帰化面接でよく聞かれる質問とは?注意すべきポイントも解説!

帰化面接は、申請書類が受理されてから2〜4カ月後に行われる対面審査です。居住歴や仕事内容、収入、家族構成、婚姻歴、納税状況などを軸に、帰化者になるために必要な適格性について問われます。
帰化の許可を得るためには、帰化面接をクリアすることが必要不可欠です。一方、帰化面接で何を聞かれるか、どんな準備をすれば良いのかご存じのない帰化申請者も少なくありません。
そこで、本記事では、帰化面接でよく聞かれる質問について解説します。注意すべきポイントや成功させるためのポイントについて解説するため、ぜひ参考にしてください。
帰化面接とは
帰化面接は、法務局の審査官が帰化申請者の適格性について判断するプロセスの一つです。申請書類が受理された後に行われ、提出書類との内容の整合性だけでなく、帰化に至った経緯や日本での生活状況、帰化の希望理由などがヒアリングを通じて確認されます。
ここからは、そんな帰化面接の概要について解説します。
帰化面接が行われるタイミング
帰化面接が行われるのは、申請書が受理されてから2〜4カ月後です。帰化申請の全体の流れで整理した場合、帰化申請は4ステップ目に実施されます。
- 法務局への相談
- 必要書類の収集や作成
- 帰化申請書の提出
- 帰化面接・審査
- 官報告示・審査結果の連絡
- 在留カードの返却や帰化届の提出といった事後手続き
帰化申請書を提出してしばらくたつと、法務局から面談日に関する電話が来ます。法務局の担当者が提示してくる日時は平日日中が主です。会社員の方は調整が難しいかもしれませんが、帰化許可を得るために有給を取るなどして調整しましょう。
帰化面接が行われる理由
帰化面接は、まず申請書類に書かれていることが真実であるかどうかを確認するために実施されます。
そのため、帰化申請者は、申請書類の控えを取っておき、面接前に書類の内容に目を通すことで、書類の内容と面談での回答内容に矛盾が生じないようにすることが重要です。うそをつくつもりがなくても、申請書類と異なる受け答えは、審査官に悪い心証を与える可能性があるため、十分に注意しましょう。
帰化面接には、日本人として暮らしていくために必要な日本語能力を備えているか確認する目的もあります。帰化面接で求められる日本語能力は高くありませんが、普段外国人のコミュニティで暮らしている方はうまく日本語で対応できない可能性があるため、ある程度の対策が必要です。
帰化面接の対象者
帰化面接の対象者は、15歳以上の帰化申請者です。未成年者でも、15歳を超えると、帰化面接を受けなければなりません。
また、帰化面接では、生計の実態や申請者の人間関係を調べるため、同棲相手が面接対象になる可能性があります。逆に、日本人の夫や妻など、婚姻関係にある日本人は面接に呼ばれないケースがほとんどがありますが、法務局の要請によっては、同行を求められる場合があります。
そのほか、生計要件を調べるために、帰化申請者と経済的なつながりが深い人物が帰化面接に呼ばれる場合がごく稀にあります。
帰化面接の所要時間
帰化面接の所要時間は30分〜1時間ほどです。ただし、帰化申請者の質問に対する回答の粒度や日本語能力によっては長くなる場合があります。
帰化面接でよく聞かれる質問
帰化面接でよく聞かれる質問には次の6つがあります。
- これまでの経緯
- 仕事内容
- 家族について
- 婚姻歴等の身分関係について
- 法令遵守状況について
- 年金保険料・税金の支払い状況について
質問内容について把握しておけば、帰化面接の対策も立てやすくなります。ぜひ参考にしてください。
これまでの経緯
こちらは、国籍法第5条第1項第1号に規定される住所条件を確認するためにされる質問です。帰化申請者の人物特定を確認する目的もあり、来日した動機・きっかけや来日してから現在の居住歴、学歴、職歴だけでなく、母国での出生地や経歴なども聞かれます。
この質問では、深掘りした内容は聞かれません。帰化申請者は、母国での経緯や来日してから今までどのように過ごしてきたかを素直に回答するとよいでしょう。
【具体的な質問内容】
- 母国の出生地
- 来日した動機
