自分でもできる! 帰化申請で大切な「履歴書」の書き方

帰化の申請では、いくつかの種類の申請書類に自分で書き込んで作成しますが、気を付けて慎重に作成しておきたいのが「履歴書」と呼ばれる書類です。過去の経歴だけで、自分の記憶だけで書いていると、法務局の職員から他の証拠書類との食い違いを指摘されて、帰化が不許可になったり、面談などで質問責めにあったりするかもしれません。

よって、自分の記憶よりも証拠書類の記載を優先して、慎重に作成するようにしてください。この記事では、帰化申請で作成する履歴書の書き方や注意点について解説します。


■帰化の履歴書には「その1」と「その2」がある

帰化の履歴書は2枚セットです。その1には、学歴・職歴・婚姻歴などを中心に記載し、その2には、祖国から日本への渡航歴などを中心に記載するなど、はっきりと使い分けます。


■履歴書「その1」は、どう書く?

まず、氏名を書きますが、日本語の漢字・ひらがな・カタカナしか使えません。それ以外の表記で氏名を書く国なら、カタカナに直さなければなりません。中国・韓国・香港・台湾の国籍があるならば漢字の氏名がありますが、日本で使われている漢字かどうかを確認しましょう。

祖国から出生証明書や結婚証明書などを帰化申請の証拠書類として取り寄せ、それを日本語に翻訳するよう専門家に依頼します。その翻訳文に書かれている氏名は、日本の漢字やカタカナに直して表記されていますので、履歴書にもその通りに書けば確実です。

履歴は年代の古い事柄から、時系列順に書いていきますが、西暦は使えません。必ず元号付きの和暦に直しましょう。昭和は1989年(昭和64年)1月7日までで、西暦から「1925」を引きます。平成は1989年(平成元年)1月8日から2019年(平成31年)4月30日までで、西暦から「1988」を引けば出てきます。それ以降は令和です。

そして、生まれてから現在までの全ての住所を書いていきます。もちろん、外国に住んでいた時期も含めて全部です。日本国内での引っ越し履歴は、2012年まででしたら出入国在留管理庁から外国人登録原票を取り寄せれば明らかになります。外国での引っ越し履歴については、それぞれの大使館・領事館や本国の役所などに問い合わせて、証明書類を取り寄せてください。

学歴や職歴は、小学校の入学から、現在(最後)の勤務先の会社までです。学歴について、幼稚園・保育園は必要ありませんが、職歴についてはパート・アルバイトまで漏れなく記載しなければならないことになっています。勤務先の会社分類(株式会社・有限会社など)についても調べて書かなければなりません。

結婚や離婚、子の誕生などについても記しますし、自分のことだけでなく、家族に起きた出来事も記載します。たとえば、両親の離婚、死去などです。戸籍謄本などを元に年月まで特定して書いていくようにしましょう。

■履歴書(その2)はどう書く?

履歴書(その2)には、申請者が日本に出入国した履歴、技能や資格、過去の賞罰について書きます。古い順に時系列で書いていくことや、年代で西暦を使えず日本の元号で記載するのは、その1と同じです。

出入国履歴については、過去の全てのことを書く必要はありません。一般的な外国人の方が普通帰化する場合は、過去5年間の出入国履歴を書きます。パスポートを参考にして書けば十分でしょう。パスポートを見ても不明な履歴がある場合などは、出入国在留管理庁から出入国履歴を取り寄せれば全て記録してあります。

また、簡易帰化の場合は、過去1~3年間の出入国履歴を書いていれば足ります。日本人の配偶者である外国人や、日本で生まれた外国人は過去3年間、日本人の配偶者で、かつ婚姻日から3年以上日本に住み続けている外国人は過去1年間の記載で十分です。父母のどちらかが日本人である場合、あるいは日本人と養子縁組をしている外国人も、過去1年間の記載となります。

技能と資格についても、取得した古い順に書きます。代表的な技能は自動車運転免許でしょう。運転免許証を確認しながら、免許の取得日・免許の種類・免許番号まで記載します。その他にも国家資格や公的資格(日本語能力検定など)があれば、資格名と合格した年月日、合格番号を記載します。

賞罰は、過去に受けた刑事罰(懲役・罰金など)と行政罰(過料や反則金など)で、交通違反も含みます。自動車運転安全センターから運転記録証明書を取り寄せれば、過去5年間の交通違反歴が書いてありますので、違反の取り締まりを受けた年月日・違反内容・反則金や罰金の額まで記載をします。

交通違反があったという事実だけで、帰化が不許可になることはありません。交通違反なら、過去5年で違反回数が5回以下なら、大きな影響はないものと思われます。ただし、飲酒運転やスピード違反の40km以上超過などは悪質なので、面談などで質問があるかもしれません

最後に確認欄がありますが、法務局の職員が審査用に使う場所ですので、何も書いてはいけません。