「経営管理ビザ」を持つ外国人が、家族を日本へ招くための「家族滞在ビザ」について

2023.05.30

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経営管理ビザを取得して日本に滞在している外国人経営者・役員の中には、母国から日本へ家族を呼びたいと思っている人も多いでしょう。治安がいい日本では奥様や旦那様や子どもと安心して住みやすいですし、子育てや教育にも適しています。また、欧米諸国に比べて物価が安い傾向もあるので、暮らしやすい国であることは確かです。

あるいは、会社の経営を家族に手伝ってほしいと考えている人もいるはずです。異国の地で文化的な背景や考え方の異なる日本人の従業員に仕事をしてもらうのも、悩みが付きものかもしれません。家族であれば、相互理解やコミュニケーションもスムーズに進むでしょう。

日本に居住する外国人経営者・役員が、家族を日本に招くために、家族滞在ビザを申請することが認められています。このコンテンツでは、家族を持つ外国人経営者なら知っておきたい、日本の家族滞在ビザの基本制度についてお伝えしています。

■家族滞在ビザで日本に呼べる家族の範囲と注意点

家族滞在ビザが必要となるのは、外国人経営者・役員が扶養している家族を日本に招く場合です。配偶者や未成年の子どもなどが扶養家族の典型例です。養子にも家族滞在ビザを発行してもらい、日本に招くこともできます。

ただ、注意しなければならないのは、外国人経営者・役員の親や兄弟には、たとえ扶養していても家族滞在ビザが発行されないという点です。高齢などのために日本で働くことが難しい親は、残念ながら家族滞在ビザで日本に招くことが認められていません。

また、家族滞在ビザで日本に住む外国人が働くことについては制限が設けられています。週に28時間を超える労働が認められていないからです。週40時間以上働くフルタイムの正社員に就くことはできませんので、パート・アルバイトとして働くのが一般的です。しかも、働いて収入を得るためには出入国在留管理局からの許可を得なければなりません。

すでに成人していて、社会人として日本で働く能力がある家族であれば、業種別の就労ビザを取得する方がいいでしょう。日本の大学などに留学する意思があるなら、留学ビザでもいいかもしれません。なお、いったん就労や留学のビザで入国した家族について、ビザの更新が認められなかった場合、だからといって、家族滞在ビザを新たに発行してもらって日本に住み続けることはできません。

■経営管理ビザと家族滞在ビザの審査は別々

外国人経営者に経営管理ビザが認められているからといって、その家族に対して自動的にビザが発行されるわけではありません。日本へ招く家族に対する審査が、また別で行われるからです。審査の結果、日本に招くことが認められない場合もありえます。

家族滞在ビザが許可されるには、家族であることの証明を確実に行わなければなりません。出入国在留管理局の立場としては、家族を偽装した外国人が日本に入ってくることを認めるわけにはいかないからです。申請書と証拠書類とで書かれている内容に食い違いがあれば、それだけで家族滞在ビザが不許可になりかねません。

国によっても制度が異なりますが、配偶者であれば婚姻証明書など、子どもであれば出生証明書などによって、自分の家族である事実を証明します。これらを日本へ取り寄せるために、母国の家族にも手伝ってもらわなければならないかもしれません。さらに、証明書の内容を日本語に翻訳し、翻訳者のサインも施した文書も添付する必要があります。もちろん、証明書に書かれていない内容を記す、都合のいい翻訳をすることは禁じられています。発覚すれば、ビザが許可されないだけでなく、翻訳者や不正な翻訳を指示した人物が罪に問われ、処罰の対象となるおそれがあります。外国人経営者・役員が母国へ強制送還されることになるでしょう。

※23.3.10 現在 出入国在留管理局に対しては、原則的に上記証明書(結婚証明書や出生証明書など)の原本提示が求められる傾向があります。

■家族滞在ビザの申請に必要な書類

家族滞在ビザの申請で必要となる書類は、証明写真を貼った在留資格認定証明書交付申請書と、返信用封筒、そして証明書類です。証明書類を揃える作業が最も大変かもしれません。

申請書に貼る写真は「縦4cm×横3cm」のサイズで、申請時点から過去3ヶ月以内に撮影された比較的新しいものを使います。裏には申請者の氏名を記載することを忘れないようにしましょう。

返信用封筒は、家族滞在ビザの許可が下りたときの通知を郵送するために使います。郵送を希望する住所と氏名を記載し、簡易書留用として404円分の切手を貼って提出してください。

家族関係を証明する書類としては「結婚証明書(原本及びコピー)」「出生証明書(原本及びコピー)」などを申請書に添付します。これらの証明書だけでは証明が不十分な場合には、他の文書も添える場合があります。

また、日本へ招く家族の身分証明書として、パスポート(旅券)のコピーも必要です。

上記に加えて、家族写真、申請理由書、子どもの教育計画などの書類の提出も必要となります。