【完全図解】企業内転勤ビザとは?学歴・実務経験不問で取得できる就労ビザの要件・必要書類

この記事で分かること

企業内転勤ビザは、海外の本社・支店から日本へ社員を転勤させる際に必要な就労ビザです。学歴・実務経験不問で、直近1年間の海外勤務実績のみが要件となる特徴的なビザです。

この記事では、企業内転勤ビザの対象となる転勤パターン(親子会社間、関連会社への異動など6パターン)、取得要件、必要書類、申請の流れまで、グローバル企業の人事担当者向けに詳しく解説します。

企業内転勤ビザとは

企業内転勤ビザは、外国にある本店(または支店)から日本の事業所に社員を転勤させる際に必要な就労ビザです。

企業内転勤ビザの最大の特徴

企業内転勤ビザは、他の就労ビザと比べて以下の点で大きく異なります:

  • 学歴不問:大卒である必要はありません
  • 実務経験不問:何年以上の経験という要件がありません
  • 唯一の要件:直近1年間、海外の本店・支店で勤務していること

グローバル企業にとって、最も活用しやすい就労ビザの一つです。

他の就労ビザとの比較

在留資格 学歴要件 実務経験要件 その他の要件
企業内転勤 不問 不問 直近1年間の海外勤務
技術・人文知識・国際業務 大卒または専門卒 高卒の場合3~10年以上 学歴と職種の関連性
技能 不問 10年以上(タイ人調理師は5年以上) 熟練技能の証明

対象となる職種

企業内転勤だからといって、どんな職種でも良いわけではありません。基本的には技術・人文知識・国際業務の範囲内の職種である必要があります。

専門技術的なデスクワーク業務が対象

企業内転勤ビザで認められる職種は、専門技術的なデスクワーク業務に限られます。単純労働や現場作業は対象外です。

対象となる職種の例

💻技術系職種

理系分野の専門職

  • システムエンジニア
  • プログラマー
  • 機械系エンジニア
  • 設計技術者

📊人文知識系職種

文系分野の専門職

  • 経理・財務
  • 総務・人事
  • 貿易業務
  • マーケティング

🌏国際業務系職種

国際的な専門職

  • 翻訳・通訳
  • 海外営業
  • デザイナー
  • 語学教師

対象外となる職種

以下のような職種は、企業内転勤ビザでは認められません:

  • 製造ラインでの単純作業
  • 倉庫での荷物の運搬・仕分け
  • 店舗でのレジ・接客業務(単純作業)
  • 清掃作業
  • 建設現場での作業

専門的・技術的な業務であることが必須条件です。

6つの代表的な転勤パターン

企業内転勤には様々な形態があります。単に親会社から子会社や支店へ転勤するケースだけが該当するわけではありません。代表的な6つのパターンをご紹介します。

1️⃣親会社・子会社間の移動

海外の親会社から日本の子会社への転勤、またはその逆のパターン

例:米国本社 → 日本支社

2️⃣本店・支店・営業所間の移動

同一法人内での海外拠点から日本拠点への転勤

例:シンガポール支店 → 東京本店

3️⃣親会社・孫会社間の移動

親会社から孫会社、または子会社から孫会社への転勤

例:海外親会社 → 日本孫会社

4️⃣子会社間の異動

同じ親会社を持つ海外子会社から日本子会社への転勤

例:中国子会社 → 日本子会社

5️⃣孫会社間の異動

同じグループ内の海外孫会社から日本孫会社への転勤

例:タイ孫会社 → 日本孫会社

6️⃣関連会社への異動

資本関係や業務提携のある関連会社への転勤

例:海外関連会社 → 日本関連会社

転勤パターンの柔軟性

上記のように、企業内転勤ビザは非常に柔軟な転勤パターンに対応しています。グループ企業間での人材交流を促進するために、幅広い企業関係が認められています。

取得要件(学歴・実務経験不問)

企業内転勤ビザの取得要件は非常にシンプルです。他の就労ビザと比べて、要件が大幅に緩和されています。

1 直近1年間の海外勤務実績

唯一の人的要件:日本に転勤する社員が、直近の1年間に外国にある本店や支店で勤務している必要があります。

✓ これが満たされていれば、学歴や実務経験は一切不問です

+
2 日本人と同等以上の給与

日本人社員と同等以上の給与を支払う必要があります。不当に低い給与設定は認められません。

+
3 転勤期間の設定

転勤には期間を定めることが求められます。ただし、更新は可能です。

通常、1年、3年、5年などの期間で申請します

+
4 専門技術的なデスクワーク

転勤後の職務内容が、技術・人文知識・国際業務の範囲内の専門的な業務である必要があります。

学歴・実務経験が不問な理由

企業内での育成・評価を尊重

企業内転勤ビザが学歴・実務経験を問わない理由は、以下の考え方に基づいています:

  • 企業内での評価:すでに海外拠点で1年以上勤務し、企業から評価されている
  • 企業内研修:企業独自の研修や教育を受けており、学歴以上の専門性を持つ
  • グループ内人材交流:グループ企業間での人材育成・交流を促進する

