永住ビザを取ると何が変わる?外国人が知っておきたいメリットとデメリット

「永住ビザを取得したら、何がどう変わるの?」
このような疑問を持つ外国人や、その配偶者である日本人は少なくありません。永住ビザ(永住許可)は、日本に長期的かつ安定的に暮らすうえで、非常に大きな意味を持つ制度です。ビザの更新が不要になる、職業選択が自由になるといった利点がある一方で、見落としがちな注意点も存在します。この記事では、広島県における実例や制度背景にも触れながら、永住ビザ取得後の「メリット」と「デメリット」をわかりやすく解説します。
永住ビザの最大のメリットは「更新不要」と「自由な生活」
永住ビザのもっとも大きな利点は、在留期間の更新義務がなくなることです。これまで1年〜5年ごとの更新手続きが必要だった方にとって、心理的・時間的な負担が大きく軽減されます。
例えば、就労ビザや配偶者ビザなどは、ライフイベント(転職、離婚、家族の事情など)によって資格が変動しやすいものです。配偶者ビザを持つ外国人が離婚や死別した場合、そのままの在留資格では滞在を継続できず、速やかに別のビザへ変更する必要があります。その点、永住ビザであれば、個人的な事情による影響を受けにくく、安定した在留が可能です。
また、職業選択の自由も大きな魅力です。たとえば、一般の就労ビザでは就ける職種が限定され、コンビニやスーパーの接客業、工場作業、風営法に関わる業種(ナイトワークなど)には原則就けません。しかし、永住者は就業制限がなく、日本人と同じように、希望する仕事を自由に選ぶことができます。
広島県では、観光業や飲食店、小売業など、外国人スタッフが活躍する職場が多く存在します。そうした現場でも、永住ビザを持っていれば雇用のハードルが下がり、働く選択肢が大きく広がります。
社会的信用の向上と生活の安定にもつながる
永住ビザを持つことで、生活のさまざまな面で「信用」が高まります。たとえば、住宅ローンや自動車ローンの審査では、「永住者かどうか」が重要な判断材料になることがあります。金融機関から見ると、更新不要で日本に長く住み続ける意思が明確な永住者は、返済能力があると判断されやすいのです。
また、子どもの教育環境や家族の生活設計においても、ビザ更新や資格変更の不安がないことは大きな安心材料になります。特に広島県のように、地域に根ざした暮らしを大切にする文化がある場所では、長く住むことで地域社会とのつながりも深まり、生活の安定度が高まります。
さらに、万が一のトラブルにおいても、永住ビザは一定の保護が期待できます。たとえば、刑事事件などで退去強制の事由に該当した場合でも、入管難民法第50条に基づく「在留特別許可」によって、日本に留まれる可能性があります。これは永住者に限って認められる特例措置であり、法務大臣の裁量によって判断されます。
もちろん、これはあくまで救済措置であり、悪意ある行為が免責されるわけではありません。ただ、理不尽な事情で退去を迫られるリスクが軽減されるという点で、永住ビザは大きな意味を持ちます。
「帰化」せずに祖国と日本を行き来できる柔軟性
永住者は外国籍を保ったまま日本に住むことができます。そのため、母国とのつながりを維持しながら、日本でも安定的な生活が可能になります。これは、国籍を日本に変更する「帰化」との大きな違いです。
たとえば、広島県在住のマレーシア人やフィリピン人の方々のなかには、定期的に母国の家族のもとを訪ねる人も多くいます。永住ビザであれば、日本での居住権を保ちつつ、母国との往来も柔軟に行えます。
一方、帰化して日本国籍を取得した場合、元の国籍を放棄する必要があります。そうすると、母国に一時帰国する際には「外国人としての入国」扱いとなり、ビザが必要になるケースもあります。永住ビザは、母国と日本の両方に生活基盤を持ちたい方にとって、バランスの取れた選択肢といえるでしょう。
見落としがちな永住ビザのデメリットとは?
多くの利点がある一方で、永住ビザには注意すべきデメリットもあります。まず、日本を長期間離れてしまうと、永住資格を失うリスクがあります。「みなし再入国制度」により、1年以内の出国であれば再入国が許可されていますが、1年を超えて日本に戻らない場合は、永住資格が自動的に失効する可能性があります。
たとえば、広島県で永住ビザを取得後、事情により数年間海外で生活したい場合には、出国前に「再入国許可」の申請が必要です。これを怠ると、帰国時に再びビザを取り直す必要が生じるため、注意が必要です。
また、政治的権利には制限があります。永住者は、日本で選挙権や被選挙権を持ちません。公務員への就職も一部制限されます。これは、帰化して日本国籍を取得した場合とは異なるポイントです。
さらに、永住者であっても日本にとっては「外国人」のままです。国家間に大きな政治的対立が生じた際(極端な例では戦争状態など)、外交的な扱いや制限の対象となるリスクも理論上は否定できません。
最後に、高度専門職ビザから永住に移行した場合、親の呼び寄せや一部の優遇措置が受けられなくなることもあります。永住ビザがすべての制度より優れているわけではないため、自身のライフプランや家族構成に応じて慎重に判断しましょう。
永住ビザ取得を検討する際に押さえておきたいポイント
永住ビザの申請は、誰でもすぐにできるわけではありません。在留年数、収入の安定性、納税・年金記録、素行要件など、さまざまな基準をクリアする必要があります。特に広島県では、出入国在留管理庁の管轄である「広島出入国在留管理局(中区上八丁堀)」が申請窓口となっています。
また、申請書類も非常に多岐にわたり、日本語での正確な記入が求められます。そうした背景から、専門の行政書士に相談することで、準備の負担やミスのリスクを減らすことができます。
広島県では外国人支援に力を入れている地域が多く、広島市や福山市などでは多言語対応の相談窓口も設置されています。自治体の制度や支援策を活用しながら、自分にとって最適なタイミングでの申請を計画しましょう。
まとめ:永住ビザで広がる可能性と、その先の選択肢
永住ビザを取得することで、日本での生活は格段に安定し、自由度も高まります。更新不要、職業選択の自由、社会的信用の向上といったメリットは、将来を見据えた暮らしに大きな安心感を与えてくれます。一方で、再入国や政治的権利の制限といった側面もあり、すべての人にとって完璧な制度ではありません。
「日本で長く住みたいけど、国籍は変えたくない」「家族と一緒に落ち着いた生活を送りたい」といった思いを持つ方にとって、永住ビザは非常に有力な選択肢です。広島県での生活をより安心・快適にするためにも、制度への理解を深め、専門家と一緒に準備を進めていきましょう。
記事の監修者

