配偶者ビザの外国人が離婚や死別をしたらどうする?
2021.08.14
カテゴリ 在留資格の手続きの種類
配偶者ビザで日本に滞在していた外国人が、離婚や死別をしたらどうする?
日本国内での国際結婚件数は、年々増えてきており、珍しい存在ではなくなっています。
2018年時点の統計で、「夫妻の一方が外国人」の婚姻件数は、年間2万1,852組となっており、婚姻件数全体に占める割合では、約27件1件となっています。
問題は、その国際結婚カップルが、離婚または死別したとき、在留資格はどうなるのか、という点です。在留資格がなくなると日本にいられなくなり、本国へ帰ることになるのでしょうか?
就労ビザや留学ビザで滞在している外国人が離婚しても、そのビザが切れるまでの間なら日本に滞在できるます。離婚や死別をしても関係ありません。
特に問題となるのは、「日本人の配偶者ビザ」「永住者の配偶者ビザ」のように、結婚を理由として発行されたビザを持っている人が離婚した場合です。
結論から述べますと、離婚や死別をきっかけに、ただちに本国に帰らなければならないことはありません。ですから、まずはご安心ください。
ただし、タイムリミットがあります。
「日本人の配偶者等」のビザや「永住者(永住外国人)の配偶者等」のビザを理由に在籍してきた外国人には、一般的には6か月間の猶予が与えられています。
その間に、別の在留資格が認められないままで日本に居残っている場合、法務大臣は在留資格を取り消すことができることになっています。
※入管庁には、上記の猶予期間に関係なく在留資格の取り消しの権限が与えられています。
■配偶者と離婚または死別したときの手続きの流れ
まず、配偶者ビザを持っていた外国人が、その配偶者と離婚または死別した場合、その外国人が居住している地域を管轄している地方出入国管理局に、直接訪問か郵送で届出を行わなければなりません。タイムリミットは14日間です。
全国の出入国管理局の所在地は、こちらで調べられます。
http://www.moj.go.jp/isa/about/region/index.html
その後、猶予期間の6か月間で、身の振り方を決めなければなりません。
離婚や死別をきっかけに、本国へ帰ることを決めたなら、それはそれで構いません。
ただ、日本に居残るつもりなのであれば、配偶者ビザとは別の在留資格を、新たに取得しなければなりません。
ここで、最も望みがあるのが「定住者ビザ」の取得です。
離婚または死別をして、配偶者ビザが失効しようとしている外国人が、新たに定住者ビザを取得するために必要な最低条件は、次の通りです。
・実態のある結婚生活が、3年以上あったこと
・離婚後も、自分自身で独立して生計を営む資産、または技能を持っていること
たとえば、前の配偶者との結婚期間中、しばしば本国へ帰ったりしていて、別居期間が長かったのであれば、実態のある結婚生活が送られていた期間が短いと判断されるおそれがあります。
一方で、配偶者の暴力・浮気(不倫)・ギャンブルによる債務超過、セックスレス・性的変態行為などが原因で離婚を決めた場合は、定住者ビザの発行が認められる可能性が高くなるといわれています。ただし、入国管理局が元配偶者から事情聴取を行って、裏付けを取る場合がありますから、ウソや大げさな事実を伝えないように気をつけてください。
定住者ビザを申請している外国人が、虚偽や誇張をしている人物だと伝われば、入国管理局の心証が悪くなり、ビザが不許可となるリスクがあるからです。
また、専業主婦として家事や育児に専念していて、収入を得る手段をしばらく持っていなかった外国人は、そのままでは不利ですので、今持っている配偶者ビザを元にして仕事に就くなど、独立生計を営めることを示さなければならないでしょう。
もし、資産に余裕があり、株式やFXなど投資事業で十分に生計を立てられていたり、起業家やフリーランスとして独立開業したりできる状況なら、「経営・管理」ビザを取得したほうが早い場合がありえます。
あるいは、学歴を持っていれば「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得する道も開かれていますし、大学や日本語学校などに「留学」することでビザを取ることもできるでしょう。
■再婚という選択肢
6か月間の猶予期間の間に、別の日本人または永住外国人と再婚することによって、配偶者ビザを取得する方法もありえます。
ただし、配偶者ビザを取得するには、偽装結婚の疑いを生じさせないよう、交際の事実を示す写真やメッセンジャーアプリのやりとりなどを入国管理局に提出しなければなりません。
6か月という期間は、恋愛感情を醸成させるには不十分であり、配偶者ビザほしさの再婚だと入国管理局に疑われるおそれがあります。
特に女性は、子どもが生まれた場合の父親を確定させる目的という建前で、100日間の再婚禁止期間が設けられています。その期間を避けると、婚姻届を提出して配偶者ビザを申請するために残された時間はわずかです。
※再婚禁止期間については民法の改正がなされています。
ですから、まずは定住者ビザを取得して、足下を固めてから再婚相手を探すようにしたほうが無難で合理的だといえるでしょう。
もし、定住者ビザの発行が認められなければ、本国へ帰ることも選択肢のひとつです。落ち着いて考えてみて、どうしても日本に住み続けたいのなら、ビザ取得を改めて再チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
Eight Links 行政書士事務所 所長
蜂須賀 昭仁
2016年9月 VISA専門行政書士事務所 「Eight Links 行政書士事務所」を開業
専門分野 外国人在留資格申請、帰化許可申請
外国人の在留資格申請を専門分野とし、年間500件以上の相談に対応
【講師実績】
広島県行政書士会国際業務協議会 担当講師
中華人民共和国遼寧省鉄嶺市(外国人会社設立・経営管理)についての講師
【運営HP】
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