就労ビザ(技人国)が不許可になったら?再申請の流れと2026年審査厳格化対応ガイド
就労ビザ(在留資格「技術・人文知識・国際業務」)は、外国人を専門職として採用する際に最もよく利用される在留資格です。しかし審査は年々厳格化されており、2026年4月15日には出入国在留管理庁が運用指針を改正し、提出書類の追加や日本語能力の証明が一部で義務化されました。不許可になった場合でも、原因を正確に把握して適切に再申請することで、許可を得られるケースは少なくありません。
このページでは、人事担当者の方・不許可になってしまった企業様に向けて、①不許可になる主な理由、②在留資格が取り消されるケース、③当事務所の対応フロー(不許可後の再申請・留学生からの変更申請)、④特定活動46号(いわゆるN1ビザ)の活用方法を、2026年現在の最新情報に基づいてまとめています。
- 就労ビザが不許可になる4つの代表的な理由と回避策
- 在留資格取消制度の概要と「3か月ルール」
- 不許可後の再申請フロー(海外からの呼び寄せ・留学生の変更)
- 人事担当者が採用前に必ず確認すべき学歴・専攻要件
- 特定活動46号(N1ビザ)で現場職に就かせる条件(2024年改正対応)
- 2026年4月施行の審査厳格化で何が変わったか
📞 個別の状況が複雑な場合や、不許可になってしまった場合は、早めに専門家へご相談ください。
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就労ビザが不許可になる主な理由4選
就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)の申請が不許可になる理由は、大きく4つに分類できます。自社の申請がどのパターンに該当するかを把握することが、再申請成功の第一歩です。
就労ビザの根幹となる要件です。本人が大学等で何を専攻したかと、採用後に担当させる業務に関連性がないと判断されると不許可になります。
よくある誤解:工学部卒でも、電気系の科目を履修していなければ電気エンジニアとしての就労ビザは認められません。卒業証明書だけでなく成績証明書の提出が必須で、履修科目の内容まで審査されます。
なお、2024年2月の改正により、文科省認定の専修学校専門課程(一部の4年制専門学校)については、大学卒業者と同等の柔軟な扱いが認められるようになりました。
現行制度では、工場ライン作業・清掃・コンビニのレジ対応・警備員など、いわゆる「単純作業」とみなされる職種に従事するための就労ビザ(技人国)は存在しません。
ただし、一定の要件を満たす場合は特定活動46号(N1ビザ)で対応できる場合があります(詳細は第4節を参照)。
出入国在留管理庁は外国人の在留状況をすべて記録・管理しています。過去にオーバーステイ・資格外活動・不法就労等の問題があったにもかかわらず、それを隠して申請した場合は不許可になるだけでなく、虚偽申請として在留資格取消の対象にもなり得ます。
問題があった場合でも、正直に開示した上で専門家と対応を検討することが重要です。
企業の経営状態や、外国人を雇用する必要性・合理性が説明できていない場合も不許可になります。
- 直近の決算で債務超過に陥っている
- なぜその業務に外国人(その人)でなければならないかが書類から読み取れない
- 報酬が日本人従業員と比べて同等以上になっていない
特に中小企業(入管のカテゴリー3・4)は、2026年4月の改正でより詳細な疎明資料の提出が求められるようになっています。
人事担当者が採用前に確認すべきこと
採用が決まってから書類を準備し始めると、致命的な問題が発覚するケースがあります。内定を出す前の段階で、少なくとも以下の2点を確認してください。
採用前の必須チェック項目
- 学歴の確認:卒業証明書(または卒業見込証明書)を入手する
- 成績証明書の確認(最重要):担当予定業務に関連する科目を履修しているか確認する
- 専攻と職務の一致確認:理系学部卒でも、担当業務に関連する科目の履修が必要
- 日本語能力の確認:2026年4月以降、対人業務中心で中小企業に採用する場合はN2相当の証明が必要なケースあり
就労ビザの申請が認められる主な学歴
技術・人文知識・国際業務の在留資格を申請するにあたって、原則として認められる学歴は以下の通りです(海外の大学は日本の大学と同等と評価されます。海外の専門学校・日本語学校は対象外)。
| 学歴区分 | 技人国ビザ申請 | 特定活動46号 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 大学院修了(日本・海外) | ✅ 対象 | ✅ 対象 | 専攻と職務の関連性を審査 |