Eight Links 行政書士事務所 所長
蜂須賀 昭仁
2016年9月〜
VISA専門行政書士事務所
「Eight Links 行政書士事務所」を開業
専門分野 外国人在留資格申請、帰化許可申請
外国人の在留資格申請を専門分野とし
年間500件以上の相談に対応
講師実績
広島県行政書士会国際業務協議会 担当講師
中華人民共和国遼寧省鉄嶺市(外国人会社設立・経営管理)についての講師
運営HP
広島外国人ビザ相談センター
https://hiroshima-visa.link/
広島国際結婚&配偶者ビザ申請代行センター
https://eightlinks.link/marriage/
広島永住ビザ申請代行センター
https://hiroshima-visa.link/permanent/
広島外国人雇用&就労ビザ申請代行センター
https://eightlinks.link/work/
広島外国人会社設立&経営管理ビザ申請代行センター
https://hiroshima-visa.link/businessmanagement/
広島帰化申請代行センター
https://hiroshima-visa.link/naturalization/
記事の監修者

Eight Links 行政書士事務所 所長
蜂須賀 昭仁
2016年9月〜
VISA専門行政書士事務所 「Eight Links 行政書士事務所」を開業
専門分野 外国人在留資格申請、帰化許可申請
外国人の在留資格申請を専門分野とし年間500件以上の相談に対応
講師実績
広島県行政書士会国際業務協議会 担当講師
中華人民共和国遼寧省鉄嶺市(外国人会社設立・経営管理)についての講師
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広島外国人ビザ相談センター https://hiroshima-visa.link/
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