自分でもできる! 帰化申請で大事な「親族の概要書」の書き方

帰化申請では、申請書をはじめとして自分で作成しなければならない書面がいくつかありますが、中でも重要な書面のひとつが「親族の概要書」です。申請関連書類の中でも、かなり重要なもののひとつですが、コツさえ掴めば専門家に頼らず、自分で作成することもできます。この記事では、親族の概要書の書き方について解説します。

■親族の概要書は、なぜ重要なのか?

外国人に日本国籍を与えてもいいかどうかの判断基準として、「何らかの偽装がないかどうか」がチェックされています。もし万が一、日本に危害を加えるスパイが外国から送り込まれ、その外国人が仮に帰化を申請するなら、単身よりも日本人を交えた家族がいたほうが怪しまれにくいと考えられます。よって、親族の概要書では特に間違いがないよう記入しなければなりません。

もし、間違いが発覚すれば、法務局による審査期間が延びたり、面談や家庭訪問などで厳しく慎重にチェックされたりするおそれがあります。法務局の職員に余計な疑いを生じさせないよう、他の証拠書類と照らし合わせながら、注意して書くようにしてください。


■本人のことは記入しないでください

親族の概要書には、申請者本人の「同居の親族」の他に、同居していなくても「配偶者」、申請者の「親」・「子」、「兄弟姉妹」、「配偶者の両親」、「内縁の夫(妻)」、「婚約者」について、その氏名や住所などを書き記します。ただ、申請者本人はここに書く必要はありません。帰化許可申請書で申請者本人のプロフィールは記入済みのはずですので、もし親族概要書にも書けば重複記載になってしまいます。


■同居の親族とは?

申請者にとっての「同居の親族」とは、親の兄弟(叔父、伯父、叔母、伯母)、配偶者の兄弟姉妹(義兄、義弟、義姉、義妹)のほか、父母の再婚相手まで含むとされています。

ただ、同居している友人(ルームメイト)や居候の人物などは、血縁がない限り書かなくていいです。


■亡くなった方や離婚した元配偶者についても書いてください

申請者本人にとっての「配偶者」、「親」・「子」、「兄弟姉妹」、「配偶者の両親」、「内縁の夫(妻)」、「婚約者」に該当する人物は、たとえ現在では死亡していたり離婚したりしていたとしても、忘れずに記入してください。万が一でも、家族が偽装ではないかと法務局に疑わせないようにするためです。

特に日本人と結婚した外国人は、それだけで有利な在留資格を獲得できますので、その裏返しとして、形だけの偽装結婚が横行しています。それで、すでに離婚した元配偶者の身元も記入するようになっているのです。

また、「親」・「子」は、養親子縁組をした法律上の親子も含みます。


■日本の親族と外国の親族は、別の用紙に書く

申請者にとっての親族は、日本に住んでいる方と、祖国など外国に住んでいる方については、別々の用紙に書き分けて、見やすくするようにします。どちらの親族も、「配偶者」、「親」・「子」、「兄弟姉妹」、「配偶者の両親」、「内縁の夫(妻)」、「婚約者」に当てはまる限り、書き漏れがないように、すべての人物を記入するようにしてください。

親族概要書に記載した親族の数が多ければ多いほど、証拠書類の調達作業が大変になってきますが、書類審査の結果、少しでも矛盾点があれば、法務局の職員から指摘や質問が入ります。もし、その質問に答えられなかったり、隠し事が発覚したりすると、帰化の許可が出ないことも十分にありえます。思い当たる親族はすべて書いてください。


■四角は黒く塗りつぶす

右側の選択肢は、当てはまる□を黒く塗りつぶすようにします。チェックマークなどは無効になるか書き直しとなるおそれがあります。


■続柄の記載ルールに気をつける

続柄は、たとえば配偶者の場合、「夫」か「妻」、元配偶者の場合は「前夫」か「前妻」、親は「父」か「母」、養親は「養父」か「養母」、子は性別ごとの生まれ順に「長男(女)」、「二男(女)」などと記載します(次男や次女は、帰化申請で誤字となりますので注意してください)。兄弟姉妹は「兄」「弟」「姉」「妹」と記載し、配偶者の親は「夫(妻)の父」、「夫(妻)の母」と記載します。内縁の夫(妻)や婚約者は、そのまま続柄になります。

たとえば、妻の続柄を「配偶者」と書いてしまうと、書き直しになるおそれがあります。


■外国人の氏名はカタカナ表記で

外国人の親族の氏名も、漢字・ひらがな・カタカナ以外は使えません。中国や韓国、台湾、香港といった漢字文化圏出身の方でも、その氏名は日本で使われている漢字に置き換えてください。

アルファベットなど外国の文字は使えません。親族の氏名のカタカナ表記がわからない場合は、祖国の出生証明書や両親の結婚証明書などの翻訳文に書かれているものをそのまま書き写しましょう。


■交際欄は、連絡さえ取れれば「有」で構わない

各親族との交際は、電話やメールだけでも連絡が取れれば「有」の四角を塗りつぶします。

以上のように、親族概要書に書く内容は、ややクセがありますが、記載ルールが決まっていますので、それさえ覚えれば難しくありません。それでも難しさを感じる方は、行政書士がサポートしますので、いつでもお問い合わせください。