永住権を取得するメリット6選!デメリットや取得後に変わらないことも解説!

永住権はほかの在留資格と比べて条件や審査が厳しいですが、その分、ほかの在留資格にはないメリットがあります。
一方、永住権は在留期限がないというイメージが先行し、そのほかのメリットについて知らない方も少なくありません。
そこで、本記事では、永住権を取得する6つのメリットについて解説します。逆に永住権を取得するデメリットや、取得しても変わらないことについても解説するため、参考にしてください。
永住権を取得するメリット6選
永住権を取得するメリットには、次の6つがあります。
- 在留期限がなくなる
- 日本国内での就労制限がなくなる
- 社会的信用度が向上する
- 生活状況の変化に応じて在留資格を変更する必要がなくなる
- 在留特別許可を得やすくなる
- 同居家族が特例を受けやすくなる
これらのメリットを把握すると、永住権を申請するモチベーションがアップします。ぜひ参考にしてください。
在留期限がなくなる
永住権を取得すると、在留期限がなくなります。
永住権以外の在留資格には通常、最長5年の在留期限が定められており、その期限を超えて日本に留まるには更新申請をクリアしなければなりません。
更新申請では、審査を毎回受ける必要があります。審査の過程で、在留資格外活動が判明すれば不許可になる場合もあります。つまり、更新許可は確実に保証されたものではないのです。
一方、永住権を取得すると、煩雑な更新手続きをする必要がなくなります。時に大量の書類を集める必要がある更新手続きからの解放は、日本に在留する外国人にとって、メリットが大きいといえるでしょう。
日本国内での就労制限がなくなる
永住権を取得すると、日本国内での就労制限がなくなります。
就労制限とは、外国人が日本で働く際に設けられる特定の条件や制約です。この就労制限に違反すると、不法就労とみなされ、最悪の場合は退去強制を受けるリスクがあります。
一方、永住権には就労制限がありません。永住権を持つ永住者は、日本人と同じように自由に職業を選んだり、会社を経営したりすることができます。また、職業選択に際して、大学や専門学校での専攻を重視する重要性も薄れ、転職しやすくなるのもメリットの1つです。
社会的信用度が向上する
永住権を取得すると、社会的信用度が上がります。結果、日本人と同じように住宅ローンを組みやすくなったり、経営者の方は融資を受けやすくなったりします。
外国人が日本で起業する場合、「資本金500万円以上」「2人以上の常勤職員」といった一定の条件を満たし、「経営・管理」の在留資格を取得することが必要です。しかし、永住権を持っていれば、会社法がダイレクトに適用され、日本人と同じように資本金1円から会社を設立できるようになります。
生活状況の変化に応じて在留資格を変更する必要がなくなる
永住権を取得すると、生活状況の変化に合わせて在留資格を変更する必要がなくなります。
たとえば、「日本人の配偶者等」の在留資格者は、日本人の配偶者と離婚や死別した場合、6カ月以内にほかの在留資格に変更する必要があります。もし在留資格を変更できなければ、在留資格を失い、帰国しなければなりません。
しかし、永住権を取得すれば、たとえ配偶者と別れても、在留資格の変更手続きは不要です。
在留特別許可を得やすくなる
永住権を取得すると、在留特別許可を得やすくなります。
在留特別許可は、本来であれば退去強制になる外国人を、さまざまな事情を考慮して特別に日本での在留を認める制度です。たとえば不法滞在やオーバーステイなどで在留資格を失ったものの、特別な事情を有する場合に利用されます。
出入国在留及び難民認定法第50条によれば、法務大臣は当該外国人が永住許可を受けていれば、在留特別許可を付与できるとしています。
法務大臣は、外国人が退去強制対象者に該当する場合であつても、次の各号のいずれかに該当するときは、当該外国人からの申請により又は職権で、法務省令で定めるところにより、当該外国人の在留を特別に許可することができる。 一 永住許可を受けているとき。 二 かつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるとき。 三 人身取引等により他人の支配下に置かれて本邦に在留するものであるとき。 四 第六十一条の二第一項に規定する難民の認定又は同条第二項に規定する補完的保護対象者の認定を受けているとき。 |
出典:e-GOV「出入国管理及び難民認定法第50条」
在留特別許可は個別の事情を踏まえたうえで付与されるため、永住権を取得していても必ず認められるわけではありません。しかし、永住権はほかの在留資格と比べて退去強制のリスクを低くしてくれるといえるでしょう。
同居家族が特例を受けやすくなる
永住権を取得すると、同居する家族が在留資格「永住者の配偶者等」の取得といった特例を受けやすくなります。
永住者の配偶者等には、就労制限がありません。そのため、永住者の配偶者や子どもといった当該在留資格者が、自由に仕事をしたり、他業種に転職したりすることができます。在留活動に制限がないことから、大学や専門学校に通うことも可能です。
また、永住権の取得によって、配偶者と子どもの永住申請の要件が緩和されます。具体的には、永住申請の要件である素行善良要件と独立生計要件が免除されるほか、本来であれば10年以上が必要な在留年数が1年以上に短縮されます(ただし、配偶者の場合は実体を伴う婚姻生活が3年以上継続していることが必要です)。
永住権を取得するデメリット
数は少ないものの、永住権の取得にもデメリットは存在します。具体的には、次の2つです。
- 高度専門職の方は親の帯同が認められなくなる
- 母国との関係が変化する
