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退去強制手続きについて〜回避できる方法はあるのか

2021.08.14

カテゴリ 在留資格の手続きの種類

回避できる方法はある? 国外への退去強制手続きについて

入管法には、出入国在留管理局に対して、世間一般的に強制送還と呼ばれる退去強制という処分が行える根拠が規定されています。

「定められた仕事の範囲で、日本企業で働いている」「日本の大学に留学している」「日本人と結婚している」……など、実際の状況と適合している何らかの在留資格がなければ、外国人は日本に住み続けることができません。

在留資格がないのに、あるいは在留期限を超えて日本に住み続けることは、オーバーステイ(不法在留罪)にあたります。最高で懲役3年の刑が科されるおそれがあるほか、母国への強制送還(退去強制手続き)のペナルティが科されます。

この退去強制手続きに、異議を唱えたい場合はどうすればいいのでしょう。退去強制を回避する方法はないのでしょうか。

退去強制の対象となる外国人の行為

出入国在留管理局警備部門からの取り締まりを受けて、国外退去を強制されるおそれがある外国人の行為は、次の通りです。

・パスポートや申請書類の偽造や変造、密入国など、不正な手段で入国をした

不法在留(オーバーステイ)

・他の外国人の不法入国やオーバーステイを手助けした

・許可を得ずに資格外活動をした(留学生のアルバイトなど)

・日本国内で犯罪を犯し、裁判で一定以上の刑を科された

・日本社会の安全や国益を害する行為を行った、あるいは行うおそれがある(外患誘致・破壊活動防止法違反など)

取り締まりを行う人

不法入国やオーバーステイなど、日本に滞在する外国人が退去強制の対象となる行為を行っていないかどうかを捜査するのは、警察官ではなく「入国警備官」という国家公務員です。

入国警備官は拳銃の携帯を認められ、裁判官に逮捕状の発行を求めて容疑者を通常逮捕できるなど、警察官並みの権限が与えられている一面もあります。

入国警備官が外国人を逮捕した後、容疑が確かだと判断されれば、その身柄が「入国審査官」に引き渡されます。

一般的な犯罪で、警察官が逮捕した容疑者の身柄を、検察官に引き渡したりすること(送検)がありますが、入国警備官と入国審査官の役割分担もそれに似ています。

ただし、この入国審査官は、いわば裁判官の役割も兼ねていて、退去強制の命令(出国命令)を出す権限も持っています。

退去強制に異議を唱えたいときは?

もし、入国警備官に掛けられた容疑を認めるわけにはいかず、抗議をしたいときは、「口頭審理」という手続きを請求できます。

裁判で無罪を主張するのに似ています。ただし、入国審査官から決定通知を受けて、3日以内に請求しなければならない厳しいタイムリミットがあります。

この口頭審理で、外国人からの言い分を聞く裁判官の役割を果たすのは、「特別審理官」です。

特別審理官には、出入国在留管理庁の長官から指定を受けた入国審査官が就任します。

外国人に退去命令を出すのも、外国人から言い分を聞き取るのも、どちらも入国審査官には違いないので、役割分担は不十分なのかもしれませんが、容疑に対して不服を申し立てる手続きは、いちおう保障されています。

もし、特別審理官の判断にも不服がある場合は、さらに法務大臣に対して異議を申し立てることができるようになっています。

ただし、特別審理官から決定の通知を受けてから、3日以内に申し立てなければならないなど、厳しいタイムリミットがあります。

法務大臣にもなお、異議申し立てに理由がないと判断されてしまえば、退去強制が執行されます。

退去強制を免れられる場合とは?

ただし、外国人が退去強制となりうる行為をしたとしても、例外的に退去強制を免れられる局面もあります。

具体的には、次の通りです。

・永住許可を受けている外国人

・かつて日本人だった外国人(日本国籍を離脱した、日本出身外国人など)

・人身売買などによって、自分の意思とは関係なく他人の支配下で日本に在留していた外国人

・そのほか、法務大臣の判断で特別に在留を許可すべき事情がある外国人

これらの場合は、国外への退去強制を免れるだけでなく、「在留特別許可」という例外的な在留資格が与えられます。

「法務大臣の判断で特別に在留を許可すべき事情」は、おもに次のような場面です。

・在留資格の更新手続きを忘れたまま、在留期間が過ぎて、うっかりオーバーステイになっていた場合

・オーバーステイとなっていた期間中に、日本人や永住外国人と結婚して、引き続き日本での在留が認められた場合

過失によってオーバーステイとなっていた場合、実務的には「特別受理」という措置で、期限が切れても更新を受け付ける場合があります。病気や災害、事故によって、どうしても更新手続きができなかった場合だけでなく、論文やレポートの執筆に集中するあまり、うっかり更新期間が過ぎていた留学生についても、特別受理が認められることがあるのです。

また、オーバーステイとなっている状態でも、帰国せずに日本で結婚相手を探し、引き続き日本に在留することが認められれば、事後的とはいえ、オーバーステイの違法在留の状態は解消されます。※解消されるとは言っても、数年後に永住権や帰化申請をする場合は、多大な影響が出てきます。

オーバーステイというだけで一律に、入国警備官によって取り締まりを受けるのは全体として不公平な取り扱いになるおそれがあります。そのため、「在留特別許可申請」という審査類型が存在し、事後的に救済する余地を残しています。

外国人が日本に住み続けられるかどうかは、「在留資格」という薄い氷の上に立っているようなもので、その資格がにわかに崩れ去るリスクがあります。退去強制で取り締まりを受けるリスクのある方は、前もってビザ専門の行政書士に相談し、将来の適正な方針を定めることをおすすめします。