永住ビザと家族の扶養はどうなる?配偶者・子どもの在留資格との関係を解説

日本で永住ビザ(永住許可)を取得すると、就労制限がなくなり、生活の自由度が大きく広がります。しかし、そこで意外と多い質問が「家族の扶養はどうなるの?」「海外の親を扶養に入れられるの?」というものです。特に永住申請では、住民税課税証明書に記載された“扶養人数”が重要な判断材料となるため、内容次第で審査に影響することもあります。本記事では、永住ビザ取得後の扶養関係の取り扱い、申請時の注意点、そして実際に多いトラブル事例を、広島県内での相談傾向も交えながら丁寧に解説します。

永住ビザと「扶養」の基本を理解しよう

永住ビザの申請では、「扶養家族がいるかどうか」が審査項目のひとつです。まずは、税法上・法律上の「扶養」の意味を整理しておきましょう。

「扶養」とは、生活に困っている家族を経済的に支えることを指します。単に仕送りをしているだけでは扶養と認められず、「生活を支えている実態」が求められます。
日本の民法第877条では「直系血族および兄弟姉妹は互いに扶養の義務を負う」と定めていますが、これは日本国内での義務に限られ、海外の親族には直接適用されません。そのため、たとえ母国の親へ送金していても、それがすぐに「扶養」と認められるわけではありません。

広島県の国際交流センターにも、「母国の家族を扶養に入れたいが認められない」といった相談が寄せられています。税法上の扶養控除は、日本の居住実態や経済的依存関係が確認できるかどうかで判断されるため、海外の親族を扶養とするには、送金記録や家族関係証明が不可欠です。

永住ビザ審査と「生計要件」|扶養人数が増えると審査は厳しくなる

永住申請時に提出する「住民税課税証明書」には、扶養家族の人数が明記されます。この人数が多いほど、審査の基準も厳しくなります。

出入国在留管理局が永住申請を審査する際、「生計要件」として重視するのが「安定した収入と生活基盤があるか」です。扶養家族が多ければ、その分だけ生活費の負担が大きくなるため、より高い収入水準が求められます。

一般的な目安として、単身者で年収300万円前後が最低ラインとされており、扶養家族が1人増えるごとに約80万円の年収増が必要とされています。※「公式な金額基準は未公表実務目安として単身300万円前後、世帯・扶養人数に応じて上方補正が一般的」

扶養人数必要とされる年収の目安(概算)
0人(単身)約300万円
1人約380万円
2人約460万円
3人約540万円

(出典:法務省入管庁ガイドライン・行政書士実務基準より算定)

たとえば、広島市や福山市での永住申請においても、扶養人数が多い家庭では、収入証明書・課税証明・銀行残高証明など、生活の安定性を裏付ける追加資料を求められることがあります。
つまり、「扶養人数を多くすれば税金が安くなる」と安易に考えるのは危険です。逆に、収入とのバランスが取れない申告は、永住審査でマイナス評価を受けることがあります。

海外の家族を「扶養」として申告できる?不正申告のリスク


「送金しているから扶養に入れられる」と思う人もいますが、扶養の虚偽申告は重大なリスクを伴います。近年は審査も厳格化しています。


永住ビザの申請では、2016年以降「親族関係書類」や「送金関係書類」の提出が義務づけられました。海外に住む家族を扶養家族として申請する場合は、次のような証明が必要です。

証明の種類内容の例
親族関係書類出生証明書、戸籍謄本、婚姻証明書など
送金関係書類銀行の送金明細、通帳コピー、送金証明書など

これらの書類によって、「実際に生活を支えているか」「定期的な援助があるか」が審査されます。
虚偽の扶養申告(実際には送金していない・金額が不自然など)は、入管が課税証明や送金履歴を突合し、簡単に発覚します。
一度虚偽が判明すると、「永住申請の不許可」だけでなく、既に取得した永住資格が取り消されることもあります。記録が残るため、今後の在留資格申請にも影響が及びます。

広島県でも、実際に「海外送金を証明できず不許可になった」というケースが報告されています。不安な場合は、早めに専門家に相談し、申請内容を整えておくことが大切です。

扶養家族が多いときは「理由書」を添付する


本当に多くの家族を扶養している場合、誤解を避けるために「理由書」を添付すると効果的です。行政書士のサポートを活用しましょう。


永住ビザの審査官は、申請書類だけで生活状況を判断します。そのため、扶養家族の数が多いと、「本当に支えているのか」と疑われることがあります。
たとえば、10人以上の扶養家族を申告する場合、収入に対して扶養人数が多すぎると判断され、審査が厳しくなる傾向があります。

そうした場合は、「なぜ扶養人数が多いのか」を説明する理由書を添付しましょう。理由書では以下のような情報を明記します。

  • 扶養家族の生活状況(年齢・職業・健康状態)
  • 送金の頻度と金額
  • 家族の支援を行う理由(教育費・医療費など)

広島県の行政書士事務所でも、理由書の作成を依頼するケースが増えています。プロが内容を整理すれば、審査官に伝わりやすい構成で提出でき、誤解を防ぐことができます。

扶養人数を間違えて申告したときの修正方法

もしも扶養人数を多く申告していたり、家族構成が変わっていた場合は、放置せず修正手続きを行いましょう。

永住許可申請や課税証明の内容に誤りがある場合、正しい扶養人数を申告し直すことが大切です。手続きの窓口は以下の通りです。

修正内容相談・手続き窓口
所得税(国税)関連税務署(修正申告)
住民税(地方税)関連市区町村役所(課税課)
永住ビザ申請書類の修正入管局・行政書士経由で再提出

「申告内容をそのままにしておくと、不正と見なされるのでは?」と不安を抱える方も多いですが、誤りに気づいた時点で修正すれば、問題になることはほとんどありません。
広島市や東広島市では、外国人向けの税務相談日も設けられています。多言語対応の窓口を活用し、正確な情報で修正申告を行いましょう。

まとめ|扶養の申告は「正確さ」と「実態の裏付け」が鍵

永住ビザを取得した後も、家族の扶養関係は税制や入管審査に影響を与えます。「送金している=扶養」とは限らず、実際の生活支援が証明できることが重要です。扶養人数を多く申告するほど、審査のハードルは上がり、収入や生活基盤の安定が求められます。
もし、海外の家族を多数扶養している場合は、理由書や送金証明をしっかり準備し、不明点は行政書士など専門家に相談しましょう。
広島県内では、国際交流協会や行政書士による相談窓口が整備されており、正確な申請サポートが受けられます。当事務所でも、永住・扶養・配偶者ビザに関する無料相談を受付中です。安心して日本で暮らし続けるために、正しい知識と誠実な申告を心がけましょう。

記事の監修者

Eight Links 行政書士事務所 所長
蜂須賀 昭仁

2016年9月〜
VISA専門行政書士事務所
「Eight Links 行政書士事務所」を開業
専門分野 外国人在留資格申請、帰化許可申請
外国人の在留資格申請を専門分野とし
年間500件以上の相談に対応

講師実績
広島県行政書士会国際業務協議会 担当講師
中華人民共和国遼寧省鉄嶺市(外国人会社設立・経営管理)についての講師

詳しいプロフィールを見る

運営HP
広島外国人ビザ相談センター
https://hiroshima-visa.link/
広島国際結婚&配偶者ビザ申請代行センター
https://eightlinks.link/marriage/
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Eight Links 行政書士事務所 所長
蜂須賀 昭仁

2016年9月〜
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外国人の在留資格申請を専門分野とし年間500件以上の相談に対応

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