経営管理ビザの更新で必要な手続き

2023.05.30

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日本で起業する、あるいは日本企業の幹部として関わる外国人は、経営管理ビザによって日本に滞在するのが一般的です。ただし、ビザである以上は期限があります。期限を過ぎても日本に住み続けるためには、更新の手続きを行わなければなりません。

では、経営管理ビザを更新するためには、どのような手続きを踏み、どんなことに注意しなければならないのでしょうか。このページで詳しく解説していきます。

■経営管理ビザの更新に必要な書類

経営管理ビザを更新のために必要なのは「在留期間更新許可申請書」「在留カード」「パスポート」ですが、その他、経営管理ビザに特有のものとして、決算書あるいは確定申告書の写しも求められます。また、納税状況が外国人自身に加えて会社に関してもチェックされるので注意してください。

また、経営状況が芳しくない場合でも、その不安定な状況を改善できる見込みについて説明した文書があると、更新で有利になります。

それぞれの必要書類に関して、具体的に説明を進めていきます。

<在留期間更新許可申請書>

経営管理ビザを申請するための必須書類である在留期間更新許可申請書は、指定の書式があります。申請書では、主に次のような項目が設けられています。

  • 氏名
  • 生年月日
  • 国籍・地域
  • 同居予定の有無
  • 勤務先・通学先
  • 在留カード番号(しくは特別永住者証明書番号)

また、申請書には顔写真(証明写真)を貼らなければなりません。直近3ヶ月以内に撮影したもので、縦4センチ×横3センチの大きさに切り抜き、その裏面に申請人の氏名を記入したうえで、申請書の写真欄に貼付する必要があります。

<身分証>

在留カードやパスポートは、コピーしたものではなく、原本を持参して係員に提示しなければなりません。本物であることを示せれば十分です。コピーも申請書類に添付しましょう。

<会社の業績や状況を示す証明書類>

まずは、納税状況を示す書類が必要です。前年度の源泉徴収の法定調書合計表によって、所得税などの納税をしている事実を立証します。税務署の確認印が押されている物でなければなりませんので注意してください。地方税に関しては直近年度の住民税の課税証明書や納税証明書が必要ですので、市区役所で発行してもらいましょう。法人であれば社会保険や雇用保険の加入義務もありますので、その義務を果たしている状況を示す書類も求められることがあります。そのほか、年間投資額説明書、株主名簿、会社名義の銀行通帳のコピー、更新理由書などが必要とされますが、更新審査の内容によっては、さらに別の証明書の提出が求められる場合があります。

※会社の業績によっては新たに「事業計画書」と「収支計画書」を作成・提出する必要があります。

<会社の業績や状況について伝える作成書類>

もし、会社が2期連続で赤字になっている場合は、事業計画書や業務改善説明書の提出が求められますので準備しておきましょう。あえて赤字を計上することによって節税対策を行うこともできるわけですが、外国人が日本で起業する以上は、その節税は2期以上認められないことになります。日本で安定的にビジネスを続けられていることが、外国人に引き続き在留を認めるための条件となっているからです。事業計画書や業務改善説明書には、赤字を計上してしまった原因を自己分析して、その理由について記載したり、来年度以降は経営状況を改善させて黒字化させるためにはどうすればいいのか、客観的に根拠を数字で示しながら伝えたりしなければなりません。ビザを更新したいがために、その場しのぎのことを書いてもごまかせないでしょう。

※ケースによっては、公認会計士または中小企業診断士が作成した「経営診断書」の提出が必要となります。

また、どれだけ業績が苦しくても、ビザを更新する外国人へ会社が支払う役員報酬は月20万円以上に設定しておきましょう。役員報酬の水準が低すぎると、その外国人が独立の生計を維持するに十分な収入を得られていないことになり、ビザの更新が許可されない理由とされても仕方ありません。

■赤字決算でも諦めてはいけない!

以上のように、経営管理ビザの更新手続きは、他の就労ビザと比べても厳しい傾向があり、新規に取得する場合と同じぐらいの高いハードルが設けられているといわれます。特に業績が審査内容に加わっていることが厳しさを増しているといえそうです。

赤字決算になってしまうのは、経営者にとって思いがけない事態に巻き込まれたことが原因であることも多いからです。事業計画がいい加減であるとか、経営が下手であることなどの事情があれば、経営者自身に責任を求めてもいいでしょうが、社会全体の景気の悪化や感染症の流行によって人の流れが減ることによる売上減少など、経営者自身に原因を求められない事情もあります。その場合には、事業計画書や業務改善説明書で詳しく伝えるようにしましょう。「自分は悪くない」と他人のせい、時代のせいにして言い訳ばかり書き連ねるのは、かえって印象が悪くなってしまいますが、経営責任も一部で認めたうえで、前向きで説得力のある改善案を示すことができれば、その誠実さが審査で受け入れられ、更新が認められることも多いです。