【入管法違反】退去強制手続きの流れと対処法|入国警備官・入国審査官の役割・救済制度を解説
この記事で分かること
退去強制(強制送還)は、オーバーステイ(不法滞在)、不法入国、資格外活動などの入管法違反で科される処分です。入国警備官による逮捕→入国審査官の判断→口頭審理→法務大臣への異議申し立てという流れで進み、在留特別許可で回避できる場合があります。
この記事では、退去強制の対象となる行為、取り締まりの流れ、異議申し立ての方法、在留特別許可による回避方法まで、退去強制手続きに関するすべての重要情報を詳しく解説します。
退去強制とは
入管法には、出入国在留管理局に対して、世間一般的に強制送還と呼ばれる退去強制という処分が行える根拠が規定されています。
在留資格がなければ日本に住めない
「定められた仕事の範囲で、日本企業で働いている」「日本の大学に留学している」「日本人と結婚している」……など、実際の状況と適合している何らかの在留資格がなければ、外国人は日本に住み続けることができません。
オーバーステイ(不法在留罪)の罰則
在留資格がないのに、あるいは在留期限を超えて日本に住み続けることは、オーバーステイ(不法在留罪)にあたります。
- 最高で懲役3年の刑が科されるおそれがあります
- 母国への強制送還(退去強制手続き)のペナルティが科されます
退去強制の対象となる行為
出入国在留管理局警備部門からの取り締まりを受けて、国外退去を強制されるおそれがある外国人の行為は、次の通りです。
不正入国
パスポートや申請書類の偽造や変造、密入国など、不正な手段で入国をした
不法在留
オーバーステイ(在留期限を超えて日本に滞在)
不法入国の幇助
他の外国人の不法入国やオーバーステイを手助けした
資格外活動
許可を得ずに資格外活動をした(留学生のアルバイトなど)
犯罪行為
日本国内で犯罪を犯し、裁判で一定以上の刑を科された
国益を害する行為
日本社会の安全や国益を害する行為を行った、あるいは行うおそれがある(外患誘致・破壊活動防止法違反など)
取り締まりを行う人
不法入国やオーバーステイなど、日本に滞在する外国人が退去強制の対象となる行為を行っていないかどうかを捜査するのは、警察官ではなく「入国警備官」という国家公務員です。
入国警備官
入国警備官の権限
入国警備官は拳銃の携帯を認められ、裁判官に逮捕状の発行を求めて容疑者を通常逮捕できるなど、警察官並みの権限が与えられている一面もあります。
- 不法入国・オーバーステイの捜査
- 容疑者の逮捕
- 入国審査官への身柄引き渡し
入国審査官
入国審査官の役割
入国警備官が外国人を逮捕した後、容疑が確かだと判断されれば、その身柄が「入国審査官」に引き渡されます。
- 一般的な犯罪で、警察官が逮捕した容疑者の身柄を、検察官に引き渡したりすること(送検)がありますが、入国警備官と入国審査官の役割分担もそれに似ています
- この入国審査官は、いわば裁判官の役割も兼ねていて、退去強制の命令(出国命令)を出す権限も持っています
一般的な犯罪との比較
| 段階 | 一般的な犯罪 | 入管法違反 |
|---|---|---|
| 逮捕 | 警察官 | 入国警備官 |
| 身柄引き渡し | 検察官(送検) | 入国審査官 |
| 判断・命令 | 裁判官 | 入国審査官(退去強制命令を出す) |
退去強制手続きの流れ
不法入国・オーバーステイなどの容疑で、入国警備官が外国人を逮捕します。
容疑が確かだと判断されれば、その身柄が入国審査官に引き渡されます。
入国審査官が退去強制の命令(出国命令)を出すかどうか判断します。
容疑を認めるわけにはいかず、抗議をしたいときは、「口頭審理」という手続きを請求できます。
⚠️ 決定通知を受けて、3日以内に請求しなければならない
特別審理官が外国人からの言い分を聞き、判断します。
特別審理官の判断にも不服がある場合は、さらに法務大臣に対して異議を申し立てることができます。
⚠️ 決定通知を受けて、3日以内に申し立てなければならない
法務大臣にもなお、異議申し立てに理由がないと判断されてしまえば、退去強制が執行されます。
異議申し立ての方法
