経営管理ビザの審査期間はどのくらい?スケジュールや短くするためのコツも解説!

外国人経営者が日本で会社を経営するためには、在留資格の一つである経営管理ビザを取得しなければなりません。

新規で経営管理ビザを取得する際にかかる在留審査処理期間は、81.7日(令和7年6月分)です。つまり、経営管理ビザ申請の審査には約2.5カ月がかかるといえます。

しかし、経営管理ビザの審査はほかの在留資格と比べて厳しいうえに、案件や時期によって長引く可能性があります。

こうした実情を踏まえ、本記事では、経営管理ビザの審査期間の実態のほかに、審査期間を短縮するための対策について解説します。審査期間が長い場合の経費節約対策についても解説するため、参考にしてください。

経営管理ビザの在留審査処理期間(審査期間)

出入国在留管理庁が2024年10月から1月ごとに公表している在留審査処理期間(日数)の最新データ(令和7年6月分)によれば、経営管理ビザの在留審査の処理期間は次のように公表されています。


在留資格認定証明書交付在留期間更新在留資格変更

処分(交付)までの日数処分(告知)までの日数審査終了までの日数処分(告知)までの日数審査終了までの日数
経営・管理81.735.825.953.145.8

出典:出入国在留管理庁「在留審査処理期間(日数)令和7年6月分

認定は来日のために新たにビザを取得する申請、変更は現在のビザと違うビザに変更する申請、更新は現在のビザを継続する申請を意味します。

在留審査処理期間は時期によっても異なりますが、認定は約2.5カ月、変更は約1.5カ月、更新は約1カ月をそれぞれ要するといえるでしょう。

経営管理ビザを取得するまでのスケジュールと所要期間

経営管理ビザを取得するまでのスケジュールと所要時間は次のとおりです。

  1. 経営管理ビザ取得を目的とした会社設立(1カ月程度)
  2. 経営管理ビザ取得に向けた営業許認可取得(1カ月程度)
  3. 経営管理ビザ取得に向けた税務署への各種届出(2週間程度)
  4. 経営管理ビザの申請準備(1カ月程度)
  5. 地方出入国在留管理局による経営管理ビザの審査(2〜3カ月程度)

官公庁の審査期間を除くと、所要期間はあくまでも目安です。それでも、所要期間の把握は経営管理ビザの取得を目指すうえで参考になるため、ぜひ参考にしてください。

経営管理ビザ取得を目的とした会社設立(1カ月程度)

経営管理ビザを取得する前に、会社を設立する必要があります。株式会社を設立する場合の流れは次のとおりです。

会社概要の検討・決定 会社の実印の作成 印鑑証明の取得 定款の作成 創立総会の開催 定款認証 出資金支払い 登記書類作成・押印 法務局に登記書類を提出 履歴事項全部証明書などを取得

これらの手続きのほかに、会社の本店所在地となる事務所の確保が必要です。事務所を確保するためには、申請者が新会社を名義人とした事務所の賃貸借契約を事務所の所有者と結ばなければなりません。

また経営管理ビザを取得に際しては、営業を開始できる状態であることを証明する必要があります。したがって、企業経営に必要な机やパソコン、事務機器なども用意しましょう。

さらに、飲食店や小売店など店舗型ビジネスを始める場合は、店舗内を内装工事し、必要な環境を整えなければなりません。

経営管理ビザ取得に向けた営業許認可取得(1カ月程度)

建設業や飲食店など、営業許認可が必要な業種は、事前に管轄する役所で各種許認可を取得しなければなりません。

一定の要件を満たせば、役所の審査が通る届出と違い、許認可は役所側の評価・判断を求めるため、審査に時間がかかります。

会社を設立次第、必要な書類をそろえて管轄の役所で手続きを行いましょう。

経営管理ビザ取得に向けた税務署への各種届出(2週間程度)

会社設立後は、税務署に次のような書類を届け出ましょう。

法人設立届出書 青色申告の承認申請書 給与支払事務所等の開設届出書(従業員を雇い入れる場合) 源泉徴収税の納期の特例の承認に関する申請書(給与の支給人数が常時10人未満の事業者のみ) 棚卸資産の評価方法の届出書(特定の棚卸資産の評価方法を第1期から採用したい場合) 減価償却資産の償却方法の届出書(第1期から任意の方法で減価償却をしたい場合)

このほか、地方税関連の手続きを都道府県と市町村に対して行いましょう。手続き時に提出が必要な書類は、法人設立届出書と定款の写しなどです。自治体によっては、登記事項証明書の提出も追加で求められる場合があります。

経営管理ビザの申請準備(1カ月程度)

ほかの手続きと並行して進めますが、経営管理ビザの申請準備には1カ月程度かかります。

申請に際しては、在留資格認定証明書交付申請書や事業計画書、申請理由書といった必要書類を用意しなければなりません。一部書類の準備には専門知識を要するため、行政書士をはじめとした在留資格の専門家に協力を仰ぐとよいでしょう。

地方出入国在留管理局による経営管理ビザの審査(2〜3カ月程度)