企業が「この社員を日本に転勤させたい」と判断したこと自体が、能力の証明とみなされます。

「直近1年間の海外勤務」の詳細

継続勤務1年間が必要

  • 申請時点から遡って、継続して1年間勤務している必要があります
  • 複数の海外拠点での勤務期間を合算することも可能です
  • 在籍証明書や人事異動の記録で証明します
  • 出向や派遣の形態でも、実際に勤務していれば認められます

企業カテゴリーと必要書類

外国人を雇用する企業は4つのカテゴリーに分類され、カテゴリーによって準備する書類が異なります。

カテゴリー 該当する企業・団体 特徴
カテゴリー1 ・上場企業
・保険業を営む相互会社
・日本または外国の国・地方公共団体
・特殊法人、認可法人
・公益法人
・法人税法別表1に掲げる公共法人
手続き簡略化
必要書類最小
カテゴリー2 前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中、給与所得の源泉徴収合計表の源泉徴収税額が1,500万円以上ある団体・個人 手続き簡略化
必要書類少
カテゴリー3 前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された個人・団体(カテゴリー2を除く) 標準的な書類が必要
カテゴリー4 カテゴリー1~3のいずれにも該当しない団体・個人 最も多くの書類が必要

グローバル企業の多くはカテゴリー1・2

企業内転勤を実施する企業の多くは、上場企業や大手企業であるため、カテゴリー1または2に該当するケースが多く、手続きが簡略化されています。

申請の流れと必要書類

海外にある事業所で働く外国人を日本の事業所に転勤させる場合は、「在留資格認定証明書交付申請」が必要です。

カテゴリー1・2の必要書類

📄カテゴリー別提出書類

【カテゴリー1】

  • 四季報の写し
  • 上場していることを証明する文書
  • 設立許可書

【カテゴリー2】

  • 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)
在留資格認定証明書交付申請書
返信用封筒(定型封筒に宛先を明記し、404円分の切手を貼付)
申請人の顔写真(縦4cm×横3cm)
専門士または高度専門士を持っている場合は、それを証する文書

カテゴリー3・4の必要書類

📄カテゴリー別提出書類

【カテゴリー3】

  • 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)

【カテゴリー4】下記のいずれかの資料

  • ① 外国法人の源泉徴収に対する免除証明書
  • ② 給与支払事務所等の開設届出書の写し
  • ③ 直近3か月分の給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書
  • ④ 納期の特例を受けている場合は、その承認を受けていることを明らかにする資料
在留資格認定証明書交付申請書
返信用封筒(定型封筒に宛先を明記し、404円分の切手を貼付)
申請人の顔写真(縦4cm×横3cm)
専門士または高度専門士の称号を持っている場合は、それを証明する文書
【同一法人内の転勤の場合】転勤命令書の写し等
【別法人に転勤する場合】労働条件明示書等
【役員等の場合】役員報酬を定める定款の写し等
当該企業の登記簿謄本
雇用企業のHPをプリントアウトしたもの(パンフレット等も含む)
直近の決算文書の写し(新規事業の場合は事業計画書)

転勤形態別の追加書類

📋同一法人内の転勤

本店・支店・営業所間の移動の場合

  • 転勤命令書の写し
  • 人事異動通知書

📋別法人への転勤

親子会社間、関連会社への異動の場合

  • 労働条件明示書
  • 雇用契約書
  • 出向契約書(出向の場合)

📋役員としての転勤

取締役などの役員として転勤する場合

  • 役員報酬を定める定款の写し
  • 株主総会議事録
  • 取締役会議事録

在留資格認定証明書交付申請の流れ

1 転勤の決定

海外拠点の社員を日本に転勤させることを決定します。転勤期間、職務内容、給与などを確定します。

2 海外勤務実績の確認

対象社員が直近1年間、海外の本店・支店で勤務していることを確認します。在籍証明書や人事記録を準備します。

3 転勤命令書等の作成

同一法人内の転勤の場合は転勤命令書、別法人への転勤の場合は労働条件明示書や雇用契約書を作成します。

4 必要書類の準備

企業のカテゴリーを確認し、該当する書類一式を準備します。

5 入国管理局へ申請

日本の受入企業の所在地を管轄する入国管理局に在留資格認定証明書交付申請を行います。

6 審査期間(1~3ヶ月)

入国管理局で審査が行われます。企業間の関係性や職務内容が確認されます。

7 認定証明書の交付

審査が通ると、在留資格認定証明書が郵送されます。これを海外の社員に送付します。

8 ビザ申請

社員が現地の日本大使館・領事館で認定証明書を提示してビザを申請します。

9 来日・業務開始

ビザとパスポートを持って日本に入国します。空港で在留カードが交付され、日本での業務を開始できます。

よくある質問(Q&A)

外国人が日本に転勤する場合にも「在留資格」が必要になるのですか?
その通りです。企業内転勤の際にも「在留資格」が必要になります。

海外から日本へ転勤する外国人社員は、「企業内転勤」という在留資格を取得する必要があります。単に社内の人事異動だからといって、在留資格なしで日本に来ることはできません。
企業内転勤であればどのような職種でも「在留資格」は交付されるのですか?
いいえ。企業内転勤であれば、どんな職種でもいいわけではなく、基本的には専門技術的なデスクワークの職種である必要があります。