- 来日から現在までの経緯(学歴や職歴、婚姻歴など)
仕事内容
こちらは、国籍法第5条第1項第3号と第4号にそれぞれ規定される素行条件と生計条件を確認する質問です。申請に合致した仕事内容を回答するか、在留資格に沿った仕事に従事しているか、会社名や担当業務などが記載内容に合っているかなどが確認されます。
また、質問を通じて、生活を送れるだけの給与を確保しているか、職場で円滑な人間関係を築いているか、安定した生活を営んでいるかが判断されます。
【具体的な質問内容】
- これまで職歴(アルバイト歴・就職歴)
- 現在の会社名や業種
- 年収/月収
- 従事している業務の内容や1日の仕事の流れ、就業年数
- 職場の人員構成や平均年齢、人間関係
- 通勤時間や1カ月の定期代など
- 転職予定
家族について
こちらは、国籍法第5条第1項第4号に規定される生計条件の前提となる配偶者や親族の概要を確認するとともに、日本とどのくらい縁があるかを把握するための質問です。
【具体的な質問内容】
- 本国の家族を含めた家族構成
- 家族それぞれの生年月日や出生地
- 帰化に対する本国の両親の賛成・反対、それぞれの理由
- 兄弟姉妹も来日している場合は、その人たちの帰化の予定・希望
- 同郷者の有無、年齢、続柄など
- 家族の過去の法令違反などについて
婚姻歴等の身分関係について
こちらは、過去の婚姻が偽装結婚ではないか、配偶者の人となりを見るための質問です。資料に基づいて、配偶者との出会いや結婚に至るまでの経緯、子どもの人数などが聞かれます。
また、離婚歴がある場合はその経緯や詳細について確認されます。
【具体的な質問内容】
- 婚姻歴・離婚歴
- 配偶者と知り合った時期、場所
- 配偶者と付き合うきっかけ、交際期間
- 配偶者の職業
法令遵守状況について
こちらは、国籍法第5条第1項第3号、第6号にそれぞれ規定される素行条件と憲法遵守条件を確認するための質問です。
帰化申請者が法令遵守状況の証明に際しては、法務局に提出する資料はほとんどありません。つまり、基本的に自己申告制です。したがって、帰化申請者は帰化面接で、ほかの質問と比べて具体的で細部にわたる内容の説明を求められる傾向にあります。
【具体的な質問内容】
- 警察にかかわったことの有無・その内容
- 最新の交通違反歴
- 軽犯罪法を含めた犯罪歴
- 銀行口座から不審な出入金の記録があるかないか
年金保険料・税金の支払い状況について
こちらは、素行条件を確認するための質問ですが、年金保険料・税金の支払い状況については、申請時の提出資料や追加提出資料で確認されます。そのため、年金保険料・税金の支払い状況について確認する審査官はほとんどいません。
ただし、会社経営者や個人事業主は申請から数カ月経過した後に帰化面接になるため、受付時点から面接期間までに滞納がないかを確認される場合があります。
【具体的な質問内容】
- 国民年金や住民税、所得税などの納税状況
帰化面接で注意すべきポイント
帰化面接で注意すべきポイントは、次の3点です。
- 服装や身だしなみ
- 適切な言葉遣いや態度
- 質問への答え方
これらのポイントを押さえることで、審査官に良い印象を与えられます。ぜひ参考にしてください。
服装や身だしなみ
服装は基本的に自由ですが、Tシャツやジーンズ、スウェットといったカジュアルすぎる服装は避けましょう。その意味では、スーツが無難です。
服装だけでなく、身だしなみにも配慮しましょう。髪形や爪、靴の手入れをしっかりしておき、清潔感を保つことが大切です。
適切な言葉遣いや態度
面接担当の審査官に対しては敬語を使い、礼儀正しく接しましょう。ただし、へり下る態度を取る必要はなく、自信を持って落ち着いた態度で臨むことが大切です。
質問に対しては、次の点に注意しましょう。
- 明瞭な発音で応える
- 「はい」か「いいえ」で応えるクローズドクエスチョンでも、エピソードを交えながら説明する
- 質問の意味がわからない場合は、遠慮せずに聞き返す
- 面接官の目を見て話す
質問への答え方
質問に対しては素直に回答しましょう。
