特別永住と通常の永住はどう違う?手続き・対象者・メリットをやさしく解説

「特別永住」と「永住ビザ(通常の永住)」は、どちらも日本に長く暮らす外国人に関係する在留資格ですが、制度上の目的や対象者、手続きには大きな違いがあります。特別永住は、戦後の歴史的背景をもとに制度化された特例的な在留資格で、対象となるのは一部の在日コリアンの方やその子孫に限られています。一方、通常の永住ビザは、長期間日本に住み、一定の条件を満たした外国人に与えられる資格です。本記事では、両者の違いや手続きの流れ、制度の背景をわかりやすく整理し、広島県における相談傾向や地域支援の状況も交えて紹介します。はじめてこの話題に触れる方でも理解しやすいよう、やさしく解説していきます。

特別永住とは?|制度の背景と対象者をやさしく解説

特別永住とは、戦後日本に残った元日本国籍者とその子孫のために設けられた、特例的な在留資格です。法的には「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(以下:特例法)」第4条に基づきます。

対象者は主に以下の通りです。

  • 1945年9月2日以前から日本に居住していた旧植民地出身者(主に韓国・朝鮮籍)
  • その子・孫などの直系子孫で、日本で出生し引き続き日本に居住している者

2024年時点で、全国の特別永住者数は約27万人(出典:出入国在留管理庁)であり、広島県にも相当数の特別永住者が生活しています。

この制度は、通常の在留資格とは異なり、歴史的・人道的配慮のもとで設けられており、一般の外国人とは異なる扱い(例:在留カード携帯義務の免除等)も存在します。

特別永住と通常の永住ビザの違いを比較してみよう

「永住」という言葉は同じでも、特別永住と通常の永住ビザ(一般永住者)では、制度の目的・取得条件・更新要否などに大きな違いがあります。以下の表に代表的な違いをまとめました。

比較項目特別永住者通常の永住者(永住ビザ)
根拠法令特例法出入国管理及び難民認定法
主な対象者在日韓国・朝鮮人およびその子孫日本に一定年数滞在した外国人
申請要件主に出生によって自動的に該当所得・在留歴・素行等の条件あり
手続きの場所市区町村(役所の住民課など)出入国在留管理局
在留カードの扱い特別永住者証明書(携帯義務なし)在留カード(常時携帯義務あり)
更新の有無7年ごとの証明書更新原則、更新不要(無期限)
退去強制の可能性原則、非常に限定的条件により退去強制の対象になる場合あり

このように、制度上の設計思想が大きく異なっており、特別永住者は「例外的に保護された在留資格」と言える存在です。

特別永住者になるには?出生と申請の具体的な流れ

特別永住者の資格は、多くの場合「親が特別永住者である子」が出生によって取得します。出生した子は、60日以内に市区町村の窓口で「特別永住許可申請」を行う必要があります。

以下がその基本的な手続きの流れです。

  1. 出生届提出(7日以内)+住民登録
  2. 60日以内に特別永住許可申請
  3. 必要書類の提出(下記参照)
  4. 審査後、特別永住者証明書の交付

主な提出書類:

  • 特別永住許可申請書
  • 出生を証明する書類(出生届受理証明書など)
  • 父母の住民票または特別永住者証明書の写し

※役所によっては追加書類を求められることがあります。最新情報は必ず市役所または区役所で確認を。

広島市や福山市では、外国人登録業務に慣れた担当者がいる窓口が設置されており、相談しやすい体制が整っています。

特別永住者のメリットと課題|地域との共生の現状

特別永住者は長年にわたり日本社会の一員として生活してきました。制度的にも一定の保護がされており、以下のようなメリットがあります。

  • 入管での在留資格変更などが不要
  • 在留カードの常時携帯義務がない
  • 一部社会保障制度への参加が可能

一方で、課題も残っています。たとえば、就職時に「特別永住者」として区別されることで、無意識の偏見や書類上の不利益を被る場合があります。また、制度の存在自体を知らない人が多く、誤解されることも少なくありません。

広島県でも、国際交流センターやNPOによる多文化共生の取り組みが進められており、特別永住者を含む外国人との共生に向けた啓発活動が行われています。

よくある誤解:「特別永住者は特権階級なのか?」

一部では、「特別永住者は優遇されすぎている」といった誤解もありますが、これは制度の背景や対象者の限定性を正しく理解していないことに起因します。

特別永住者は日本にルーツを持ち、祖国との往来が難しかった歴史的経緯のもとで「在留資格を失わないため」に制度化された存在です。特例的な扱いではありますが、それは特権ではなく、戦後処理の一環としての法的配慮です。

また、2024年時点の全在留外国人に占める特別永住者の割合は約7%程度(27万人/約377万人)であり、大多数ではないことも数字から明らかです(出典:出入国在留管理庁)。

まとめ|「違いを知ること」が誤解をなくす第一歩

「特別永住者」と「通常の永住者」は、在留資格として似た印象を持たれがちですが、制度設計・歴史的背景・対象者はまったく異なります。特に特別永住は、歴史的経緯に根ざした「一代限りではない在留制度」であり、単なる移民制度とは異なる存在です。

広島県でも特別永住者を含む多様な国籍の方が地域社会の一員として生活しており、行政や支援団体が共生のための取り組みを続けています。

これから永住制度について学びたい方、支援を行いたい方にとって、「制度を正しく理解すること」が何より大切です。誤解や偏見ではなく、事実に基づいた知識をもとに、共に暮らす社会を築いていきましょう。

当事務所では、広島県内における永住・帰化・在留資格に関するご相談を随時受け付けております。特別永住や一般永住の違いがわからない方も、お気軽にお問い合わせください。

記事の監修者

Eight Links 行政書士事務所 所長
蜂須賀 昭仁

2016年9月〜
VISA専門行政書士事務所
「Eight Links 行政書士事務所」を開業
専門分野 外国人在留資格申請、帰化許可申請
外国人の在留資格申請を専門分野とし
年間500件以上の相談に対応

講師実績
広島県行政書士会国際業務協議会 担当講師
中華人民共和国遼寧省鉄嶺市(外国人会社設立・経営管理)についての講師

詳しいプロフィールを見る

運営HP
広島外国人ビザ相談センター
https://hiroshima-visa.link/
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