帰化の申請には、どんな書類が必要ですか?(国内調達編)

帰化の申請は、基本的に書面審査であるため、必要な証拠書類を過不足なく揃えて、証拠書類に書かれていることと矛盾しない申請書類を作成することが、帰化の許可を得るためにとても重要です。

帰化の申請に必要な書類には、祖国から調達する書類、国内で調達できる書類、自分で作成する書類の3種類がありますが、このページでは、国内で調達する書類と自分で作成する書類の内訳について、それぞれ紹介します。


■国内で調達する書類

まずは住民票を発行してもらいましょう。住民登録している市区町村の役所のほか、マイナンバーカードを使えばコンビニなどでも簡単に取得できます。これによって、現住所の証明書となります。

さらに、以前の住所も証明する必要がありますので、法務省から「閉鎖外国人登録原票」を取り寄せることも必要です。

日本で自動車やバイクなどを運転したことがある人は、過去の交通違反や交通事故の少なさなどを立証して、素行が良いことを証明するために「運転記録証明書」を取り寄せます。発行元は各都道府県にある自動車安全運転センターです。

預貯金や株式、債券などがある方は、銀行や証券会社などの金融機関に依頼して「現在高証明書」や「有価証券保有証明書」を発行してもらいましょう。土地や建物など、不動産の所有者は法務局に「登記事項証明書」の発行を依頼します。

次に社会保険関係です。年金事務所に依頼して、「ねんきん定期便」や「直近1年分の年金保険料の領収証書等の写し」を発行してもらい、国民年金や厚生年金の加入状況などの立証資料とします。

また、税務署や都道府県税事務所などに依頼して「納税証明書」を取り寄せておきましょう。税金の未納がどの程度あるのかの証明になります。帰化の申請者が会社などの経営者の場合は、経営者個人の納税証明書だけでなく、会社など法人に関する法人税等の納税証明書の発行も必要となります。

ただ、個人事業者の場合は確定申告書のコピーで足りる場合もあります。

帰化の申請者、またはその配偶者や、同じ世帯の家族が会社の経営者である場合、あるいは、その親や兄弟らの経営している会社の取締役である場合には、その会社の「登記事項証明書」を法務局から取り寄せなければなりません。

もし、日本人と結婚している場合には、その配偶者の戸籍謄本も必要です。

もし、本人に離婚歴がある場合、元配偶者が日本人なら、その戸籍謄本、元配偶者が外国人で、日本で離婚をしているなら、離婚届の記載事項証明書が必要です。

もし、本人の両親の一方が日本人の場合には、日本人の親の戸籍謄本を調達しておきましょう。

もし、両親、兄弟姉妹の中で、すでに日本に帰化した方がいるならば、帰化日が記載された戸籍謄本も必要です。

もし、外国籍同士の両親が日本で結婚していれば、両親の婚姻届の記載事項証明書が必要ですし、すでに離婚しているなら両親の離婚届の記載事項証明書が必要となります。

本人や、その兄弟姉妹が日本国内で出生していれば、出生届の記載事項証明書が必要ですし、外国籍の両親や配偶者、子が日本国内で死亡している場合、死亡した方の死亡届の記載事項証明書を調達して添付しなければなりません。

もし、帰化の申請者が15歳未満である場合は、その親権者など法定代理人が代わって申請しなければなりません。よって、代理申請者が「法定代理人の資格を証する書面」を添付しなければなりません。親権者であれば戸籍謄本、後見人なら、決定がくだされた裁判書の謄本や、祖国における証明書などです。


■自分で作成する書類

申請者本人が記入して作成する書類も少なくありません。住居地を管轄している法務局・地方法務局でもらってくることができます。取り寄せてきた証明書類に書かれていることについては、矛盾しないように記入しましょう。もし食い違いがあると、職員による確認が厳しくなるおそれがあります。

記入して作成する書類は、主に次の通りです。

① 帰化許可申請書

② 帰化の動機書

③ 履歴書

④ 宣誓書

⑤ 親族の概要を記載した書面

⑥ 生計の概要を記載した書面

⑦ 事業の概要を記載した書面

⑧ 自宅勤務先等付近の略図

これらはいずれも、申請者本人の各要件(住居要件・生計要件・素行要件など)を確認するために作成します。

宣誓書には「私は日本国憲法及び法令を守り、定められた義務を履行し、善良な国民となることを誓います」と書いてあります。これは事前に何も記載せず、法務局の職員の前で署名をしなければなりませんので注意しましょう。

その他、手持ちの書類のコピーを提出しなければならない場合があります。パスポートを持っている場合は、個人情報のページの他、渡航歴のスタンプ・消印が押してあるページについても全てコピーして提出します。

また、履歴書に書かれている学歴を立証するため、卒業証書をコピーして提出する必要があります。母校から卒業証明書を取り寄せられるようなら、それでも構いません。

申請者が事業を行っている場合、貸借対照表や損益計算書、医師や教員、士業などの免許証や登録証、確定申告書の控え、建築業や貸金業など、許認可が必要な特殊事業の許認可証明書などのコピーも必要となります。

このように、帰化申請の必要書類はルールが複雑ですが、行政書士などプロのアドバイスを参考にできれば、迷うことはまずありません。