| 大学卒業(日本・海外) | ✅ 対象 | ✅ 対象 | 専攻と職務の関連性を審査(柔軟) |
| 短期大学・高等専門学校(日本) | ✅ 対象 | ✅ 対象(2024年改正で追加) | — |
| 専門学校(日本・認定課程) | ✅ 対象(2024年改正で要件緩和) | ✅ 対象(一部・高度専門士のみ) | 文科省認定の課程のみ。通常の専門士では46号は原則不可 |
| 専門学校(日本・通常) | ⚠️ 条件付き(専攻と職務の関連性が必要) | ❌ 原則対象外 | 要件緩和は認定校に限定 |
| 海外の専門学校・日本語学校 | ❌ 学歴要件を満たさない | ❌ 対象外 | 実務経験10年で代替可(国際業務は3年) |
| 実務経験(大卒要件なし) | ⚠️ 技術・人文知識:10年以上 国際業務:3年以上 |
❌ 対象外 | — |
成績証明書が「最重要」な理由
例えば、理工系学部を卒業した外国人を電気エンジニアとして採用したい場合、「工学士」の学位があっても、成績証明書に電気関連の科目(電気回路、電磁気学、制御工学など)が記載されていなければ、就労ビザは認められません。卒業証明書だけを集めて申請してしまうと、審査段階で追加書類を求められたり、不許可になったりするリスクがあります。
就労ビザでは就けない職種の例
出入国在留管理庁から「単純労働」とみなされる業務では、技術・人文知識・国際業務の在留資格は取得できません。採用計画の段階で確認しておくことが重要です。
- スーパー・コンビニのレジ・品出し
- 家電量販店の販売員
- レストランのホール(ウエイター・ウエイトレス)
- 調理補助
- 美容師・理容師(美容・理容師免許の職種は別在留資格)
- マッサージ師(柔道整復師等は医療系在留資格)
- 工場の製造ライン作業員
- 建設現場の作業員
- 造船所の作業員
- 警備員
- タクシー・バスの運転手(一般)
- 小売店の店員(一般的な販売のみ)
ただし「特定活動46号(N1ビザ)」で対応できる場合があります
2019年5月に新設された特定活動46号(告示46号)を利用すると、一定の要件を満たした外国人であれば、上記のような現場業務にも従事させることができます。次のセクションで詳しく解説します。
特定活動46号(N1ビザ)で現場職に就く方法
特定活動46号(本邦大学等卒業者)は、「日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務」を中核に据えることで、技人国では認められない現場作業を含む幅広い業務に従事できる在留資格です。単純作業のみでは認められない点が重要なポイントです。
2024年2月改正:学歴要件が拡大されました
従来は「日本の4年制大学または大学院の卒業者」のみが対象でしたが、2024年2月29日の改正により対象が広がりました。
- 短期大学・高等専門学校の卒業者(日本)
- 専門職大学の前期課程修了者(日本)
- 認定を受けた専修学校専門課程(高度専門士)修了者(文科省の「外国人留学生キャリア形成促進プログラム」認定校かつ4年制)
※通常の2〜3年制専門学校の卒業(専門士)は、引き続き対象外です。
特定活動46号の申請要件一覧
| 要件区分 | 具体的な条件 |
|---|---|
| 本人の学歴 | 日本の大学・大学院・短大・高等専門学校の卒業者、または認定専修学校専門課程(高度専門士)修了者 |
| 日本語能力 | ① JLPT N1合格、② BJTビジネス日本語能力テスト480点以上、③ 日本の大学・大学院で日本語を専攻して卒業、のいずれか |
| 雇用形態 | フルタイムの雇用契約(原則として週30時間以上の就労を予定するもの) |
| 報酬 | 日本人と同等以上の報酬(基本給・職務手当が対象。通勤手当・住宅手当等は含まない) |
| 業務内容(最重要) | 「日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務」が業務全体に有機的に含まれていること。単純作業のみでは不可 |
「日本語を用いた意思疎通業務」の具体例
工場勤務(ベトナム人技能実習生の監督):製造ライン作業に加えて、同じ職場のベトナム人技能実習生と日本人管理者の間で通訳・翻訳業務を担う場合。
工場勤務(日本人のみの職場):職場の従業員が全員日本人で、外国語でのコミュニケーションを要する相手がいない場合、母国語を使用する必然性がないため不可。
