経営管理ビザからの帰化申請について

2023.05.31

カテゴリ

未分類

経営管理ビザは、日本国内で起業をしたり、日本企業に役員として参入したりする外国人が、日本に長期滞在するため必要となる在留資格です。経営管理ビザから永住者にステップアップしようと考えている人も増えていますが、中には日本でビジネスを続けているうちに日本に帰化したいと望む人もいます。

■外国人経営者が日本に帰化するメリット

帰化は、もともとの国籍を捨てて日本国籍を取得することです。つまり、日本にとって外国人でなくなるので在留資格という概念もなくなります。選挙権によって政治家を選べますし、自らが政治家になるために立候補することも可能です。公務員になることもできますし、万が一、犯罪を犯しても母国に強制送還されることはありません。

何よりも企業の経営者という立場では、在留期間のことを気にしなくて済むので、会社を長期計画で成長させることができるようになります。このほか、銀行からの融資で有利になるなど社会的信用度も高まるでしょう。日本風の氏名に変更も可能ですので、日本人相手には名前を覚えられやすくなるかもしれません。帰化によって日本社会に溶け込む意思が感じられるので、日本人の顧客や取引先からも信頼されやすくなります。

では、経営管理ビザを持つ外国人が日本への帰化を目指す場合、どのような手続きを踏み、何に気をつければいいでしょうか。

■経営管理ビザから、帰化を目指すためにはどうすればいいか

経営管理ビザから帰化へのステップアップをするためには、帰化が認められる要件について知っておかなければなりません。永住権の要件に似ているものもあれば、異なる独自の要件もあります。

まず、日本に居住している期間です。帰化を申請するには、日本に5年以上継続して住み続けていなければなりません。かつ、就労可能な在留資格で3年以上の居住歴が必要です。とはいえ、永住者の要件が日本に引き続き10年以上居住していることが挙げられていますので、むしろ緩和されているのです。外国人のままで日本に永住すると、悪意を持って日本の国益が脅かされるおそれがあるので、日本社会の中で平穏に暮らし続けられるかどうかが厳しく審査されています。

そして、納税や年金納付などの社会的な義務を果たしており、素行が善良で、独立した生計を立てられるだけの収入を得られていることなど、永住権の取得要件と同じような内容を、帰化申請の場合も求められます。外国人が新たに日本国籍を取得するのですから、日本社会にとって損害を与えかねない人物を迎え入れるわけにはいきません。収入が低くて最初から生活保護をあてにして日本に住み続けようとする外国人がいるおそれもあり、その場合にも市町村の生活保護予算に負担がかかります。そこで、日本の国益を守るため、社会を損なわない人物なのかどうか、もともとの日本人よりも厳しく審査されるのです。これは、悪意のある一部の外国人から日本社会を防衛するためにやむをえない審査ですので、理解して受け入れていただきたいです。

また、18歳以上であり、母国の法律で行為能力(契約などの法律行為を自分の判断だけで行える)が認められている外国人であって、母国の国籍を離脱して二重国籍にならないようにすることなど、帰化申請で独自の要件も求められます。

■帰化に関する主な手続き

帰化が認められるまでの手続きには、平均して10ヶ月から2年ほどがかかります。審査はそれなりに厳しいですし、手間もかかりますので、会社経営で忙しい方にとっては負担になってしまうかもしれません。早い段階で、ビジネスに優先して帰化のためのスケジュールを数ヶ月先まで組んでおき、時間的な余裕を確保しておくことがおすすめです。

まずは、お住まいの地域を管轄する法務局で、帰化に関する事前面談の場を設けてもらいましょう。法務局は、日本の法務省の出張所のような役割を果たしている公的機関です。事前面談は、必ず日時の予約をしなければなりませんので、飛び込みで訪問して無駄足を踏まないように注意してください。

面談の場では、法務局の職員からの質問に正直に答えていけば十分です。それで、客観的に帰化が認められる最低限の要件を満たしているかどうかがチェックされます。先ほど紹介した帰化要件について、すでにセルフチェックができている方であれば問題ないでしょう。

そして、帰化のために必要な書類を作成したり収集したりする準備作業に入ります。自分で作成するわけにはいかず、集めなければならない証拠書類を準備するのが大変で時間もかかります。

正式に帰化を申請した後、しばらく経って再び法務局での面談が行われます。提出した書類と矛盾したことを答えてしまうと不利になるので、気をつけましょう。場合によっては、自宅や会社オフィスなどに調査が入ることも珍しくありません。

もし、無事に帰化の決定が出れば、市町村の役場・役所で1カ月以内に帰化届を提出すれば完了です。

以上の手続きの中で特に大変なのは、帰化申請に必要な書類集めです。母国から取り寄せなければならない場合もあるので、帰化に詳しい行政書士などのを頼った方が手間がかからずスムーズに進行するでしょう。