自分でもできる! 帰化申請で必要な「動機書」の書き方と注意点

外国人が日本に帰化するために作成しなければならない書類は、申請書の他にも、親族概要書や生計概要書など、いくつもありますが、動機書だけは自分の「文章」で書かなければならないという特徴があります。この記事では、帰化動機書の書き方の基本と注意点について解説しています。


■帰化の動機書の基礎知識

帰化の動機書は、15歳未満の外国人や特別永住者(いわゆる在日韓国人・在日朝鮮人)について作成が免除されていますが、それ以外の帰化申請者は必ず作成しなければなりません。500字程度で十分とはいえ、作文が苦手な人々にとっては特に悩みどころではないでしょうか。

帰化の動機書は、必ず自分の字で書いてください。他の申請書などの書類と同じように、黒のボールペンを使いましょう。フリクションボールなどの消えるペンは使用できません。書き間違えたら、修正液や砂消しゴムなどで消すのでなく、二本線などで取り消して、そのそばに修正した文字を書き直します。パソコンやスマホなどで電子的に入力された文章は無効となります。


■帰化動機書の書き方

帰化動機書には「どうして日本にやってきたのか」という過去の経緯や、「なぜ日本に帰化したいのか」という現在の思い、「これから日本のために何をしたいか」という将来の希望や意欲などを書き記します。「過去→現在→未来」という時系列を意識すると書きやすくなります。

<過去>

祖国のどのような町や村で生まれ、どのような暮らしをしてきたのか、その歴史について簡単に触れてください。履歴書などに従って、学歴や職歴・結婚歴などを軽く触れれば十分です。

そして、日本に初めてやってきたのはどんなきっかけだったのか。日本に来てからは、どのような暮らしをしてきたのか、やはり学歴・職歴・結婚歴を軸にして書いていきます。最後は現在の仕事などについて触れると着地がいいです。

(例文)

「フィリピンの○○の街に生まれた私は、市立○○小学校、市立○○中学校を卒業した後、私立○○高校に通って服飾について学び、そのときにテレビなどで日本のファッションに憧れを持つようになりまして、留学の目的で日本に来ました。○○専門学校でファッション文化を専攻し、現在は株式会社○○で服飾デザイナーとして働いています」

「私は□年□月□日、中国の○○省○○の街で生まれ、○○中学・○○高校を卒業した後、上海の○○大学で経済を学び、そこで現在の妻である○○○と知り合い、□年□月□日に結婚しました。お互いに日本のアニメや漫画が好きだということで意気投合し、結婚2年目の□年□月に来日し、現在は○○株式会社で法人営業を担当しています」

「私はベトナムの○○で生まれましたが、父の仕事の都合により2歳で来日しました。日本の○○小学校・○○中学校を卒業し、その頃、家族はベトナムに戻ることになりましたが、私は泣いて拒否し、東京に住んでいる遠い親戚のもとに預けられました。彼は既に日本に帰化していて、その影響で高校生の頃には『いつか日本人になりたい』と願うようになりました。高校卒業後には株式会社○○で荷物の宅配業務に就いて、その後、同業の株式会社○○に転職し、現在に至ります」

<現在>

現在の職業や立場について触れたら、「日本の生活に対する率直な感想」や「祖国に対する思い」「日本社会に対する思い」などについて書きます。また、ボランティア活動や地域貢献活動、寄付活動などを行っているなら、その経験なども書いてみましょう。

(例文)

「日本の生活は、来日の前に想像していた以上に楽しく、充実しています。韓国にいた頃には、周囲のいろんな人々に反対されましたが、日本人は私のような韓国人にも優しく、差別もなく公平に接してくれます。日本人の友人の紹介で知り合った日本人の男性と結婚しました。そのような日本に私は心から感謝していて、週末には街の清掃活動にも参加しています。日本の街は裏道の隅々まで綺麗なことは驚きですし、素晴らしいです。私の幼少期を形作った韓国の社会、そして両親にも感謝していますが、今後、韓国に帰るつもりはありません」

<将来>

将来、日本でどのような活動をしたいのか、日本の中でどうなっていきたいか、その意思や希望について書いていきます。

(例文)

「来年には、日本人のパートナーと組んで、会社を立ち上げようと考えています。アメリカで学んだ最新のICT技術を用いて、世界を驚かせるオンラインサービスを開発中です。私生活でも、来年には日本人の妻との間に子どもが生まれます。日本から国際的な視野を持って物事を見ることができ、積極的に行動できる子どもに育てるつもりですし、私自身も常にそうありたいと考えて日々を過ごしています。そして、これからは日本人としての誇りを身につけて行動していきたいですし、日本の政治に選挙を通じて参加できるのも楽しみです。そのためにも、日本に帰化したいと心から望んでいます」