観光地のタクシー運転手:英語圏の外国人観光客に英語で接客・案内することが業務に含まれる場合、当該言語能力を活かした業務として認められる可能性があります。
コンビニの一般店員:日本語のレジ対応のみで、外国語や特定言語での対人コミュニケーション業務が含まれない場合は不可。
46号ビザは「技人国の代替策」ではなく別制度
特定活動46号は、技人国で認められない現場業務を可能にする制度ですが、「日本語を活かした対人業務の組み込み」という独自の要件があります。採用する外国人がN1合格者であっても、業務設計が要件を満たさない場合は不許可になります。職務内容の設計段階から専門家に相談することを強くおすすめします。
在留資格取消制度と「3か月ルール」
就労ビザを取得した後も、特定の状況に陥ると在留資格が取り消される場合があります。外国人を雇用する企業担当者も、この制度を把握しておくことが重要です。
退職・離職後の3か月ルール
入管法第22条の4第1項第6号に基づき、就労ビザ(技術・人文知識・国際業務等)を持つ外国人が、正当な理由なく在留資格に応じた活動を継続して3か月以上行っていない場合、在留資格の取消対象となります。
在留カードの有効期限まで3か月以上残っていたとしても、退職・失業後3か月が経過すると取消対象となり得る点に注意が必要です。
「正当な理由」とは何か
ビザ更新への影響にも注意
「3か月ルール」の取消対象にならなかったとしても、次のビザ更新時点で就職先が決まっていない・在留資格に適合した活動実績がない場合は、更新許可が下りないリスクが高くなります。外国人従業員が退職・転職する際は、できるだけ早く状況を把握し、必要に応じて専門家への相談を促してください。
また、2016年の入管法改正により、「3か月未満であっても、在留資格に応じた活動を行っておらず、かつ他の活動を行いまたは行おうとしている場合」は取消が可能になっています。不正行為や虚偽申請が伴う場合は特に厳しく対応されます。
不許可後の再申請フロー(海外からの呼び寄せ・認定申請)
ご自身で在留資格認定証明書交付申請(技術・人文知識・国際業務)を行って不許可になった企業様に向けて、当事務所の対応フローをご説明します。
代表的なケース例:ベトナム人を技術系スタッフとして本国から呼び寄せるために申請したが、不許可になってしまった。
まずはお電話にてご連絡ください。不許可の概要・採用予定者の情報・業務内容などについて簡単にお聞きします。この段階でおおよその方向性をお伝えできます。
採用理由・雇用契約書・学歴・不許可理由通知書等をもとに詳細なヒアリングを行います。不許可の根本原因を特定し、再申請の方向性をご提案します。必要に応じて就業場所へのご訪問も行います。
ヒアリング内容をもとに、申請書・採用理由書・理由書(不許可への対応説明)などを作成します。前回の不許可原因に対して正面から対応した書類構成とします。
完成した申請書類をご確認いただき、企業代表者(または申請取次行政書士)の署名・押印をいただきます。
当事務所が申請取次行政書士として申請します。審査期間は原則として約1〜3か月程度かかります(入管の混雑状況・案件の複雑さにより変動)。審査中に追加書類の提出を求められる場合もあります。
当事務所が入管からの通知(交付・不交付)を受領します。
審査結果を速やかにご報告します。許可の場合は在留資格認定証明書をお渡しし、海外にいる申請人(外国人)に送付していただきます。
留学ビザから就労ビザへの変更フロー
日本の大学等を卒業した留学生を新卒・中途で採用する場合、「在留資格変更許可申請」を行う必要があります。留学ビザ(在留資格「留学」)から就労ビザ(技術・人文知識・国際業務等)への変更手続きの流れをご説明します。
代表的なケース例:台湾出身の大学新卒者を日本の会社に就職させる場合。
まずはお電話またはお問い合わせフォームよりご連絡ください。採用予定者の国籍・学歴・担当予定業務などについて簡単にお聞きします。
採用理由・雇用契約書・学歴・成績証明書などを確認し、詳細なヒアリングを行います。実際の就業場所を拝見し、業務実態の確認や写真撮影を行うこともあります。
ヒアリング内容をもとに申請書・採用理由書などを作成します。会社の登記事項証明書・決算書・事業内容説明書なども準備します。カテゴリー3・4の企業は2026年4月以降、追加資料が必要な場合があります。
完成した申請書類を本人・企業担当者にご確認いただき、署名・押印をいただきます。
審査期間は概ね1〜3か月程度です(在留資格変更は本人が管轄の入管に申請し、受付後に就労活動を開始することができます)。追加書類の提出を求められる場合もあります。
