特別永住者(在日韓国人・朝鮮人)が帰化申請する際の注意点とメリット・デメリット

在日韓国人・在日朝鮮人として日本に長く暮らしてきた特別永住者の方の中には、「これからも日本で生活を続けたい」「子どもの代で日本国籍を取得したい」と考える方が増えています。
実際、法務省の統計では帰化申請者の中で特別永住者が占める割合は非常に高く、日本社会に根付いた存在といえます。
とはいえ、特別永住者の帰化には一般の外国人とは異なる注意点や手続き上の特徴があります。
この記事では、特別永住者が帰化申請を行う際の要件・流れ・兵役や書類取得の注意点、さらに帰化のメリット・デメリットを、広島県での実例も交えながらわかりやすく解説します。
特別永住者とは?制度の背景と現状を理解しよう
まずは、特別永住者という在留資格が生まれた背景と、現在の位置づけを整理しておきましょう。
特別永住者とは、主に戦前・戦中期に朝鮮半島から日本に渡り、そのまま定住した人々とその子孫を指します。
1945年の日本敗戦により朝鮮半島は独立しましたが、日本に残った人々は国籍を失い、法的地位が不安定な状態に置かれました。
こうした経緯を踏まえ、1991年に施行された「出入国管理及び難民認定法の特例法」によって特別永住者制度が設けられました。
これにより、彼らは在留資格を更新しなくても永住でき、日本での生活・就労・教育・社会保障などの権利が大幅に安定しました。
2021年の法務省統計によると、特別永住者は約30万人。その約半数が大阪・京都・兵庫など関西地方に集中していますが、広島県にも約4,000人(出入国在留管理庁統計より)が居住しており、地域社会に溶け込んで生活しています。
長年日本で生まれ育った人にとっては、もはや「外国で暮らしている」という感覚は薄いかもしれません。
それでも国籍上は外国人であるため、選挙権がない、国家公務員になれない、パスポートの取得に制約があるなどの不便もあります。
そのため、「帰化によって日本人として生きる」ことを選択する人が増えているのです。
特別永住者の帰化は「簡易帰化」の対象
特別永住者は、他の外国人に比べて帰化しやすい立場にあります。その理由を具体的に見ていきましょう。
国籍法第6条・第7条では、一定の条件を満たす人には「簡易帰化(かんいきか)」が認められています。
これは、通常より短い在留期間や緩和された条件で帰化申請が可能になる制度です。
特別永住者の場合、以下のような条件を満たしていれば、簡易帰化が適用されます。
| 対象 | 条件 | 主な緩和内容 |
|---|---|---|
| 特別永住者 | 日本で生まれ3年以上継続して居住している、または父母のいずれかが日本で生まれている | 通常5年以上の住居要件が免除 |
| 日本人配偶者 | 結婚後3年以上日本に居住 | 生計・素行要件の一部緩和 |
つまり、特別永住者の場合、住居要件や収入要件の審査が柔軟に扱われ、よほどの問題がない限り許可されやすいのが特徴です。
実際、広島法務局での申請でも「過去の刑事罰・税金未納がない」「安定した生計がある」などの基本要件を満たしていれば、ほとんどが許可されています。
また、特別永住者に限っては「帰化の動機書(なぜ日本人になりたいか)」の提出が免除されており、手続きの負担も軽減されています。
特別永住者の帰化で注意すべき3つのポイント
手続きが簡単といっても、いくつか注意すべき点があります。
とくに「書類取得」「兵役問題」「翻訳作業」には慎重な対応が必要です。
① 韓国・朝鮮籍に応じた書類準備
特別永住者でも、韓国籍と朝鮮籍では手続きの方法が異なります。
| 国籍区分 | 書類取得方法 | 注意点 |
|---|---|---|
| 韓国籍 | 日本の韓国領事館で発行可 | 郵送申請も可能。すべて日本語で対応可 |
| 朝鮮籍 | 領事館が存在しないため入手困難 | 国内で証明できる範囲で代替可。追加資料が必要 |
韓国語がわからなくても問題はありません。翻訳家や行政書士が代行できます。
ただし、翻訳文には必ず翻訳者の署名・押印が必要です。
② 兵役義務の確認
「兵役を終えていないと帰化できないのでは?」と心配される方も多いですが、日本で生まれた在日韓国人には兵役義務は及びません。
そのため、帰化申請に支障はありません。
③ 学校・職場への配慮
帰化の事実を職場や学校に知られたくない場合は、法務局に申し出ることで配慮してもらえます。
広島法務局でも「在籍先への連絡を控えてほしい」という要望に対応しており、安心して申請を進められます。
帰化のメリットとデメリットを比較
特別永住者にとって、帰化には大きなメリットがありますが、同時に失われる権利もあります。
ここでは両方を比較して考えましょう。
| 区分 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 法的地位 | 永住更新が不要。日本国籍を取得し、選挙権・公務員資格を得られる | 韓国・朝鮮籍を失う(母国との二重国籍不可) |
| 社会的信用 | 就職・住宅ローン・パスポート申請が容易 | 帰化に対する家族・親族の理解が必要な場合も |
| 生活上の自由 | 日本パスポートで世界約190か国へビザなし渡航可 | 韓国籍の人は韓国の兵役義務を失う可能性あり |
| 手続き | 一度取得すれば再申請不要 | 書類取得や翻訳の負担あり |
たとえば、**日本パスポートの渡航自由度(ヘンリーパスポートインデックス2025)**は世界1位で、190か国以上にビザなし渡航が可能です。
この点は、特に海外出張や国際的な活動が多い方にとって大きなメリットといえます。
一方で、帰化によって母国とのつながり(国籍・兵役・戸籍上の関係)が変化します。
家族との関係や将来の帰国意向も含めて、慎重に判断することが大切です。
広島県での帰化申請サポートと相談事例
広島県でも特別永住者の帰化申請は増加傾向にあります。
実際の相談傾向と、サポートを受けるメリットを紹介します。
広島法務局では、特別永住者の帰化相談が毎年数百件にのぼります。
中でも多いのは次のような相談です。
- 韓国籍で日本語しか話せない
- 兵役・書類取得が不安
- 家族に知られずに申請したい
これらの不安は、行政書士を通じて解決できます。
行政書士が書類収集から翻訳、法務局との調整まで一括でサポートするため、手続きの負担を大幅に軽減できます。
特に広島県では、韓国領事館(大阪・福岡)までの距離があるため、郵送請求や翻訳代行のサポート体制が整っています。
また、朝鮮籍の方のケースでも、可能な限り日本国内の資料で代替し、申請を成立させた事例が多く見られます。
まとめ
特別永住者の帰化は、法律上のハードルが低く、申請すれば多くの場合で許可される制度です。
とはいえ、韓国・朝鮮籍による手続きの違いや翻訳、家族への配慮など、個別の事情に合わせた準備が欠かせません。
広島県では、法務局・行政書士・翻訳家が連携して申請サポートを行っており、安心して帰化を目指せる環境が整っています。
特に「どんな書類を集めるべきか」「職場に知られずに進めたい」など、個別相談が増えています。
特別永住者として長年日本に暮らしてきたあなたが、日本国籍を取得することは自然な選択のひとつです。
不安や疑問があれば、まずは広島帰化申請サポートセンターへご相談ください。
経験豊富な専門家が、あなたのこれからの人生を安心して歩めるようサポートします。
記事の監修者