もし、入国警備官に掛けられた容疑を認めるわけにはいかず、抗議をしたいときは、異議申し立てができます。
1. 口頭審理の請求
口頭審理とは
裁判で無罪を主張するのに似ています。ただし、入国審査官から決定通知を受けて、3日以内に請求しなければならない厳しいタイムリミットがあります。
- この口頭審理で、外国人からの言い分を聞く裁判官の役割を果たすのは、「特別審理官」です
- 特別審理官には、出入国在留管理庁の長官から指定を受けた入国審査官が就任します
役割分担の問題
外国人に退去命令を出すのも、外国人から言い分を聞き取るのも、どちらも入国審査官には違いないので、役割分担は不十分なのかもしれませんが、容疑に対して不服を申し立てる手続きは、いちおう保障されています。
2. 法務大臣への異議申し立て
法務大臣への異議申し立て
もし、特別審理官の判断にも不服がある場合は、さらに法務大臣に対して異議を申し立てることができるようになっています。
- ただし、特別審理官から決定の通知を受けてから、3日以内に申し立てなければならないなど、厳しいタイムリミットがあります
- 法務大臣にもなお、異議申し立てに理由がないと判断されてしまえば、退去強制が執行されます
在留特別許可による回避
ただし、外国人が退去強制となりうる行為をしたとしても、例外的に退去強制を免れられる局面もあります。
在留特別許可が認められる場合
退去強制を免れられる場合
これらの場合は、国外への退去強制を免れるだけでなく、「在留特別許可」という例外的な在留資格が与えられます。
法務大臣の判断で特別に在留を許可すべき事情
うっかりオーバーステイ
在留資格の更新手続きを忘れたまま、在留期間が過ぎて、うっかりオーバーステイになっていた場合
オーバーステイ中の結婚
オーバーステイとなっていた期間中に、日本人や永住外国人と結婚して、引き続き日本での在留が認められた場合
特別受理という措置
特別受理とは
過失によってオーバーステイとなっていた場合、実務的には「特別受理」という措置で、期限が切れても更新を受け付ける場合があります。
- 病気や災害、事故によって、どうしても更新手続きができなかった場合
- 論文やレポートの執筆に集中するあまり、うっかり更新期間が過ぎていた留学生についても、特別受理が認められることがあります
オーバーステイ中の結婚
結婚による在留資格の取得
オーバーステイとなっている状態でも、帰国せずに日本で結婚相手を探し、引き続き日本に在留することが認められれば、事後的とはいえ、オーバーステイの違法在留の状態は解消されます。
将来への影響
解消されるとは言っても、数年後に永住権や帰化申請をする場合は、多大な影響が出てきます。
- オーバーステイの履歴は記録に残ります
- 永住ビザや帰化申請の審査で不利になる可能性があります
在留特別許可申請
事後的救済の仕組み
オーバーステイというだけで一律に、入国警備官によって取り締まりを受けるのは全体として不公平な取り扱いになるおそれがあります。そのため、「在留特別許可申請」という審査類型が存在し、事後的に救済する余地を残しています。
よくある質問(Q&A)
世間一般的に「強制送還」と呼ばれているものです。
・パスポートや申請書類の偽造や変造、密入国など、不正な手段で入国をした
・不法在留(オーバーステイ)
・他の外国人の不法入国やオーバーステイを手助けした
・許可を得ずに資格外活動をした(留学生のアルバイトなど)
・日本国内で犯罪を犯し、裁判で一定以上の刑を科された
・日本社会の安全や国益を害する行為を行った、あるいは行うおそれがある
入国警備官は拳銃の携帯を認められ、裁判官に逮捕状の発行を求めて容疑者を通常逮捕できるなど、警察官並みの権限が与えられています。
1. 口頭審理の請求:
入国審査官から決定通知を受けて、3日以内に請求できます。特別審理官が外国人からの言い分を聞きます。
2. 法務大臣への異議申し立て:
特別審理官の判断にも不服がある場合は、さらに法務大臣に対して異議を申し立てることができます。ただし、決定通知を受けて、3日以内に申し立てなければなりません。
在留特別許可が認められる場合:
・永住許可を受けている外国人