技術・人文知識・国際業務の範囲内の職種(エンジニア、経理、総務、翻訳など)に限られます。製造ラインでの単純作業や倉庫作業などは対象外です。
企業内転勤にはいろいろな形があると思いますが、典型的なパターンを教えてください。
典型的なパターンとしては6つあります:

1つ目:親会社・子会社間の移動
2つ目:本店・支店・営業所間の移動
3つ目:親会社・孫会社間の移動、または子会社から孫会社への移動
4つ目:子会社間の異動
5つ目:孫会社間の異動
6つ目:関連会社への異動

グループ企業間での様々な形態の転勤が認められています。
「在留資格 企業内転勤」を取得するのに条件はありますか?
あります。主な条件は以下の通りです:

人的要件:日本に転勤する社員が、直近の1年間に外国にある本店や支店で勤務している必要があります。

給与条件:日本人と同等以上の給与を支払うこと。

転勤期間:転勤には期間を定めることが求められますが、更新は可能です。

職種:専門技術的なデスクワークの職種であること。
学歴や実務経験に条件はありますか?
学歴や実務経験には特に条件はありません。

これが企業内転勤ビザの最大の特徴です。大卒である必要もなく、何年以上の実務経験という要件もありません。

唯一の人的要件は、「直近1年間、海外の本店・支店で勤務していること」のみです。企業がすでに評価している社員であることが、能力の証明とみなされます。
転勤期間に制限はありますか?延長できますか?
転勤には期間を定めることが求められますが、更新は可能です。

通常、1年、3年、5年などの期間で申請します。在留期間が満了する前に更新申請を行うことで、継続して日本で勤務することができます。

更新回数に制限はありませんので、企業の必要に応じて長期間の勤務も可能です。
海外での勤務期間が1年未満の社員を転勤させることはできませんか?
原則として、直近1年間の海外勤務実績が必要です。

1年未満の場合、企業内転勤ビザでの転勤は認められません。この場合は、以下の選択肢があります:

1. 1年間勤務するまで待つ:海外で1年間勤務した後に転勤
2. 技術・人文知識・国際業務ビザで申請:学歴要件を満たす場合は、こちらのビザで申請可能

企業の状況に応じて、最適な方法を選択する必要があります。
同一法人内の転勤と別法人への転勤で、必要書類は変わりますか?
はい、必要書類が異なります:

【同一法人内の転勤】(本店・支店・営業所間)
・転勤命令書の写し
・人事異動通知書

【別法人への転勤】(親子会社間、関連会社)
・労働条件明示書
・雇用契約書
・出向契約書(出向の場合)

別法人への転勤の場合は、新たな雇用関係を証明する書類が必要になります。
役員として転勤する場合、必要書類は変わりますか?
はい、役員の場合は追加の書類が必要です:

【役員等の場合】
・役員報酬を定める定款の写し
・株主総会議事録(役員選任を証明)
・取締役会議事録(該当する場合)

役員としての地位と報酬を証明する書類が必要になります。ただし、企業内転勤ビザの基本要件(直近1年間の海外勤務)は同じです。

まとめ:企業内転勤ビザ取得のポイント

  • 企業内転勤ビザは学歴・実務経験不問の就労ビザ
  • 唯一の人的要件は直近1年間の海外勤務実績のみ
  • 対象職種は技術・人文知識・国際業務の範囲内(専門技術的なデスクワーク)
  • 6つの代表的な転勤パターン(親子会社間、本支店間、関連会社など)に対応
  • 転勤には期間を定める必要があるが、更新は可能
  • 日本人と同等以上の給与が必要
  • 同一法人内と別法人への転勤で必要書類が異なる
  • グローバル企業の多くはカテゴリー1・2に該当し、手続きが簡略化される

専門家へのご相談をおすすめします

企業内転勤ビザは要件が明確でシンプルですが、企業間の関係性の証明や転勤形態に応じた書類準備など、実務上の注意点があります。

特に初めて企業内転勤を実施する企業、グループ企業間の関係が複雑なケース、役員としての転勤などは、国際行政書士などの専門家にご相談されることをおすすめします。

記事の監修者

Eight Links 行政書士事務所 所長
蜂須賀 昭仁

2016年9月〜
VISA専門行政書士事務所
「Eight Links 行政書士事務所」を開業
専門分野 外国人在留資格申請、帰化許可申請
外国人の在留資格申請を専門分野とし
年間500件以上の相談に対応

講師実績
広島県行政書士会国際業務協議会 担当講師
中華人民共和国遼寧省鉄嶺市(外国人会社設立・経営管理)についての講師

詳しいプロフィールを見る

運営HP
広島外国人ビザ相談センター
https://hiroshima-visa.link/
広島国際結婚&配偶者ビザ申請代行センター
https://eightlinks.link/marriage/
広島永住ビザ申請代行センター

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広島外国人雇用&就労ビザ申請代行センター

https://eightlinks.link/work/
広島外国人会社設立&経営管理ビザ申請代行センター

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