Eight Links 行政書士事務所 所長
蜂須賀 昭仁
2016年9月〜
VISA専門行政書士事務所
「Eight Links 行政書士事務所」を開業
専門分野 外国人在留資格申請、帰化許可申請
外国人の在留資格申請を専門分野とし
年間500件以上の相談に対応
講師実績
広島県行政書士会国際業務協議会 担当講師
中華人民共和国遼寧省鉄嶺市(外国人会社設立・経営管理)についての講師
運営HP
広島外国人ビザ相談センター
https://hiroshima-visa.link/
広島国際結婚&配偶者ビザ申請代行センター
https://eightlinks.link/marriage/
広島永住ビザ申請代行センター
https://hiroshima-visa.link/permanent/
広島外国人雇用&就労ビザ申請代行センター
https://eightlinks.link/work/
広島外国人会社設立&経営管理ビザ申請代行センター
https://hiroshima-visa.link/businessmanagement/
広島帰化申請代行センター
https://hiroshima-visa.link/naturalization/
記事の監修者

Eight Links 行政書士事務所 所長
蜂須賀 昭仁
2016年9月〜
VISA専門行政書士事務所 「Eight Links 行政書士事務所」を開業
専門分野 外国人在留資格申請、帰化許可申請
外国人の在留資格申請を専門分野とし年間500件以上の相談に対応
講師実績
広島県行政書士会国際業務協議会 担当講師
中華人民共和国遼寧省鉄嶺市(外国人会社設立・経営管理)についての講師
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