経営管理ビザの取得要件とは

外国人が日本で長期滞在するためには在留資格が必要となります。その中でも、日本で起業するために会社を立ち上げて経営する外国人、あるいは日本企業の幹部・役員となるために日本に滞在する外国人は「経営管理ビザ」を取得していなければなりません。

(※なお、日本で法律事務所や会計事務所の経営に関わる外国人弁護士や会計士などは、在留資格「法律・会計業務」を取得しなければなりません)

「経営管理ビザ」の申請された場合においても、外国人が不正に日本に滞在することのないよう、その外国人や会社が一定の要件を満たしているかどうかの審査があります。

では、外国人が日本の経営管理ビザを取得するためには、どのような要件をクリアしなければならないのでしょうか。このコンテンツでは、他のビザでは求められない、日本の経営管理ビザを取得するための基本的な要件について、詳しく解説しています。

■日本の経営管理ビザを取得するための「3要件」

経営管理ビザは、外国人が日本で会社を「経営」する場合、あるいは外国人が日本企業の幹部として事業等の「管理」にあたる場合、日本に長期滞在するために必要な在留資格です。

日本で会社の経営者となる場合には、経営管理ビザの取得のため、主に3つの要件が必要です。そして、会社の幹部・役員として管理者になるためには、3つの要件にプラスアルファの要件も求められるため、経営管理ビザを取得することがさらに難しくなるといえるでしょう。

経営管理ビザを取得するための3つの要件(経営者・管理者で共通)は次の通りです。

(A) 事業を行うための事務所が日本に存在すること

(B) 日本人2名以上が常勤で働くこと

(C) 資本金の額または給付が500万円以上であること

それぞれの要件について、より詳しく解説していきます。

<(A) 事業を行うための事務所が日本に存在すること>

もし、日本で会社を立ち上げるつもりがない外国人、あるいは日本以外の国にある会社の幹部・役員になろうとする外国人は、日本に長期滞在する正当な理由が認められません。よって、日本の経営管理ビザは発行されません。

日本企業の幹部・役員になる外国人の場合は、その日本企業の所在地が記された商業登記の登記事項証明書などを、申請書に添付する必要があるでしょう。

※原則的には人程度の規模の会社の管理職として「経営管理ビザ」を申請しても、ほぼ許可されることはありません。もちろん例外もありますので、詳しくは弊所にお問い合わせください。

これから日本で会社を立ち上げようとしている外国人の場合は、少なくとも事務所として使うつもりの物件を日本国内に確保している状況を証明しなければなりません。物件を購入した場合は不動産登記の登記事項証明書を添付し、物件を借りている場合は賃貸契約書などを添付しましょう。

また、飲食店経営や古物商取引など、日本の官公庁による許認可が必要な業種であれば、その許認可がすでに取れていることの証明も示さなければなりません。

<(B) 日本人2名以上が常勤で働くこと>

アルバイト・パートではない、いわゆる「正社員」として、日本人または身分系の在留資格を持っている外国人を2名以上雇用している会社でなければなりません。日本国内で外国人しか雇っていない会社を経営されても、日本社会にとってメリットが少ないと考えられるため、経営管理ビザは発行されません。

外国人が1人だけで社長を務める会社を日本に立ち上げても、それだけでは日本に滞在できませんので注意してください。雇用する従業員の国籍や在留資格については、十分に吟味して、必要に応じて見直しをしなければなりません。

※500万円以上を資本金として出資していれば、業種によっては従業員2名以上を雇用する必要はありません。

なお、身分系の在留資格とは「永住者」「永住者の配偶者等」「日本人の配偶者等」「定住者」のいずれかです。つまり、日本人や日本永住者と家族関係にあるなど、密接な関わりがある外国人に認められる在留資格です。

<(C) 資本金の額または給付が500万円以上であること>

日本では、資本金が1円でも株式会社を立ち上げられますが、外国人が日本で会社を設立して日本に滞在しようとする場合には、資本金が1円では不十分です。なぜなら、ビザを取る目的だけの、実態がない会社が設立されてしまうおそれがあるためです。そこで、真剣に日本でビジネスをするつもりだという意気込みを、お金で示さなければなりません。

外国人が日本で株式会社や合同会社を立ち上げて経営者となる場合、500万円以上の資本金を会社にプールしていなければ、経営管理ビザは交付されません。

さらに、500万円以上の資金の出所(調達手段)も証明する必要があります。経営者となる外国人の自己資金であれば、預金通帳の履歴を証明書として添付し、怪しい出所から集めた資金ではないことを示さなければなりません。家族から借りた場合には、口約束ではいけません。金銭消費貸借契約書を作成して、経営管理ビザの申請書に添付するようにしましょう。

■会社の幹部・役員になるための「プラスアルファ要件」

日本企業の幹部・役員になろうとする外国人は、以上の3要件の他、次の両方の要件も満たしていなければなりません。

  • 事業の経営または管理について3年以上の経験(大学院において経営または管理にかかる科目を専攻した期間を含む)があること。
  • 日本人が従事する場合に報酬を受けるのと、同等額以上の報酬を受けること。

どちらの条件も、ビザをもらうことだけが目的で、形ばかりの会社役員になる外国人が日本に増えないよう、牽制しているのです。

記事の監修者

行政書士蜂須賀代表写真

Eight Links 行政書士事務所 所長
蜂須賀 昭仁

2016年9月〜
VISA専門行政書士事務所
「Eight Links 行政書士事務所」を開業
専門分野 外国人在留資格申請、帰化許可申請
外国人の在留資格申請を専門分野とし
年間500件以上の相談に対応

講師実績
広島県行政書士会国際業務協議会 担当講師
中華人民共和国遼寧省鉄嶺市(外国人会社設立・経営管理)についての講師

詳しいプロフィールを見る

運営HP
広島外国人ビザ相談センター
https://hiroshima-visa.link/
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蜂須賀 昭仁

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専門分野 外国人在留資格申請、帰化許可申請
外国人の在留資格申請を専門分野とし年間500件以上の相談に対応

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