中国人が日本に帰化するときの、コツと注意点を教えます

外国人が日本に帰化する場合には、国内外から必要な証拠書類を調達してきて、申請書などの書類を作成し、さらに法務局の職員からの問い合わせにも真摯に答えられるようにしておかなければなりません。

国ごとに異なるのが、出生や婚姻などの個人情報などをまとめている証拠書類の名称や形式です。この記事では、中国人(本土)が日本に帰化する場合、祖国から取り寄せる必要のある証拠書類の特徴について紹介していきます。


■中国から取り寄せる証拠書類

中国人の個人情報は、中国の「公安局」が管理していますので、問い合わせをして取り寄せることになります。

中国には「戸口簿」という、日本の戸籍に相当する制度があります。国家が国民一人ひとりの個人情報を一元的にまとめている戸籍がある国は数少なく、中国はその貴重な国のひとつなのです。

ただし、戸口簿には「戸主」と自分との関係性しか表記されていません。よって、親族の関係性を網羅的にまとめている戸籍と比べると、証明できる事項が限定的となってしまいます。

よって、日本の帰化申請で使う証明書類として、一般的には戸口簿だけでは足りず、公証書によって情報を補足することが多いです。公証書も公証処で発行される書類で、「出生公証書」「死亡公証書」「結婚公証書」「離婚公証書」「国籍公証書」といった具合でジャンルごとにまとめられています。過去の経歴に応じて、必要なものを取り寄せましょう。

<出生公証書>(本人のもの)

生まれた日付や場所などの基本情報が記録されています。その形式は地域ごとにまちまちで、公証処によっては本人や父母の当時の写真が付いている場合もあります。ただ、日本で生まれた中国籍の方は、本国で出生公証書が作成されていません。この場合は日本の市区町村役場で「出生届の記載事項証明書」を取得して身元を証明します。

<結婚公証書>(本人と父母のもの)

本人が独身の場合は不要ですが、少なくとも父母の結婚公証書は取り寄せなければなりません。

もし、日本人と結婚していて、婚姻届を日本の役所に出した中国人の方ならば、原則としての中国で結婚公証書が作成されていません。その場合取り寄せは不要です。代わりに日本の役所で戸籍謄本を取得して提出します。婚姻年月日が記載されていることを念のために確認してください。

もし、中国人同士が日本で結婚している場合には、在日中国大使館・領事館で婚姻の手続きをしているはずですので、中国大使館・領事館で結婚公証書を取得できます。

<離婚公証書>(本人と父母のもの)

もし、過去に中国で離婚歴がある場合には、離婚公証書を取り寄せなければなりません。本人に離婚歴がなくても、父母が離婚したことがあれば、その離婚公証書を取得しましょう。

<死亡公証書>

もし、父か母がすでに亡くなっている場合には、死亡公証書を取得して家族関係の現状を正確に証明する書類として提出します。

<親族関係公証書>(本人・父母・兄弟姉妹が記載されているもの)

家族関係について中国当局が把握しているところを証明する書類です。こちらも日本生まれの中国人の方については作成されていませんので、その場合は華僑総会という組織で取得できる場合があります。

華僑総会とは、第二次世界大戦後に日本に取り残された、あるいは日本に住む意志を固めた中国人の権利を擁護し、物心ともに支える目的で設立された自主機関で、パスポートや各種証明書の発行に加えて、料理教室やパソコン教室などで技能を磨いたり在日中国人同士で交流を深めたりする活動なども実施しています。

<領事証明書>

帰化によって日本国籍を取得したことがきっかけで、中国籍を離脱することになる証明書です。日本は制度上、二重国籍を認めていませんので、中国人の場合は領事証明書の取得が必要となります。これは本国から取り寄せる必要がなく、在日中国大使館・領事館で取ることができます。


■日本から取り寄せできない公的書類が多い

中国人が日本に帰化する場合、領事証明書を除いては基本的に日本から直接取り寄せることができません。各公証書は中国の公証処に出向かなければ発行できない点には注意してください。

中国の公証処が「融通が利かない」と言ってしまえばそれまでですが、中国にはそれなりの事情があるのでしょう。ですから、何かの機会に中国に帰って公証処を訪問するか、中国に住む家族に頼んで取得してもらい、郵送をお願いするぐらいしか方法はありません。

もし、中国の家族に協力を求められない事情がある方ならば、そういう場合こそ、中国人の帰化手続きの経験が豊富な行政書士に相談する価値があります。手間がかかる公証書の取り寄せ手続きを代行してもらえて、とても便利です。中国人の帰化に詳しい行政書士は、現地の弁護士など、公証書の代理取得の資格がある人物と繋がりを持っているからです。

加えて、中国語の翻訳会社と提携している行政書士なら、日本語への翻訳文の作成まで、まとめて依頼できます。