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在留資格の取り消しについて紹介します

2021.08.14

カテゴリ 在留資格の手続きの種類

日本の在留資格が取り消される場合とは? 取り消されたら、必ず帰国しなきゃいけない?

外国人は、正式な在留資格を持っていて、初めて日本に滞在し続けることができます。

しかし、いったん認められた在留資格が、取り消されてしまう場合もあります。

では、どのような場合に、出入国在留管理局は外国人の在留資格を取り消すことができるのでしょうか。

取り消されそうになったとき、外国人は文句や反論を言えず、従わなければならないのでしょうか。

  • 在留資格が取り消される 4パターンの場面

日本に住んでいる外国人の在留資格が取り消される場面として、おもに4つのパターンがあります。

<1.ウソや不正な手段を使って、在留資格を得ていた場合>

日本に入国するとき、あるいは在留期間を更新する手続きのときに、申請書にウソを書いたり、偽造・変造された資料や証明書などを提出したりした事実が発覚すれば、在留資格の取り消しの対象となります。

たとえば、過去の経歴や、日本への入国目的などを偽って申告した場合などが該当します。

ひょっとすると、申請書にすべて本当のことを書いたとしても、問題なく在留資格が取得できていたかもしれません。しかし、ウソを書いたこと自体が不正な手段ですので、在留資格が取り消されても仕方がありません。

<2.在留資格に基づく活動実態がなく、かつ、在留資格とは別の活動をしていた(しようとした)場合>

たとえば、「介護」の在留資格で日本に滞在している外国人が、いつまで経っても介護の仕事に就こうとしないし、介護に関わる資格や免許を取るための勉強すらせず、しかも介護以外の仕事を始めようとした場合、在留資格の取り消し対象となります。

また、「留学」の在留資格で日本に滞在している外国人留学生が、大学に通わず、しかも資格外活動の許可を得ずにアルバイトで働いた場合も、やはり「留学」在留資格の取り消し対象となります。

<3.正当な理由なく、本来の在留資格に基づく活動を、継続して一定期間にわたって実施していない場合>

たとえば、就労ビザを取っている人が、その職種に属する仕事や活動を継続して3カ月以上実施していない場合、就労ビザの取り消し対象となります。ただし、高度専門職(2号)の場合は、6カ月以上実施していない場合が取り消し対象です。

「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」の在留資格を持っている外国人が、配偶者としての活動実態がない状態を6カ月以上続けている場合も、在留資格の取り消し対象です。離婚している場合はもちろん、夫婦の別居状態が6カ月続いた場合も取り消し対象になりえます。

<4.正当な理由なく、住居地の届出をしていない、あるいはウソの届出をした場合>

就労ビザや留学ビザなど、4カ月以上の在留期間が新たに認められた外国人が、正当な理由なく、住居地の届出をせずに90日以上放置した場合や、虚偽の住居地を届け出た場合は、在留資格の取り消しの対象となります。

別の家へ引っ越した場合に、90日以内に新たな住居地を届け出ない場合も、在留資格の取り消し対象です。

※居住地の変更の届け出は14日以内に行うことが入管法に規定されています。

  • いきなり在留資格が取り消されて、日本に住めなくなる?

法律上、在留資格が取り消される前に、入国審査官はその外国人から意見を聞き取り、反論するチャンスを与えなければならないルールとなっています。よって、いきなり在留資格が取り消されることはありません。

また、外国人には、在留資格を取り消そうとしている根拠となる証拠資料などを見せるよう、入国審査官に求める権利も認められています。ただ、入国審査官を相手に、ひとりで戦うのは不安なこともあるでしょう。その場合は、弁護士などの交渉のプロに依頼し、代理人として、意見の聞き取りの場に立ち会ってもらうこともできます。

ただし、入国審査官による意見の聞き取りの機会に、正当な理由なく、本人や代理人が出席しない場合は、いきなり在留資格が取り消されるおそれがあります。もし、突然の病気やけがなどで出頭できなくなった事情がある場合は、忘れずに出入国在留管理庁や地方出入国在留管理局に連絡を入れて、日程の変更を願い出てください。

  • 在留資格の取り消しが、正式に決定した場合

正式に在留資格が取り消された外国人については、次の2つの処分のどちらかが課されます。

<国外退去強制>

その外国人が特に悪質な行為をしたせいで、在留資格の取り消しが決まった場合には、強制的に帰国させられます。

特に、在留資格取り消し4パターンのうち、『1.ウソや不正な手段を使って、在留資格を得ていた場合』は、国外退去強制となる可能性が高くなります。

『2.在留資格に基づく活動実態がなく、かつ、在留資格とは別の活動をしていた(しようとした)場合』で、さらに「逃亡するおそれに相当の理由がある場合」といえるなら、国外退去強制の対象になりえます。

<自主的な帰国>

その一方、そこまで悪質でない違反によって、在留資格が取り消された外国人は、帰国を強制されたりはしません。代わりに、外国人が自らの意思で日本を出るよう促されます。最大で30日の猶予期間が与えられますので、その間に母国に帰る準備を整えてください。猶予期間内に出国すれば、オーバーステイ(不法残留罪)の扱いにはなりません。

在留資格の取り消しは、外国人にとって平穏な日常を奪われ、人生が変わるほどの一大事です。ウソを申請するなどの不正をしたなら仕方ありませんが、やましいことをしていないなら、入国審査官にしっかりと事情を説明して反論しましょう。