技能ビザ取得ガイド|外国料理の調理師採用に必要な実務経験証明・申請書類・店舗要件

この記事で分かること

技能ビザは、外国料理の調理師やスポーツトレーナーなど、熟練した技能を持つ専門職のための就労ビザです。

この記事では、技能ビザの対象職種、取得要件(特に10年以上の実務経験)、必要書類、実務経験の証明方法まで、外国人調理師の採用を中心に詳しく解説します。

技能ビザとは

技能ビザは、産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を必要とする業務に従事する外国人のための就労ビザです。

学歴ではなく職歴が基準

技能ビザは、学歴ではなく職歴を基準として交付されるビザです。そのため、その仕事について熟練した技能があることが条件になります。

一般的には10年以上(タイ人調理師は5年以上)の実務経験が求められます。

すべての就労ビザに共通する必須条件

📝雇用契約

日本にある会社(個人事業主等も含む)と雇用契約等を結んでいること

💰報酬条件

日本人と同等額以上の報酬を受けること

技能ビザの対象職種

技能ビザは、特殊な技能を必要とする職種が対象となります。代表的な職種をご紹介します。

🍜外国料理の調理師

最も代表的なケース

  • 中国人調理師が中華料理店で働く
  • タイ人調理師がタイ料理店で働く
  • イタリア人調理師がイタリア料理店で働く

※10年以上の実務経験が必要(タイ人は5年以上)

🏋️スポーツトレーナー

特定のスポーツ分野での専門的な指導技能を持つトレーナー

※3年以上の実務経験が必要

🍷ソムリエ

ワインに関する専門的な知識と技能を持つソムリエ

※5年以上の実務経験が必要

重要な注意点:料理のジャンルとの一致が必須

いくら卓越した調理技術を持つ料理人であっても、中国人調理師が日本料理店で働くために技能ビザが交付されることはありません

  • 中国人調理師 → 中華料理店で働く場合のみ
  • タイ人調理師 → タイ料理店で働く場合のみ
  • フランス人調理師 → フランス料理店で働く場合のみ

料理人の国籍と料理のジャンルが一致していることが絶対条件です。

取得するための3つの重要ポイント

技能ビザを取得するためには、以下の3つのポイントを満たす必要があります。特に実務経験の要件は厳格です。

1 10年以上の実務経験が必要

中国人調理師など:10年以上の実務経験が必要

タイ人調理師:5年以上の実務経験が必要

⚠️ 重要:実務経験に関しては1~2か月足りないだけでも不許可になる可能性が高いです

✓ 調理の専門学校等に在籍していた期間も実務経験に含むことができます

2 外国料理専門店であること

雇用する店舗が外国料理専門店としての要件を満たしている必要があります。

  • 外国料理の単品料理、コース料理があること
  • 20~30席以上の座席があること
  • 外国料理を専門に提供していること
3 新規開店の場合は事業計画書が必要

新規開店した店舗で働く場合は、事業計画書の提出が必要な場合があります。

事業の継続性や安定性を証明するため、詳細な事業計画と資金計画を準備しましょう。

実務経験の年数要件

職種 必要な実務経験 備考
外国料理の調理師(タイ人以外) 10年以上 調理専門学校の期間も含む
外国料理の調理師(タイ人) 5年以上 タイ料理に限る特例
ソムリエ 5年以上 ワイン関連業務の経験
スポーツトレーナー 3年以上 特定スポーツの指導経験

実務経験の厳格な審査

  • 実務経験は1か月単位で厳格に審査されます
  • 10年必要なところ、9年11か月では不許可になる可能性が高いです
  • 実務経験の証明書類は信頼性が重要です
  • 調理専門学校の期間は実務経験に含めることができます

外国料理専門店の要件

技能ビザを取得するためには、雇用する店舗が外国料理専門店としての要件を満たしている必要があります。

外国料理の単品料理を提供していること
外国料理のコース料理を提供していること
20~30席以上の座席数があること
外国料理を専門に提供する店舗であること
外国料理専門店としての実態があること(メニュー、内装など)

店舗の実態を証明する書類

申請時には、以下のような店舗の実態を証明する書類が必要になります:

  • 店舗の外観・内観の写真
  • メニュー表のコピー(外国料理の単品・コース料理が掲載されているもの)
  • 座席配置図や店舗の図面
  • 店舗の賃貸契約書(賃貸の場合)

実務経験の証明方法

技能ビザの取得のためには、実務経験の証明が必要になります。立証責任は本人にあり、具体的な証明方法が求められます。

1 在職証明書の取得

過去の勤務先から「在職証明書」を取得します。複数の勤務先で実務経験を積んでいる場合は、すべての勤務先から取得する必要があります。

2 在職証明書の公証(国やケースによる)

国やケースによっては、在職証明書を本国で公証する必要があります。公証により、証明書の信頼性が高まります。

3 必要事項の記載確認

在職証明書には、以下の事項が明確に記載されている必要があります:

  • 店名(会社名)
  • 電話番号
  • 住所
  • 職種(例:中華料理の調理師)
  • 実務経験年数(〇年〇月〇日~〇年〇月〇日)

在職証明書に必須の記載事項

🏢店名・会社名

勤務していた店舗や会社の正式名称

📞電話番号

入国管理局が確認できる連絡先

📍住所

店舗や会社の所在地

👨‍🍳職種

具体的な職種(例:中華料理の調理師)

📅実務経験年数

在籍期間を年月日で明記(例:2010年4月1日~2020年3月31日)

在職証明書作成時の注意点

  • 在籍期間は年月日単位で正確に記載する必要があります
  • 職種は「調理師」ではなく「中華料理の調理師」など、料理のジャンルを明記します
  • 複数の店舗での経験を合算する場合、期間の重複がないよう注意します
  • 証明書は原則として勤務先の代表者名義で発行されます
  • 国によっては公証が必要になるため、事前に確認しましょう

実務経験証明のポイント

立証責任は申請人(本人)にあります

実務経験の立証責任は本人にあるため、以下の点に注意して証明書類を準備しましょう:

  • 信頼性:入国管理局が確認できる形での証明が必要
  • 継続性:ブランク期間がある場合は理由を説明
  • 関連性:申請する職種と一致した実務経験であること
  • 補強書類:可能であれば給与明細、雇用契約書なども準備

企業カテゴリーと必要書類

外国人を雇用する企業は4つのカテゴリーに分類され、カテゴリーによって準備する書類が大きく異なります。

カテゴリー 該当する企業・団体 特徴
カテゴリー1 ・上場企業
・保険業を営む相互会社
・日本または外国の国・地方公共団体
・特殊法人、認可法人
・公益法人
・法人税法別表1に掲げる公共法人
手続き簡略化
必要書類最小
カテゴリー2 前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中、給与所得の源泉徴収合計表の源泉徴収税額が1,500万円以上ある団体・個人 手続き簡略化
必要書類少
カテゴリー3 前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された個人・団体(カテゴリー2を除く) 標準的な書類が必要
カテゴリー4 カテゴリー1~3のいずれにも該当しない団体・個人 最も多くの書類が必要

飲食店の多くはカテゴリー3または4

外国料理の調理師を雇用する飲食店の多くは、カテゴリー3または4に該当します。そのため、詳細な書類準備が必要になります。

申請の流れと必要書類

海外にいる外国人調理師を採用し、日本に呼び寄せる場合は「在留資格認定証明書交付申請」が必要です。

カテゴリー1・2の必要書類

📄カテゴリー別提出書類

【カテゴリー1】

  • 四季報の写し
  • 上場していることを証明する文書
  • 設立許可書

【カテゴリー2】

  • 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)
在留資格認定証明書交付申請書
返信用封筒(定型封筒に宛先を明記し、404円分の切手を貼付)
申請人の顔写真(縦4cm×横3cm)
専門士または高度専門士を持っている場合は、それを証する文書

カテゴリー3・4の必要書類(飲食店の多くが該当)

📄カテゴリー別提出書類

【カテゴリー3】

  • 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)

