帰化申請が不許可になった事例8選を徹底解説!不許可後に取るべき対応も解説!

日本国籍の取得を目的とした帰化申請は、日本に長く暮らし、生活の基盤を形成した外国人にとって転機となる重要な手続きです。しかし、すべての帰化申請者が必ず許可されるわけではありません。法務局での審査の結果、不許可と判断されるケースも多々あります。
さらに、不許可になっても、法務局から郵送で不許可通知が送られてくるだけで、不許可理由はわかりません。それでも、不許可になった過去の事例から、不許可理由を特定することが可能です。
これらの事情を踏まえ、本記事では、帰化申請が不許可になった事例8選について解説します。帰化申請が不許可になった後に取るべき対応についても解説するため、参考にしてください。
帰化申請が不許可になった事例8選
帰化申請が不許可になった事例には次の8つがあります。
- 申請書類に虚偽の記載があった
- 安定した収入がなかった
- 日本にいない期間が長い
- 審査中に仕事を退職、転職した
- 申請中の事情変更について報告を怠った
- 法務局からの指示に従わなった
- 審査中に交通違反や納税遅延などを起こした
- 日本語能力が一定水準に達していない
不許可事例を把握しておけば、不許可の回避を目的とした対策も立てやすくなります。ぜひ参考にしてください。
申請書類に虚偽の記載があった
意図せず事実と異なる報告となってしまった場合でも、申請書類に虚偽の記載があったとみなされる可能性があります。申請書類に虚偽の事実を記載することは致命的な過失であり、高確率で不許可になります。
オーバーステイや犯罪歴など、申請書類に不利益な事実を記載しないことも、虚偽事実の記載に相当する過失行為です。
申請書類に記載した内容は受理後に法務局によって審査や調査されるため、不利益な事実の不記載は必ずバレます。「法務局といえども、すべてを把握できるわけがない」という安直な考えで、不利益な事実を隠すことはやめましょう。
安定した収入がなかった
安定した収入がない場合は、帰化許可の条件である生計条件を満たしていないと判断されやすくなります。
生計条件を満たしていると判断されるうえで必要な年収の基準は単身世帯の場合、300万円以上です。ただし、生計条件は家族構成や生活の実体を含めて総合的に判断されるため、持ち家の保有や正社員雇用などの事実を示して生活の安定性を証明すれば、年収300万円未満でも認められる場合があります。
生計条件を充足できるかどうかわからない場合は、配偶者や扶養者の収入も合算して世帯全体の収入として示しましょう。また母国の家族などから仕送りや援助がある場合は、贈与契約書や送金記録を提示して生活の安定性を証明することが大切です。
日本にいない期間が長い
一時帰国や出国が長期にわたる場合は、「継続して日本に在留している」とみなされず、不許可になる可能性があります。継続して5年以上日本に居住する居住条件を満たしていないと判断されてしまうためです。
帰化申請で継続在留を証明するためには、1年間の旅行総日数が50日を越える中断期間が直近5年間でないことを証明する必要があります。逆に、1回の出国で連続3カ月日本を離れていたり、年間で合計100日以上日本から出国したりしていた場合は、継続在留がリセットされて0日からカウントし直ししなければなりません。
もちろん、申請書類提出後の審査期間中も、出国日数が長くならないよう注意が必要です。
審査中に仕事を退職、転職した
審査中の転職や仕事の退職は、「安定した生活が保証されていないのでは」とマイナス評価がくだされ、不許可になる可能性があります。
帰化申請は、申請書類の提出から審査結果の通知まで、約1年の期間がかかります。帰化申請者は審査を通じて安定した生活基盤があることを証明しなければならないため、審査結果が通知されるまで生活状況を変えないことが大切です。
もし審査中に転職した場合は、申請先の法務局へ必ず報告してください。求めに応じて、転職先企業が作成した「在勤・給与明細書」や、転職先の「勤務先付近の略図」を提出しましょう。
申請中の事情変更について報告を怠った
申請中の事情変更を法務局に連絡していなかった場合は、帰化申請が不許可になる場合があります。報告を怠ると、申請書類の内容と事実が異なってしまう場合があるためです。
法務局に連絡しなければならない内容は次のとおりです。
- 住所や連絡先の変更
- 婚姻や離婚といった身分関係の変動
- 在留資格や在留期限の変更
- 日本から出国する
- 日本から出国後、再入国した
- 交通違反や暴力沙汰など、法律に違反する行為をした
やむを得ず事情が変わる場合は、事前または事後にその旨を法務局の担当官に伝えましょう。
法務局からの指示に従わなかった
