には、住民税・国民健康保険税の課税証明書や住民票、戸籍謄本、出生届の記載事項証明書などがあります。

このうち、住民票は住民コードと個人番号を除いた、世帯全員分で省略なしのものを取得することが必要です。また、戸籍謄本は、本籍地のある役所に請求します。現住所と本籍地が違うケースがある点に注意しましょう。本籍地が不明な場合は、省略なしの住民票に記載されています。

他方、住民税の納税証明書については、住民税の未納があると永住が許可されないため、未納がある方は必ず支払いを済ませてから発行を請求しましょう。

また、国民健康保険税の納税証明書は、国民健康保険に加入している場合に取得します。ただし、会社で社会保険に加入している方や社会保険に加入している方の扶養に入っている方は取得する必要はありません。

日本年金機構から年金関連書類を取得する

日本年金機構から取得できる書類には、全期間の年金記録情報が表示されている書類や、国民年金保険料領収証書などがあります。

このうち、年金記録を記載した「ねんきん定期便」については、日本年金機構の専用窓口に「全期間分(封書)を交付希望」と伝えることで交付申請できます。毎年送付されるはがき形式のねんきん定期便もありますが、全期間の年金記録情報を確認できないため、注意が必要です。

また、ねんきん定期便の交付には約2カ月かかるため、早く年金記録を取得したい方は、ねんきんネットの「各月の年金記録」を印刷するとよいでしょう。ねんきんネットについては、日本年金機構のウェブページから登録可能です。

本国機関から書類を取り寄せる

本国機関から取り寄せる書類には、中国人の場合は出生公証書や結婚公証書、家族関係証明書、韓国人の場合は基本証明書や婚姻関係証明書、家族関係証明書などがあります。

これらの書類を取得する方法については、各国によってさまざまです。たとえば、上述の中国人の場合に取得が必要な書類は、本国にある「公証処」に申請して取得しなければなりません(駐日の大使館・総領事館を通じて届出をしていた場合を除く)。

一方、上述の韓国人の場合に取得が必要な書類は、日本にある韓国大使館・領事館で取得可能です。つまり、本国からわざわざ取り寄せる必要がありません。

このように、本国機関から書類を取り寄せる方法は国によって異なります。そのため、取り寄せに際しては、必要な書類を特定したうえで、具体的な手続きや手数料について確認することが大切です。

永住許可申請に必要な書類を取得する際の注意点

永住許可申請に必要な書類を取得する際は次の3つのポイントに留意する必要があります。

  • 事前に取得方法について確認する
  • 取得した書類の有効期限に注意する
  • 身元保証人に書類を準備してもらう必要がある

これらのポイントに気をつけることで、書類の不備や不足の発生を防げます。ご参考にしてください。

事前に取得方法について確認する

書類はそれぞれ取得方法が異なるため、取得に失敗しないよう、事前に取得方法を確認することが重要です。

特に官庁の窓口で公的書類の発行を申請するときは、官庁の開庁時間や必要な身分証明書を事前に把握しておくとよいでしょう。

また、取得手続きでわからない点があるときは、担当窓口に問い合わせて確認することも大切です。発行元が複数あり、手間がかかる場合は、行政書士や弁護士といった法律の専門家に手続きを委任するのもよいでしょう。

取得した証明書の有効期限に注意する

日本で発行される証明書はすべて発行日から3カ月以内のものを提出する必要があるため、取得した証明書の有効期限には注意しましょう。

有効期限が切れた証明書を提出しないためには、計画的な準備が必要です。具体的には、事前にすべての書類をリストアップしたうえで、発行まで時間を要する証明書から発行を申請するとよいでしょう。

身元保証人に書類を準備してもらう必要がある

永住ビザの申請には身元保証人が必要です。そのため、身元保証人には書類を準備してもらわなければなりません。

身元保証人に用意してもらう必要がある書類は、身元保証書のほか、身分証明書の両面コピーのみです。決して多くありませんが、永住ビザの身元保証人になれるのは、日本人または永住ビザの取得外国人に限られるため、書類を準備する際に注意が必要です。

まとめ

永住許可申請に必要な書類は、在留資格の種類や個々の状況によって異なります。そのため、必要な書類を事前に確認したうえで、必須書類を収集することはもちろん、状況に合わせて任意書類を作成することが大切です。

必要書類のうち、任意書類については、どういった場面で必要なのか、個人での判断が難しい部分があります。そのため、任意書類の準備に悩んだ場合は、行政書士をはじめとする在留資格の専門家に相談することをおすすめします。

記事の監修者

Eight Links 行政書士事務所 所長
蜂須賀 昭仁

2016年9月〜
VISA専門行政書士事務所
「Eight Links 行政書士事務所」を開業
専門分野 外国人在留資格申請、帰化許可申請
外国人の在留資格申請を専門分野とし
年間500件以上の相談に対応

講師実績
広島県行政書士会国際業務協議会 担当講師
中華人民共和国遼寧省鉄嶺市(外国人会社設立・経営管理)についての講師

詳しいプロフィールを見る

運営HP
広島外国人ビザ相談センター
https://hiroshima-visa.link/
広島国際結婚&配偶者ビザ申請代行センター
https://eightlinks.link/marriage/
広島永住ビザ申請代行センター

https://hiroshima-visa.link/permanent/
広島外国人雇用&就労ビザ申請代行センター

https://eightlinks.link/work/
広島外国人会社設立&経営管理ビザ申請代行センター

https://hiroshima-visa.link/businessmanagement/
広島帰化申請代行センター

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蜂須賀 昭仁

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