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オーバーステイと不法就労について解説します

2021.08.14

カテゴリ 就労ビザ

いつの間にか不法就労に!外国人労働者のオーバーステイ(在留期間超過)について

日本の職場で働いている外国人が、不法就労の状態になっている場合があります。

採用するとき、事前に企業側が在留カードをチェックしているはずだから、最初から不法就労の状態で雇い入れていることは、ほぼ無いと思っていると大きな落とし穴が空いている場合があります。

たとえば、就労ビザで認められている職種以外の仕事を任せたり、資格外活動の許可を得ていない留学生をアルバイトで雇ったりすることは、よほど悪質な雇用主でない限り、まず起きません。

その一方、後になって外国人が不法就労状態になっていることが判明する場合があります。その代表が、オーバーステイです。つまり、日本の入管当局から許可されている在留期間の有効期限が切れてしまった外国人が、なお働き続けているケースです。

このオーバーステイ状態は、雇用主だけでなく、本人もうっかり気づいていない場合が少なくありません。

本コンテンツでは、違法なオーバーステイをしている外国人に科されるペナルティや、オーバーステイ状態に気づいた場合の対処法などについて解説します。

日本国内のオーバーステイ外国人の実情

2020年7月現在、およそ288万人いる在日外国人のうち、不法在留(オーバーステイ)の状態になっている外国人は、8万2616人となっています。男女比は、およそ6対4です。国別では、ベトナム(1万5511人)、韓国(1万2423人)、中国(1万0300人)、タイ(9079人)、フィリピン人(5897人)が上位に来ています。

(※ただ、この時点では新型コロナウイルス(covid-19)感染症の影響が広がっていて、在留期間更新の申請受付期間が延長される特別措置が採られていました。オーバーステイ状態でありながら、特別措置を受けている外国人が1万5000人以上いて、その人数はカウントされていません)

オーバーステイの外国人に科されるペナルティ

オーバーステイは、出入国管理及び難民認定法という法律で取り締まりの対象となります。

もしも、オーバーステイが発覚したなら、その外国人は犯罪者として検挙され、1カ月~3年の懲役刑・1万円~300万円の罰金刑が科されるおそれがあります。悪質ならば、懲役刑と罰金刑が両方科されることもあります。もちろん、今の仕事も辞めなければなりません。

雇用している外国人労働者のオーバーステイ状態を知っていて、それを放置した会社も同罪で、同じ処罰を科されるおそれがあるのです。

オーバーステイも初犯なら、懲役刑は執行猶予となり、刑務所に入らなくて済むことが多いでしょうが、外国人は強制的に国外退去処分のペナルティを科される可能性が高いです。国外退去までの間、身柄を拘束される(牢屋に閉じ込められて、自由に外に出られない)こともありえます。

さらに将来、日本に再入国するのも難しくなるおそれがあります。

自分がオーバーステイ状態になっているのに気づいたら、どうすればいい?

正直に、自分から申し出たほうが、罪が軽く済む場合が多いです。

つまり、自主的に出入国在留管理庁に出向いて、出国命令を出してもらい、みずから本国へ帰国すれば、それだけで犯罪者として罪に問われることなく、平穏に日本を去ることができる望みがあるからです。

さらに、一定の条件を満たしていれば、身柄を拘束されること無しに、自由の身のまま国外退去となることもあります。

自主的にオーバーステイを申告する場合は、地方出入国在留管理局(札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・高松・福岡)、または地方出入国在留管理局支局(横浜・神戸・那覇)で受け付けていますので、最寄りの管理局に出頭してください。そのときは、パスポートや在留カードなど、身分証明になるものを持参してください。

オーバーステイになる直前でその事に気づいたら?

在留期間の満了する日(在留カードの有効期限)が、週末や祝日、年末年始などと重なっていて、出入国在留管理局が休みになっていることもあります。

その場合は、在留期間の満了日が遡って、前の平日になるのではなく、その後の平日になります。

たとえば、在留期間満了日が、月曜の祝日と重なっていた場合、その3日前である前週金曜日に満了日が遡るのでなく、次の平日、火曜日が満了日になります。

ですが、ギリギリになって慌てないよう、余裕を持って更新手続きを行うほうがいいです。

実際にこの救済措置日に申請を行った場合は、もちろん法律的には問題なく申請は受理されますが、本来、在留期間更新許可申請は在留期限が満了する3か月前から可能であることから、窓口で対応する入国審査官から厳しく注意されることもあります。

許可申請中に在留期間が満了し、結果、在留期間更新許可申請が不許可になったら?

もし、許可申請の審査をしている間に、在留期間が満了(在留カードの有効期限切れ)し、審査の結果、更新が不許可となった場合には、法律上、在留期間の満了日の翌日まで遡って在留資格がなく、オーバーステイ状態で日本にいる扱いとなってしまいます。

しかし、このような場合、出国準備のための「特定活動ビザ」への切り替えが審査官から勧められ、事後的にオーバーステイ期間がなかったものとする特別な処理が行われることとなります。