法務局からの指示に従わなかった場合は、帰化申請に非協力だとして、不許可になる可能性があります。
法務局からの指示には、次のようなものがあります。
- 家庭訪問や職場調査といった追加調査
- 追加書類の提出
- 法務局審査官が面接官を務める帰化面接への出席
- 書面やメール、電話での追加質問
上記のような法務局からの指示に従わなかった場合は不許可になる可能性が高いとされます。
審査中に交通違反や納税遅延などを起こした
審査中に交通違反や納税遅延などを起こすと、素行条件に反するとして、帰化申請が不許可になる可能性があります。
素行条件に抵触する行為は、交通違反や納税遅延だけではありません。不起訴処分だったものの、万引や不同意性行、暴行などで書類送検されていた事実も、素行不良として不許可になる可能性があります。
過去に交通違反を起こしている場合は、その後の改善状況を説明し、運転記録証明書などを通じて違反が再発していないことを証明しましょう。税金や年金、健康保険料の遅延は未納分を納付し、領収書や納付証明書を法務局に提出することが大切です。
過去のトラブルは、事実を正直に話し、反省の意思を書面でも伝えましょう。
日本語能力が一定水準に達していない
帰化面接で日本語能力が一定水準に達していないと判断されれば、意思疎通が困難だとして不許可になる可能性があります。
帰化面接や申請書類の書面上で求められる日本語の水準は、小学校3年生程度の読み書き能力です。つまり、帰化申請では、カタカナが読めて、簡単な漢字が使えるレベルに達していることの証明が求められます。
帰化面接に先立ち、日本語能力が不十分に感じられる場合は、市販の日本語教材や帰化用の面接対策本を使って練習しましょう。また、帰化申請を行政書士や弁護士に委任している場合は、それらの専門家を面接官とした模擬面接を事前に受け、日本語での応答力を磨いておくことが大切です。
帰化申請が不許可になった後に取るべき対応
帰化申請が不許可になった後は、まずその要因を分析しましょう。不許可の明確な原因は法務局から教えてもらえませんが、帰化許可の条件から大まかな要因は分析できるはずです。
不許可の要因を分析した後は、原因を解消するための対策を取りましょう。たとえば、年収が低い永住者は年収アップに努めたり、家族から経済的支援を受けたりすることが大切です。また、転職して間もない永住者は、一定程度の勤務実績を残すようにしましょう。
生活状況を改善させても、すぐに再申請するのではなく、その状態を1年以上継続させることが大切です。法務局の審査官は帰化申請者の継続性、安定性を高く評価するためです。
こうした特性を踏まえ、再申請にあたっては、帰化許可が見込まれるまでの期間に見通しを立てて、準備を進めましょう。
まとめ
不許可になった場合、法務局はその原因や理由について教えてくれません。
それだけに、帰化申請者はすぐに再申請するのではなく、まず原因の特定と対策の立案をしたうえで、帰化が許可されるまでの見通しを立てることが大切です。
しかし、一度不許可になった帰化申請者が独力で原因解消の対策や帰化許可の見通しを立てるのは容易でありません。
記事の監修者

Eight Links 行政書士事務所 所長
蜂須賀 昭仁
2016年9月〜
VISA専門行政書士事務所
「Eight Links 行政書士事務所」を開業
専門分野 外国人在留資格申請、帰化許可申請
外国人の在留資格申請を専門分野とし
年間500件以上の相談に対応
講師実績
広島県行政書士会国際業務協議会 担当講師
中華人民共和国遼寧省鉄嶺市(外国人会社設立・経営管理)についての講師
運営HP
広島外国人ビザ相談センター
https://hiroshima-visa.link/
広島国際結婚&配偶者ビザ申請代行センター
https://eightlinks.link/marriage/
広島永住ビザ申請代行センター
https://hiroshima-visa.link/permanent/
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https://eightlinks.link/work/
広島外国人会社設立&経営管理ビザ申請代行センター
https://hiroshima-visa.link/businessmanagement/
広島帰化申請代行センター
https://hiroshima-visa.link/naturalization/
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蜂須賀 昭仁
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