事業経営者が帰化する際の「事業の概要書」とは?書き方と提出のコツ

日本で事業を営む外国人が帰化申請を行う場合、「事業の概要書」の提出が必要になります。これは、会社経営者や個人事業主がどのように事業を運営し、安定した生計を維持しているかを法務局に示すための重要書類です。
書き方を誤ると、審査が長引いたり、追加書類を求められたりすることもあるため、正確な理解が欠かせません。特に広島県内では製造業や飲食業など、外国人が自ら事業を経営するケースが増えており、実情に即した説明が求められます。
本記事では、事業概要書の基本構成から書き方、提出時の注意点までを、広島法務局への申請を想定して詳しく解説します。
事業の概要書とは?経営者が帰化時に求められる理由
事業の概要書は、経営状況や会社の実態を示すための重要資料です。なぜ帰化申請で必要になるのか、その背景を理解しておきましょう。
「事業の概要書」とは、申請者が営む事業の内容・経営状況を法務局に説明するための書類です。法人経営者や個人事業主、フリーランスとして活動している外国人が対象となります。
帰化申請では、「安定した生計を維持できるか」が審査の大きなポイントです。そのため、事業の実績・売上・雇用状況などを記載し、経済的基盤を明確に示すことが求められます。
たとえば、会社の代表取締役や役員クラスの外国人は、法人ごとに事業概要書を作成する必要があります。複数の会社を運営している場合は、それぞれの法人単位で作成します。また、役員報酬を受け取っていない名義上の役員でも、登記上の責任がある限り提出が必要です。
一方、雇用契約で給与を受け取る従業員やパート・アルバイトとして働いている場合は、事業概要書の提出は不要です。
法人の経営者は定款に基づいた直近の決算期、個人事業主は前年度分(1月〜12月)を対象に作成します。書類は和暦(令和・平成・昭和)で記入する点にも注意が必要です。
法人経営者と個人事業主の違い
事業概要書の内容は、法人経営者と個人事業主で異なります。それぞれの立場に応じた書き方を確認しましょう。
まず、法人経営者が作成する場合に必要な資料は以下の通りです。
| 種類 | 必要書類 | 内容 |
|---|---|---|
| 法人情報 | 法人登記事項証明書 | 商号・所在地・設立日などを記載 |
| 経営情報 | 損益計算書・貸借対照表 | 売上・経費・利益の把握 |
| 許認可証 | 業種による(建設業、古物商など) | 許認可の有無を確認 |
個人事業主の場合は、会社登記がないため「確定申告書」と「開業届控え」を基に作成します。
屋号がある場合は記載し、ない場合は本人氏名を記載します。
所在地欄には、法人は登記簿上の本店住所、個人事業主は確定申告書記載の事業所または自宅住所を記入します。開業年月日は登記または開業届に基づきます。
また、事業目的の欄には、法人なら定款に記載の主要事業を3つ程度抜粋し、個人事業主なら実際の業務内容を簡潔に書きます。たとえば「飲食業(カフェ経営)」「建設業(内装仕上げ工事)」など、具体的に表現するのがポイントです。
広島県では、製造・建設・運送・観光など地域産業に関係する事業を営む外国人経営者も多く、地域の経済活動との関連性を記載しておくと印象が良いとされています。
事業概要書の具体的な書き方
実際に事業概要書を記入する際は、各項目を正確に記載することが大切です。よくある誤りを避けながら、実務的な書き方を押さえましょう。
事業概要書に含まれる主な項目は以下の通りです。
| 項目 | 記載内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 商号(屋号) | 法人名または屋号 | 省略・略称は不可 |
| 所在地 | 本店または事務所の住所 | 登記簿と一致させる |
| 開業年月日 | 登記日または開業届の日付 | 和暦で記入 |
| 事業目的 | 定款や開業届に基づく | 実態に沿った内容を記載 |
| 許認可情報 | 許認可日・番号 | 必要な業種のみ |
| 営業資本 | 資本金額(個人は0円) | 損益計算書と一致させる |
| 従業員数 | パート・アルバイト含む人数 | 経営者は除外 |
さらに、損益計算書の売上・費用・純利益などを転記します。1万円未満は切り捨てで構いません。
また、借入金がある場合は以下のように記載します。
| 項目 | 内容例 |
|---|---|
