日本に帰化する前に知っておきたいデメリットと注意点

日本での生活が長くなると、「そろそろ帰化を考えようかな」と思う外国人の方も増えています。日本国籍を取得すれば、選挙への参加や社会保障の拡充など、数多くのメリットがあります。しかし同時に、「失うもの」「気をつけるべき点」も存在します。
特に広島県のように外国人住民が年々増えている地域では、帰化後の生活変化に戸惑うケースも少なくありません。この記事では、帰化を検討している方が知っておくべき主なデメリットと注意点を、制度面・実務面の両方から整理します。
焦らず冷静に判断するために、事前に知っておくことが大切です。

母国の国籍を失い、再取得が難しくなる可能性

日本では原則として二重国籍が認められていません。そのため、帰化により母国の国籍を放棄する必要があり、将来的に再取得できない可能性があります。

帰化とは、外国人が日本国籍を新たに取得する代わりに、もとの国籍を失う手続きです。これは国籍法第5条1項が定める条件のひとつであり、「他国の国籍を保持したまま日本国籍を得ることはできない」という原則に基づいています。

つまり、帰化の最大のデメリットは「母国籍を失うこと」です。帰化後に「やはり祖国に戻りたい」「母国籍を取り戻したい」と思っても、再取得を認めない国が多く、非常に困難になります。とくに安全保障上の理由から、帰化者の再取得を疑念の目で見る国も存在します。

一方、日本は比較的柔軟な国とされており、日本人が一度外国籍を取得しても、日本に住所を有すれば簡易帰化によって再取得できる場合があります(国籍法第8条1項3号)。しかし、これはあくまで日本の話であり、他国では同様の制度が整っていないケースが大半です。

母国の国籍を手放すことは、家族関係や資産、社会的つながりに影響を及ぼす場合もあります。たとえば、母国に不動産を所有していたり、親族が介護支援を受けていたりする場合、権利関係が複雑になる可能性があります。

広島県でも、留学生や技能実習を経て永住・帰化を希望する方が増えていますが、「帰化後に母国へ帰省できないかもしれない」という精神的負担を感じる方も多いです。国籍を変えることは、単なる手続きではなく「人生の軸をどこに置くか」という決断でもあるのです。

母国への渡航にビザが必要になることがある

日本国籍を取得すると、母国への入国は「外国人としての手続き」が必要になります。国によっては、かつての母国に入る際にビザ(査証)が求められる場合もあります。

帰化によって日本人になった場合、母国はもはや「自分の国」ではなくなります。そのため、母国に家族がいても、帰省時には入国ビザを申請しなければならないケースがあります。

たとえば、フィリピンや中国、ベトナムなどは短期滞在であればビザ免除となる国もありますが、就労・長期滞在となると別途のビザ申請が必要です。逆に、日本パスポートを持っていても、アフリカ諸国や中東の一部の国では依然としてビザが求められます。

地域ビザが必要な主な国(2024年時点)
アジアアフガニスタン、パキスタン、ブータン
中東サウジアラビア、イラン、イラク、シリア
アフリカナイジェリア、ガーナ、リビア、スーダン など

(出典:Henley Passport Index 2024)

また、ビザが不要な国であっても滞在可能日数は国によって異なります。最長90日の国もあれば、15日で出国を求められる場合もあります。母国への帰省や親族訪問を頻繁に予定している方は、この点を慎重に確認しましょう。

広島県では、県外出身の外国人が里帰りや国際交流で一時帰国するケースも多く見られます。帰化前に「母国との往来をどのように続けたいか」を整理し、必要に応じて行政書士に相談しておくと安心です。

帰化の手続きは複雑で時間がかかる

帰化を進める上で最も多く聞かれる悩みが、「手続きの複雑さ」と「時間の長さ」です。申請準備から許可まで1年以上かかることも珍しくありません。

帰化申請には、20種類を超える書類が必要です。出生証明書や家族関係証明書を母国から取り寄せるほか、日本国内では住民票・納税証明書・勤務証明書など、多岐にわたる書類を整える必要があります。

また、申請先は法務局であり、広島県の場合は「広島法務局」が窓口となります。申請者本人が複数回出頭する必要があり、平日昼間の対応が中心です。そのため、仕事や家事の都合でスケジュール調整が難しい方も多く、手続き負担をデメリットと感じるケースが少なくありません。

項目内容
書類の数20種類以上(母国・日本双方から取り寄せ)
手続き期間平均12〜18か月(審査期間含む)
費用無料(ただし書類翻訳・証明発行に実費発生)
対応窓口広島法務局民事行政部 国籍課(平日9:00〜17:00)

煩雑な書類収集・翻訳・整理を自分だけで行うのは負担が大きく、記載ミスや提出漏れが原因で再申請になることもあります。こうしたリスクを防ぐため、多くの方が行政書士に依頼しています。

広島県では、外国人雇用を支援する企業や国際交流団体を通じて、行政書士による無料相談会が開催されることもあります。スムーズに進めたい方は、こうした地域サポートを上手に活用しましょう。

まとめ

帰化は「日本人として生きる」ための大きなステップですが、その裏にはいくつかの注意点もあります。
主なデメリットは、①母国籍の喪失と再取得の難しさ、②母国への入国時にビザが必要になる場合があること、③手続きの複雑さと長期化の3点です。これらを理解したうえで、「自分にとって帰化が最善の選択か」を冷静に判断することが大切です。

広島県では、在留外国人の増加に伴い、法務局・行政書士・自治体が連携した帰化相談体制が整いつつあります。特に申請準備や書類翻訳、面接対策などは、専門家のサポートを受けることでスムーズに進められます。

もし「帰化に興味はあるが、不安が残る」「自分の場合どうなるのか知りたい」と感じたら、ぜひ一度、当事務所(広島帰化申請サポートセンター)へご相談ください。経験豊富な行政書士が、あなたの国籍・在留履歴・家族状況に合わせた最適な方法をアドバイスいたします。

記事の監修者

Eight Links 行政書士事務所 所長
蜂須賀 昭仁

2016年9月〜
VISA専門行政書士事務所
「Eight Links 行政書士事務所」を開業
専門分野 外国人在留資格申請、帰化許可申請
外国人の在留資格申請を専門分野とし
年間500件以上の相談に対応

講師実績
広島県行政書士会国際業務協議会 担当講師
中華人民共和国遼寧省鉄嶺市(外国人会社設立・経営管理)についての講師

詳しいプロフィールを見る

運営HP
広島外国人ビザ相談センター
https://hiroshima-visa.link/
広島国際結婚&配偶者ビザ申請代行センター
https://eightlinks.link/marriage/
広島永住ビザ申請代行センター

https://hiroshima-visa.link/permanent/
広島外国人雇用&就労ビザ申請代行センター

https://eightlinks.link/work/
広島外国人会社設立&経営管理ビザ申請代行センター

https://hiroshima-visa.link/businessmanagement/
広島帰化申請代行センター

https://hiroshima-visa.link/naturalization/

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蜂須賀 昭仁

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外国人の在留資格申請を専門分野とし年間500件以上の相談に対応

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