冒頭でご説明したとおり、入管による経営管理ビザの審査が完了するまで、約2.5カ月がかかります。

審査期間は案件や時期によっても異なりますが、新規で経営管理ビザを申請する場合は、それなりの時間がかかると見込んでおきましょう。

経営管理ビザの審査期間を短縮したいときの対策2選

経営管理ビザの審査期間を短縮したいときは、次の2つの対策を取るとよいでしょう。

  • 書類の不備をなくし、充実した立証書類を提出する
  • 高度人材ポイント制を活用する

経営管理ビザをすぐに取得したい方は、これらの対策を取ってみてください。

書類の不備をなくし、充実した立証書類を提出する

経営管理ビザの審査期間を短くするためには、書類の不備をなくすことが重要です。

書類に不備があると、入管の審査官が提出書類で在留資格該当性をはじめとした要件を満たせるかを判断できません。結果、「資料提出通知書」を発行し、申請者に追加資料の提出を求めることになります。

資料提出通知書で指定される提出期限は約2週間とされています。審査官はこの提出期限まで審査をストップし、申請者からの資料提出を待つことになるため、その分だけ審査期間が延びてしまうでしょう。

また、充実した立証書類の提出も、審査期間を短縮するうえで欠かせません。

ここでいう立証書類とは、提出が任意の申請理由書のことです。申請理由書に申請に至った経緯やビザ取得後の事業内容を詳細に記載することで、審査官が申請者の状況や考えを早く正確に理解できます。結果、審査官に不要な疑念を抱かれるリスクを最小化できるでしょう。

高度人材ポイント制を活用する

高度人材ポイント制で70点以上のポイントを保有する「高度人材外国人」として、「高度専門職」や「特定活動」といった在留資格を持つ方は、審査期間を短縮できる可能性があります。

高度人材外国人の方は在留資格を変更する際に、専門の部署で審査してもらえるため、申請提出から10日程度で許可される見込みがあるためです。

現在、高度人材外国人ではないものの、すでに学歴や職歴、年収から、70点以上のポイントが見込まれる方は、高度人材ポイント制の活用を検討すると良いでしょう。

経営管理ビザの審査期間が長い場合の経費節約対策

経営管理ビザの審査期間が長い場合は、次の2つの経費節約対策が有効です。

  • 事務所の賃料対策ではフリーレントを活用する
  • 審査期間中の事業運営は日本人やほかの在留資格者に任せる

審査期間の長期化により、賃貸事務所の家賃をはじめとした経費の支出が気になる方は、これらを試してください。

事務所の賃料対策ではフリーレントを活用する

経営管理ビザの審査期間中に発生する事務所の賃料対策では、フリーレントを活用しましょう。

フリーレントは不動産の賃貸借契約で、一定期間、賃料が無料になる契約です。フリーレントを活用すると、賃貸契約時の前家賃がかからなかったり、別のオフィスを借りている場合は賃料が二重払いにならなかったりするメリットがあります。

はじめからフリーレント物件になっているオフィス物件もありますが、そうでない場合は、物件の家主や不動産管理会社に、審査期間中の賃料を免除してもらうよう交渉しましょう。

長期間借り手が見つかっていない場合、交渉が成功する可能性があります。交渉が成功すれば、審査が長期化しても、賃料の負担増を心配する必要はありません。

審査期間中の事業運営は日本人やほかの在留資格者に任せる

経営管理ビザの審査期間中、申請者である外国人経営者本人は日本国内で経営活動に従事できません。もし許可が下りていないにもかかわらず、経営者本人が会社を経営すれば、不法滞在(資格外活動)になります。

不法滞在にならないために、審査期間中の事業運営は、日本人の知人や永住者・定住者の友人に任せるとよいでしょう。これにより、経営者本人は海外からリモートで指示を出しながら、審査期間中も事業を継続でき、賃料をはじめとした経費の無駄遣いを防げます。

まとめ

経営管理ビザの審査期間は約2.5カ月ですが、書類の不備や審査官による追加資料要求によって延びる可能性があります。

審査期間の長期化を防ぐためには、書類の不備をなくしたり、申請時に提出する書類を充実させたりすることが大切です。

提出が必要な書類や書類の書き方については出入国在留管理庁が公開しているものの、外国人経営者が独力で書類を準備するのは容易ではありません。そのため、経営管理ビザ申請に必要な書類の準備に際しては、行政書士をはじめとした在留資格の専門家に協力を仰ぐとよいでしょう。

記事の監修者

Eight Links 行政書士事務所 所長
蜂須賀 昭仁

2016年9月〜
VISA専門行政書士事務所
「Eight Links 行政書士事務所」を開業
専門分野 外国人在留資格申請、帰化許可申請
外国人の在留資格申請を専門分野とし
年間500件以上の相談に対応

講師実績
広島県行政書士会国際業務協議会 担当講師
中華人民共和国遼寧省鉄嶺市(外国人会社設立・経営管理)についての講師

詳しいプロフィールを見る

運営HP
広島外国人ビザ相談センター
https://hiroshima-visa.link/
広島国際結婚&配偶者ビザ申請代行センター
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