| 借入年月日 | 令和4年5月 |
| 借入先 | 広島信用金庫 本店営業部 |
| 借入金額 | 5,000,000円 |
| 残高 | 2,500,000円 |
| 返済方法 | 毎月10万円ずつ返済 |
| 返済状況 | 遅滞なく返済中 |
最後に、主要取引先(3社程度)を記載します。
例:株式会社〇〇(広島市中区/年間取引額300万円/仕入・納品業務など)
備考欄には、取引銀行(例:広島銀行 本店営業部)を記載しておくとよいでしょう。
提出時の注意点と広島県での申請ポイント
書類が完成しても、提出の方法やタイミングを誤ると審査に影響することがあります。広島県での提出手順を確認しましょう。
事業概要書は、帰化申請書一式とともに広島法務局 国籍課(広島市中区上八丁堀6-30)に提出します。
提出前には、以下の点を確認してください。
- 和暦表記になっているか
- 金額や日付が他書類と一致しているか
- 取引先・従業員数など最新の情報か
- 翻訳文が必要な箇所は専門家がチェックしているか
法務局職員は、事業が安定的に継続できるかを判断するため、損益の推移や借入金の返済状況を特に注視します。書類だけでなく、面談で事業内容を説明できるよう準備しておきましょう。
広島県では、外国人経営者の増加に伴い、帰化に関する相談が年々増えています。特に製造業・飲食業・サービス業など地域密着型の事業者は、地域経済への貢献をアピールすることが信頼性の向上につながります。
必要に応じて、行政書士や税理士と連携して書類を整えることが重要です。専門家は財務諸表や税務関係の整合性チェックも行ってくれます。
まとめ
帰化申請における「事業の概要書」は、経営者や個人事業主の信頼性を示す重要書類です。
単なる数字の羅列ではなく、日本で事業を継続し、安定した生活を送っていることを具体的に証明する資料として扱われます。
特に広島県では、外国人経営者が地域経済に貢献している事例も多く、法務局も実態重視の審査を行っています。
書類の正確性・整合性・最新性を維持し、誤字脱字や金額の食い違いがないよう注意しましょう。
申請準備に不安がある方は、帰化申請を専門とする行政書士に相談するのが最も確実です。
経営者としての実績を正しく伝えるためにも、プロのサポートを活用し、安心して日本国籍取得への第一歩を踏み出しましょう。
記事の監修者

Eight Links 行政書士事務所 所長
蜂須賀 昭仁
2016年9月〜
VISA専門行政書士事務所
「Eight Links 行政書士事務所」を開業
専門分野 外国人在留資格申請、帰化許可申請
外国人の在留資格申請を専門分野とし
年間500件以上の相談に対応
講師実績
広島県行政書士会国際業務協議会 担当講師
中華人民共和国遼寧省鉄嶺市(外国人会社設立・経営管理)についての講師
運営HP
広島外国人ビザ相談センター
https://hiroshima-visa.link/
広島国際結婚&配偶者ビザ申請代行センター
https://eightlinks.link/marriage/
広島永住ビザ申請代行センター
https://hiroshima-visa.link/permanent/
広島外国人雇用&就労ビザ申請代行センター
https://eightlinks.link/work/
広島外国人会社設立&経営管理ビザ申請代行センター
https://hiroshima-visa.link/businessmanagement/
広島帰化申請代行センター
https://hiroshima-visa.link/naturalization/
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Eight Links 行政書士事務所 所長
蜂須賀 昭仁
2016年9月〜
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専門分野 外国人在留資格申請、帰化許可申請
外国人の在留資格申請を専門分野とし年間500件以上の相談に対応
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中華人民共和国遼寧省鉄嶺市(外国人会社設立・経営管理)についての講師
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