永住権の取得はデメリットよりもメリットが大きいとされますが、参考にしてください。
高度専門職の方は親の帯同が認められなくなる
永住権を取得すると、高度専門職の在留資格者は、親の帯同が認められなくなります。
現行制度では、就労資格で在留する外国人の親の入国・在留は認められていません。しかし、次のケースに該当する場合は、高度専門職の在留資格者の優遇措置の1つとして、高度専門職の在留資格者またはその配偶者の親の入国・在留が認められています。
- 高度専門職の在留資格者もしくはその配偶者の7歳未満の子どもを養育する場合
- 妊娠中の高度専門職の在留資格者もしくは高度専門職の在留資格者の妊娠中の配偶者に対して、介助、家事その他の必要な支援をする場合
上記の条件合致により、親を帯同させている高度専門職の在留資格者は、永住権の取得により、親の帯同ができなくなります。
母国との関係が変化する
永住権を取得すると、母国との関係が変化する場合があります。国によっては、永住権の取得を機に、外国人と同等に扱われることがあるでしょう。
そのような国の出身者は、母国へ帰国する際にビザの提示を求められたり、母国での滞在日数や活動内容が制限されたりする可能性があります。
永住権を取得しても変わらないこと
永住権を取得しても変わらないことには、次の5つがあります。
- 国籍
- 在留カードの交付
- 日本を離れる際は再入国許可が必要
- 参政権は認められない
- 戸籍を持てない
いずれも日本での生活を続けていくうえで重要なポイントです。ぜひご参照ください。
国籍
永住権を取得しても国籍は変わりません。
そのため、犯罪行為を犯せば、在留資格を失って退去強制処分される可能性があります。万が一、日本と母国が戦争・紛争状態になれば、国外退去を命じられたり、収容施設での生活を強要されたりする可能性もゼロではありません。
在留カードの交付
永住権を取得しても在留カードは引き続き交付されます。
在留カードとは、新規の上陸許可や在留資格の変更許可、在留期間の更新許可などに伴い、中長期在留者に対して交付されるカードです。「証明書」だけでなく、「許可書」としての性格を有しているため、16歳以上の外国人には常時携帯が義務付けられています。
また、在留カードには有効期限があり、期限を迎えれば定期的に更新しなければなりません。
日本を離れる際は再入国許可が必要
永住権を取得しても、日本を離れる際は再入国許可を受ける必要があります。
再入国許可とは、日本に在留する外国人が一時的に出国し再び入国しようとする場合に、入国・上陸手続きを簡略化するために法務大臣が出国に先立って与える許可です。再入国許可を得ずに、単純出国すると、その時点で永住権は無効になります。
再入国許可には優遇措置がありません。そのため、永住者の方も出国時には必ず再入国許可を得ましょう。
参政権は認められない
永住者には、参政権が認められません。つまり、永住者は地方選挙や国政選挙に出馬したり、投票したりすることができません。
ただし、住民投票については、鳥取県日吉津村や東京都杉並区のように、永住者の参加を認めている自治体があります。そのため、住民投票への参加を希望する場合は、最寄りの自治体に問い合わせるとよいでしょう。
戸籍を持てない
永住権を取得しても、戸籍は持てません。
戸籍は、人の出生から死亡に至るまでの日本人の親族関係を登録公証する制度です。したがって、外国人である永住者は、戸籍を作れません。戸籍を作るには、帰化する必要があります。
まとめ
永住権にはさまざまなメリットがあります。永住権の取得によって得られるメリットは、日本での活動の幅を広げたい在留資格者にとって、大きなインセンティブ(動機付け)となるでしょう。
永住権の取得を現実的に視野に入れている方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
記事の監修者

Eight Links 行政書士事務所 所長
蜂須賀 昭仁
2016年9月〜
VISA専門行政書士事務所
「Eight Links 行政書士事務所」を開業
専門分野 外国人在留資格申請、帰化許可申請
外国人の在留資格申請を専門分野とし
年間500件以上の相談に対応
講師実績
広島県行政書士会国際業務協議会 担当講師
中華人民共和国遼寧省鉄嶺市(外国人会社設立・経営管理)についての講師
運営HP
広島外国人ビザ相談センター
https://hiroshima-visa.link/
広島国際結婚&配偶者ビザ申請代行センター
https://eightlinks.link/marriage/
広島永住ビザ申請代行センター
https://hiroshima-visa.link/permanent/
広島外国人雇用&就労ビザ申請代行センター
https://eightlinks.link/work/
広島外国人会社設立&経営管理ビザ申請代行センター
https://hiroshima-visa.link/businessmanagement/
広島帰化申請代行センター
https://hiroshima-visa.link/naturalization/
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Eight Links 行政書士事務所 所長
蜂須賀 昭仁
2016年9月〜
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専門分野 外国人在留資格申請、帰化許可申請
外国人の在留資格申請を専門分野とし年間500件以上の相談に対応
講師実績
広島県行政書士会国際業務協議会 担当講師
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