【カテゴリー4】下記のいずれかの資料

  • ① 外国法人の源泉徴収に対する免除証明書
  • ② 給与支払事務所等の開設届出書の写し
  • ③ 直近3か月分の給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書
  • ④ 納期の特例を受けている場合は、その承認を受けていることを明らかにする資料
在留資格認定証明書交付申請書
返信用封筒(定型封筒に宛先を明記し、404円分の切手を貼付)
申請人の顔写真(縦4cm×横3cm)
雇用契約書等(労働条件を明示した文書)
雇用企業の登記簿謄本等
店舗の写真(外観・内観)
店舗のメニュー表等のコピー
雇用企業のHPをプリントアウトしたもの(パンフレット等も含む)
直近の決算文書の写し(新規事業の場合は事業計画書)
【タイ人以外】10年以上の実務経験を証明する文書
【タイ人】5年以上の実務経験を証明する文書

状況に応じて追加書類を求められる場合があります

入国管理局から、上記以外の書類提出を求められることがあります。以下のような追加書類が求められるケースがあります:

  • 店舗の賃貸契約書
  • 座席配置図
  • 調理師免許のコピー(持っている場合)
  • 過去の給与明細や雇用契約書(実務経験の補強資料)
  • 営業許可証のコピー

在留資格認定証明書交付申請の流れ

1 外国人調理師との雇用契約締結

採用を決定し、雇用契約書を作成します。給与、勤務時間、職務内容などを明確にします。

2 実務経験証明書の取得

本人が過去の勤務先から在職証明書を取得します。10年以上(タイ人は5年以上)の実務経験を証明します。

3 必要書類の準備

企業のカテゴリーを確認し、該当する書類一式を準備します。店舗の写真やメニュー表も忘れずに。

4 入国管理局へ申請

企業(店舗)の所在地を管轄する入国管理局に在留資格認定証明書交付申請を行います。

5 審査期間(1~3ヶ月)

入国管理局で審査が行われます。実務経験の確認や店舗への実地調査が行われる場合もあります。

6 認定証明書の交付

審査が通ると、在留資格認定証明書が郵送されます。これを外国人本人に送付します。

7 ビザ申請

外国人本人が自国の日本大使館・領事館で認定証明書を提示してビザを申請します。

8 来日・就労開始

ビザとパスポートを持って日本に入国します。空港で在留カードが交付され、就労を開始できます。

よくある質問(Q&A)

技能ビザはどのような職種に交付されますか?
代表的な例としては以下の職種です:

外国料理の調理師:中国人調理師が中華料理店で働く、タイ人調理師がタイ料理店で働くなど

スポーツトレーナー:特定のスポーツ分野での専門的な指導技能を持つトレーナー

ソムリエ:ワインに関する専門的な知識と技能を持つソムリエ

いずれも熟練した技能を必要とする職種が対象です。
「在留資格 技能」を取るのに条件はありますか?
職種に関係なく求められる条件としては、以下の2つがあります:

1. 雇用契約:日本にある会社(個人事業主等も含む)と雇用契約を結んでいること

2. 報酬条件:日本人と同等以上の報酬を受けること

これらは全ての就労ビザに共通する必須条件です。
外国料理の調理師の場合について具体的に教えてください。
中国人調理師が中華料理店で働く場合を例に説明します。

基本的なルール:いくら卓越した調理技術を持つ料理人であっても、中国人調理師が日本料理店で働くために「技能ビザ」が発給されることはありません。料理人の国籍と料理のジャンルが一致していることが絶対条件です。

料理人に求められる基準:
・10年以上の実務経験(タイ人調理師は5年以上)
・調理専門学校の期間も実務経験に含めることができる
・1~2か月足りないだけでも不許可になる可能性が高い

料理店に求められる基準:
・外国料理専門店であること
・外国料理の単品料理、コース料理があること
・20~30席以上の座席があること
実務経験の10年にはどのような期間が含まれますか?
実務経験には以下の期間を含めることができます:

含まれるもの:
・調理師としての実際の勤務期間
・調理の専門学校に在籍していた期間

注意点:
・複数の店舗での経験を合算できますが、期間の重複は認められません
・1か月単位で厳格に審査されるため、9年11か月では不許可になります
・在職証明書で正確に証明する必要があります
在職証明書にはどのような内容を記載する必要がありますか?
在職証明書には以下の事項が明確に記載されている必要があります:

1. 店名(会社名):勤務していた店舗や会社の正式名称
2. 電話番号:入国管理局が確認できる連絡先
3. 住所:店舗や会社の所在地
4. 職種:具体的な職種(例:「中華料理の調理師」と料理のジャンルを明記)
5. 実務経験年数:在籍期間を年月日で明記(例:2010年4月1日~2020年3月31日)

国やケースによっては、在職証明書を本国で公証する必要があります。
タイ人調理師だけ5年以上の実務経験で良いのはなぜですか?
タイ人調理師に関しては、タイ料理に限り5年以上の実務経験で技能ビザの申請が認められています。

これは日本とタイの間の特別な取り決めによるもので、タイ料理の普及と文化交流を促進する目的があります。

ただし、この特例はタイ料理店で働く場合のみ適用され、他の料理(中華料理など)では適用されません。
新規開店の店舗で外国人調理師を雇用できますか?
はい、新規開店の店舗でも外国人調理師を雇用することは可能です。

ただし、以下の点に注意が必要です:

1. 事業計画書の提出:詳細な事業計画書と資金計画の提出が求められます
2. 経営の安定性:事業の継続性や安定性を証明する必要があります
3. 店舗の実態:外国料理専門店としての要件(座席数、メニュー等)を満たすこと
4. 資金証明:開業資金や運転資金の証明が必要になる場合があります

新規開店の場合は、既存店舗よりも審査が厳格になる傾向があります。
実務経験が9年11か月しかない場合、申請はできませんか?
実務経験に関しては1~2か月足りないだけでも不許可になる可能性が高いです。

10年必要なところ、9年11か月では要件を満たしていないため、原則として申請は認められません。

対策:
・10年の実務経験を満たすまで待つ
・調理専門学校の期間があれば、それを含めて10年になるか確認
・実務経験の計算に誤りがないか、在職証明書を再確認

実務経験は厳格に審査されるため、確実に10年以上を満たしてから申請することをおすすめします。

まとめ:技能ビザ取得のポイント

  • 技能ビザは学歴ではなく職歴(実務経験)を基準とする就労ビザ
  • 外国料理の調理師は最も代表的なケースで、10年以上の実務経験が必要(タイ人は5年以上)
  • 料理人の国籍と料理のジャンルが一致していることが絶対条件
  • 実務経験は1か月単位で厳格に審査され、1~2か月不足でも不許可になる
  • 調理専門学校の期間は実務経験に含めることができる
  • 店舗は外国料理専門店の要件(座席数、メニュー等)を満たす必要がある
  • 在職証明書には店名、電話番号、住所、職種、実務経験年数の明記が必須
  • 新規開店の場合は事業計画書の提出が必要
  • 飲食店の多くはカテゴリー3・4に該当し、詳細な書類準備が必要

専門家へのご相談をおすすめします

技能ビザの申請、特に実務経験の証明は非常に重要かつ複雑です。1か月の不足でも不許可になるため、申請前の入念な準備が必要です。

特に新規開店の店舗、実務経験の証明が難しいケース、過去に不許可になったことがあるケースなどは、国際行政書士などの専門家にご相談されることを強くおすすめします。

記事の監修者

Eight Links 行政書士事務所 所長
蜂須賀 昭仁

2016年9月〜
VISA専門行政書士事務所
「Eight Links 行政書士事務所」を開業
専門分野 外国人在留資格申請、帰化許可申請
外国人の在留資格申請を専門分野とし
年間500件以上の相談に対応

講師実績
広島県行政書士会国際業務協議会 担当講師
中華人民共和国遼寧省鉄嶺市(外国人会社設立・経営管理)についての講師

詳しいプロフィールを見る

運営HP
広島外国人ビザ相談センター
https://hiroshima-visa.link/
広島国際結婚&配偶者ビザ申請代行センター
https://eightlinks.link/marriage/
広島永住ビザ申請代行センター

https://hiroshima-visa.link/permanent/
広島外国人雇用&就労ビザ申請代行センター

https://eightlinks.link/work/
広島外国人会社設立&経営管理ビザ申請代行センター

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広島帰化申請代行センター

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