・かつて日本人だった外国人
・人身売買などによって、自分の意思とは関係なく他人の支配下で日本に在留していた外国人
・そのほか、法務大臣の判断で特別に在留を許可すべき事情がある外国人
病気や災害、事故によって、どうしても更新手続きができなかった場合だけでなく、論文やレポートの執筆に集中するあまり、うっかり更新期間が過ぎていた留学生についても、特別受理が認められることがあります。
ただし、必ず認められるわけではないので、速やかに出入国在留管理局に相談してください。
ただし、解消されるとは言っても、数年後に永住権や帰化申請をする場合は、多大な影響が出てきます。オーバーステイの履歴は記録に残り、永住ビザや帰化申請の審査で不利になる可能性があります。
・最高で懲役3年の刑が科されるおそれがあります
・母国への強制送還(退去強制手続き)のペナルティが科されます
まとめ:退去強制手続きと回避方法
- 退去強制は、入管法違反(オーバーステイ、不法入国、資格外活動など)で科される処分
- 取り締まりは入国警備官が行い、入国審査官が退去強制命令を出す
- オーバーステイは最高で懲役3年の刑
- 異議申し立ては、口頭審理(3日以内)→法務大臣への異議申し立て(3日以内)の流れ
- 在留特別許可が認められれば、退去強制を免れることができる
- うっかりオーバーステイの場合、特別受理の措置がある
- オーバーステイ中の結婚でも在留資格が認められる場合がある
- ただし、オーバーステイの履歴は将来の永住ビザや帰化申請に影響する
- 在留特別許可申請という救済制度が存在する
在留資格は薄い氷の上に立っているようなもの
外国人が日本に住み続けられるかどうかは、「在留資格」という薄い氷の上に立っているようなもので、その資格がにわかに崩れ去るリスクがあります。
退去強制で取り締まりを受けるリスクのある方は、前もってビザ専門の行政書士に相談し、将来の適正な方針を定めることをおすすめします。
- オーバーステイになる前に在留期限を確認し、早めに更新申請をする
- 資格外活動許可を取得せずにアルバイトをしない
- 在留資格に合った活動を行う
- 不安がある場合は、専門家に相談する
適切な在留資格管理で、安心して日本での生活を続けましょう!
記事の監修者

Eight Links 行政書士事務所 所長
蜂須賀 昭仁
2016年9月〜
VISA専門行政書士事務所
「Eight Links 行政書士事務所」を開業
専門分野 外国人在留資格申請、帰化許可申請
外国人の在留資格申請を専門分野とし
年間500件以上の相談に対応
講師実績
広島県行政書士会国際業務協議会 担当講師
中華人民共和国遼寧省鉄嶺市(外国人会社設立・経営管理)についての講師
運営HP
広島外国人ビザ相談センター
https://hiroshima-visa.link/
広島国際結婚&配偶者ビザ申請代行センター
https://eightlinks.link/marriage/
広島永住ビザ申請代行センター
https://hiroshima-visa.link/permanent/
広島外国人雇用&就労ビザ申請代行センター
https://eightlinks.link/work/
広島外国人会社設立&経営管理ビザ申請代行センター
https://hiroshima-visa.link/businessmanagement/
広島帰化申請代行センター
https://hiroshima-visa.link/naturalization/
記事の監修者

Eight Links 行政書士事務所 所長
蜂須賀 昭仁
2016年9月〜
VISA専門行政書士事務所 「Eight Links 行政書士事務所」を開業
専門分野 外国人在留資格申請、帰化許可申請
外国人の在留資格申請を専門分野とし年間500件以上の相談に対応
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中華人民共和国遼寧省鉄嶺市(外国人会社設立・経営管理)についての講師
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