自分でもできる! 帰化申請で必要な「生計の概要書」の書き方のコツ

外国人が日本に帰化するために、その外国人が作成しなければならない書面は、申請書の他にもいろいろとあります。「生計の概要」もそのうちのひとつで、(その1)(その2)で分かれています。この記事では、「生計の概要」の書き方の基本についてお伝えしています。


■生計概要書は、なぜ必要?

生計概要書は、日本に帰化するための要件のひとつである「生計要件」を法務局がチェックするために提出します。生計要件とは、帰化した後にも日本で安定した生活を送れる見込みがあるかどうか、です。

せっかく日本に帰化しても、もし満足に暮らしていく収入の基盤がなければ、法務局が帰化を許可する意味がありません。すぐに生活保護を受けようとしたり、食べるにも困って盗みなどを働いたりすれば、むしろ日本社会にとって負担になってしまいます。日本に帰化した後に犯罪を犯しても、祖国へ強制送還することもできません。それで、帰化を申請した外国人が、安定収入を今後も得られる見込みがあるかどうかは、法務局にとって重要な関心事といえるのです。


■生計の概要(その1)は、どう書けばいい?

生計の概要は(その1)と(その2)に分かれていますが、その1では、主に現金の流れ(キャッシュフロー)についてまとめます。申請する本人と、同居する家族の収入・支出・負債(借金)について記載することになります。

まず、氏名は日本語の漢字・カタカナ・ひらがなしか使えませんので注意してください。申請書に書いた氏名と同じように、祖国から取り寄せた出生証明書や戸籍謄本などを日本語に訳した翻訳文に書かれているとおり、書き写します。

収入・支出・負債は、本人と同居する家族のうち収入を得ている人、それぞれ1人ごとについて作成します。アルバイト収入も含みます。申請する予定の日の前月について、それぞれの金額をまとめましょう。

収入は、金額だけでなく「給与」「事業収入」「年金」「仕送り」など、その出所となるところを種目欄に書き入れます。給与は、勤務先の会社名とともに税引き後の手取り額を書いてください。仕送りの場合は、備考欄に仕送りしてくれた人物の氏名と、申請者本人との関係を記載します。

支出については、まず家賃と食費を世帯まとめて記載しましょう。家賃は共益費・管理費・駐車場代まで含みます。社宅の場合で家賃が給与から天引きされていれば、その旨をわかりやすく記載します。

以下、教育費・借金の月々の返済額・生命保険の掛け金・貯蓄額などについて、それぞれ記載していきます。「その他」には、医療費・光熱費・通信費・遊興代などが該当します。

さらに、家族への仕送りなどで海外送金している場合にも、その金額とともに報告しましょう。最終的に、収入の合計額と支出の合計額が一致するように数字を調整します。

そして負債についてです。住宅ローン、自動車ローン、生活費など、借金をしている目的について記載し、借入先や負債残高、完済予定年月について、それぞれ書き入れます。


■生計の概要(その2)の書き方は?

その2では、現在の資産状況について書きます。法務局は帰化を許可するにあたって、資産状況(ストック)よりも、安定した現金収入(フロー)を得られるかどうかを重視しますので、その2はその1より重要度が下がります。もちろん、それでもいい加減に記載するのでなく、正確にまとめましょう。

その2では、本人と同居する家族の不動産・預貯金・株式などの有価証券・高価な動産です。

所有している不動産は、土地の場合「宅地」「農地」などの地目(種類)も記載します。法務局で発行してもらった登記事項証明書の通りに書くようにします。そして、地積(面積)と名義人を記載していきます。もし共有の場合は、持ち分も書き添えましょう。

建物の場合も登記事項証明書の表題部に書かれているとおり、種目と構造を記載し、さらに床面積と名義人を書き入れます。もし共有の場合は、持ち分も書き添えましょう。

さらに、土地と建物それぞれの時価について、インターネットなどで似たような物件の相場を調べて、だいたいの額を書いておきます。


預貯金は、預けている金融機関名(支店名)と金額を記載します。それぞれの金融機関から取り寄せた残高証明書をもとにして、正確に書き写しましょう。残高証明書がなければ、預金通帳でも構いません。

株式などの有価証券については、証券会社から取り寄せた取引残高報告書をもとにして、株数(口数)や評価額、名義人について正確に書き写します。

高価な動産は、時価およそ100万円以上の自動車・貴金属・ブランド時計・ブランドバッグなどです。それぞれ、評価額と名義人を書いていきます。自動車の場合は、車種や年式なども併せて記載します。評価額は、似たものが中古で売られている相場を中古市場やネットオークション市場で調べて、およその金額を書き入れましょう。