当事務所が入管からの通知を受領します。
審査結果を速やかにご報告します。許可の場合は本人が入管窓口で新在留カードを受領します。
4月入社の場合は1月末までの申請が目安
在留資格変更の審査には1〜3か月かかります。4月入社の留学生の場合、遅くとも1月末までに申請することが推奨されています。年末年始や入管の混雑期を避けるためにも、12月中の申請が理想的です。申請が遅れると、内定者が4月入社に間に合わない可能性があります。
【2026年4月】技人国審査厳格化の主なポイント
2026年4月15日、出入国在留管理庁は「技術・人文知識・国際業務」の運用指針を改正し、同日以降の申請から適用される変更を実施しました(経過措置なし)。
| 変更項目 | 対象 | 内容 |
|---|---|---|
| 日本語能力証明の義務化 | カテゴリー3・4の企業 × 対人業務が中心の職種 | JLPT N2相当(CEFR B2相当)以上の証明書類の提出が必要。技術職・研究職など対人業務が中心でない場合は原則対象外(個別判断)。 |
| 派遣形態の規制強化 | 派遣雇用で技人国を申請する場合 | 派遣元・派遣先それぞれの誓約書、労働条件通知書等の追加提出が必要。 |
| クロスチェック制度の導入 | 全申請者 | 他の在留資格での不正・違反が技人国の審査に影響する仕組みが導入された。 |
| 所属機関代表者の申告書 | カテゴリー3・4の企業 | 代表者による申告書の提出が新たに求められるようになった。 |
「N2必須化」は全員に適用されるわけではありません
SNS等で「技人国がN2必須になった」と話題になっていますが、正確には「カテゴリー3・4の企業で、かつ対人業務が業務の中心となる職種」という2つの条件を両方満たす場合にのみ適用されます。大企業(カテゴリー1・2)や、技術職・研究職など対人業務が中心でないポジションには、現時点では原則として適用されません。ただし運用の詳細は個別の案件ごとに入管が判断するため、不安な場合は専門家へ確認してください。
よくある質問(FAQ)
まとめと次にやること
就労ビザの申請は、書類の組み方や業務内容の説明の仕方ひとつで結果が変わります。「不許可になってしまった」「採用したい外国人のビザが取れるか不安」「自社がどのカテゴリーに該当するか分からない」など、どんな段階でもお気軽にお問い合わせください。
※不許可になった場合は不許可相談ページもご覧ください。
※本記事は2026年5月時点の情報に基づいています。入管法・運用指針は随時改正されるため、実際の申請にあたっては出入国在留管理庁の最新情報をご確認ください。
記事の監修者

Eight Links 行政書士事務所 所長
蜂須賀 昭仁
2016年9月〜
VISA専門行政書士事務所
「Eight Links 行政書士事務所」を開業
専門分野 外国人在留資格申請、帰化許可申請
外国人の在留資格申請を専門分野とし
年間500件以上の相談に対応
講師実績
広島県行政書士会国際業務協議会 担当講師
中華人民共和国遼寧省鉄嶺市(外国人会社設立・経営管理)についての講師
運営HP
広島外国人ビザ相談センター
https://hiroshima-visa.link/
広島国際結婚&配偶者ビザ申請代行センター
https://eightlinks.link/marriage/
広島永住ビザ申請代行センター
https://hiroshima-visa.link/permanent/
広島外国人雇用&就労ビザ申請代行センター
https://eightlinks.link/work/
広島外国人会社設立&経営管理ビザ申請代行センター
https://hiroshima-visa.link/businessmanagement/
広島帰化申請代行センター
https://hiroshima-visa.link/naturalization/
記事の監修者

Eight Links 行政書士事務所 所長
蜂須賀 昭仁
2016年9月〜
VISA専門行政書士事務所 「Eight Links 行政書士事務所」を開業
専門分野 外国人在留資格申請、帰化許可申請
外国人の在留資格申請を専門分野とし年間500件以上の相談に対応
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中華人民共和国遼寧省鉄嶺市(外国人会社設立・経営管理)についての講師
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