帰化面接では、プライバシーに踏み込んだ質問をされる場合があります。そんな質問に「なぜ初対面の人にここまで答えなければならないの」と気分を害するかもしれません。ただ、非協力な態度は審査官の心証を損なうリスクがあるため、しっかりと回答することが大切です。
また、質問に対して虚偽の回答をしないようにしましょう。帰化面接では、帰化申請者の誠実さや信頼性を重視しており、虚偽の回答が発覚した場合、帰化申請が不許可になる可能性が高まります。
虚偽の回答でなくとも、申請書類との辻褄が合わない回答は、状況の悪化を招きます。正確に答えることも意識しましょう。
帰化面接を成功させるためのポイント
帰化面接を成功させるためには、次の2つを押さえるとよいでしょう。
- 事前準備を怠らない
- 模擬面接を行っておく
この2点を押さえることで、帰化面接が成功する可能性が高まります。ぜひ参考にしてください。
事前準備を怠らない
事前準備ですべきなのは、申請書類の内容の見直しです。審査官は基本的に提出された申請書類に基づいて質問してくるため、現在までの経歴や住所など、あやふやな部分は前もって確認しておきましょう。
申請書のなかでは、帰化動機書の再確認も重要です。再確認を通じて、帰化面接での回答内容と動機書に記載した内容に食い違いがないようにしましょう。
このほか、予想された質問に対する回答を準備しておくことをおすすめします。シナリオ回答を準備しておけば、実際の帰化面接でも審査官からの質問にスラスラ答えられるでしょう
模擬面接を行っておく
可能であれば、家族や友人、帰化申請の代理を委任する行政書士に協力してもらい、模擬面接を行っておくとよいでしょう。
模擬面接をすると、どのような質問にうまく答えられないかの課題が明確になります。また、当日緊張を感じにくくなり、審査官からの質問にスムーズに回答できるでしょう。
まとめ
帰化面接は、帰化許可を勝ち取るうえで帰化申請者に立ちはだかる最大の関門です。そのため、審査官から踏み込んだ質問をされる場合がありますが、事前に提出した申請書類を整理したうえで、想定問答をまとめておけば、スムーズな面接を実現できるでしょう。
帰化面接で重要なのは、日本に住み続けたい、貢献したい気持ちを素直に審査官に伝えることです。自信を持って思いの丈を伝えれば、帰化許可に近づくことは間違いないでしょう。
記事の監修者

Eight Links 行政書士事務所 所長
蜂須賀 昭仁
2016年9月〜
VISA専門行政書士事務所
「Eight Links 行政書士事務所」を開業
専門分野 外国人在留資格申請、帰化許可申請
外国人の在留資格申請を専門分野とし
年間500件以上の相談に対応
講師実績
広島県行政書士会国際業務協議会 担当講師
中華人民共和国遼寧省鉄嶺市(外国人会社設立・経営管理)についての講師
運営HP
広島外国人ビザ相談センター
https://hiroshima-visa.link/
広島国際結婚&配偶者ビザ申請代行センター
https://eightlinks.link/marriage/
広島永住ビザ申請代行センター
https://hiroshima-visa.link/permanent/
広島外国人雇用&就労ビザ申請代行センター
https://eightlinks.link/work/
広島外国人会社設立&経営管理ビザ申請代行センター
https://hiroshima-visa.link/businessmanagement/
広島帰化申請代行センター
https://hiroshima-visa.link/naturalization/
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Eight Links 行政書士事務所 所長
蜂須賀 昭仁
2016年9月〜
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専門分野 外国人在留資格申請、帰化許可申請
外国人の在留資格申請を専門分野とし年間500件以上の相談に対応
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