外国人を採用する前に確認すること|在留資格・COE申請・不法就労リスクを解説

「外国人を採用したいが、どんなビザ(在留資格)なら雇えるのか分からない」「海外から呼び寄せる手続きが複雑で困っている」――そうした雇用主・人事担当者の疑問に、このページ1枚でお答えします。

外国人の雇用には就労制限の有無・ビザの種類・手続きの流れ・罰則リスクなど、知っておくべきポイントが複数あります。順を追って確認していきましょう。

📌 この記事でわかること
  • 就労制限がない4つの在留資格と、その確認方法
  • 海外から外国人を呼び寄せる際の手続き(COE申請)の流れ
  • 短期滞在ビザから就労ビザへ変更できるか否かの実務判断
  • マッサージ師・美容師など「技能ビザ適用外」業種の対処法
  • 技能実習制度の基礎と受け入れ時の注意点
  • 不法就労助長罪の罰則と、雇用主が取るべきリスク管理

外国人の「単純労働」は原則禁止――就労制限のない4つの在留資格

現行の入管法(出入国管理及び難民認定法)のもとでは、外国人が日本で就労できる職種・業務内容は在留資格ごとに定められており、いわゆる「単純労働」を外国人に行わせることは原則として認められていません。

ただし、次の4つの在留資格は就労活動に制限がなく、製造ラインや小売販売員など業種を問わず働くことができます。

💍
日本人の配偶者等
日本人の配偶者・特別養子・日本人の子として出生した者
🏠
永住者
法務大臣が永住を許可した者。就労・活動ともに制限なし
👪
永住者の配偶者等
永住者の配偶者・永住者の子として日本で出生した者
🌏
定住者
法務大臣が告示または個別許可で定住を認めた者(日系人等)
ℹ️ 雇用主が確認すべきこと

工場・倉庫の作業員や小売店の販売員として外国人を採用する場合は、在留カードの在留資格欄が上記4種のいずれかであることを必ず確認してください。在留カードの提示を求め、コピーを保管しておくことが実務上のリスク管理の基本です。それ以外の在留資格(例:留学、家族滞在)では、原則として就労できません(資格外活動許可がある場合を除く)。

主な在留資格と就労可否の早見表

在留資格 単純労働 就労制限 備考
日本人の配偶者等 ◎ なし 業種・職種問わず可
永住者 ◎ なし 業種・職種問わず可
永住者の配偶者等 ◎ なし 業種・職種問わず可
定住者 ◎ なし 業種・職種問わず可
技術・人文知識・国際業務 ✕ あり 専門性のある業務に限定
特定技能(1号・2号) △ あり 指定業種・業務に限定
留学 ✕ あり 資格外活動許可で週28時間以内のみ
家族滞在 ✕ あり 資格外活動許可で週28時間以内のみ
技能実習 ✕ あり 認定計画の業務のみ。詳細は第5章参照

※上記は一般的な整理です。個別のケースや最新の運用については、出入国在留管理庁または専門家にご確認ください。

海外から外国人を呼び寄せる手続き(在留資格認定証明書交付申請)

海外在住の外国人を採用する場合、最も多いのが技術・人文知識・国際業務ビザ(技人国)の申請です。手続きの正式名称は「在留資格認定証明書交付申請(COE申請)」といい、地方出入国在留管理局(入管)に対して行います。

採用選考時に確認すべき書類

内定を出す前に、学歴と募集職種の適合性を判断することが不許可リスクを下げる最大のポイントです。履歴書だけでなく以下の書類も面接時に提出を求めましょう。

📄 卒業証明書・成績証明書(原本または公証済みのもの)
📄 日本語能力証明書(日本語能力試験JLPT、BJTビジネス日本語能力テスト等)――日本語が必要な職場の場合
📄 英語力証明書(TOEIC、英検等)――職場内が英語で業務を行う場合
📄 職歴・資格証明書(実務経験で申請する場合は特に重要)
ℹ️ 「英語しか話せない外国人」を雇う場合

採用する外国人が日本語を話せなくても、職場内で英語でコミュニケーションが完結できる環境であれば問題ありません。ただし、その場合は入管から「職場に英語話者の同僚・上司が存在すること」のエビデンス(組織図・雇用証明・社内英語研修の記録など)を求められるケースがあります。事前に準備しておきましょう。

手続きの2パターン(フロー図)

海外在住の外国人の採用が決まったら、以下いずれかのパターンで手続きを進めます。

1
在留資格認定証明書交付申請(COE申請)

雇用主(または行政書士)が地方入管に申請。審査期間は概ね1〜3か月程度(時期により変動)。

↓
2
在留資格認定証明書(COE)の取得・郵送

地方出入国在留管理局から交付されます。海外の外国人本人へEMS等で郵送してください。
⚠️ COEの有効期間は発行日から3か月です。この期間内に来日(入国審査の完了)まで済ませる必要があります。期限を過ぎると失効し、延長はできず再申請が必要になります。来日スケジュールは必ず逆算して組んでください。

↓
3
現地日本大使館でビザ(査証)取得

外国人本人がCOEを持参し、日本大使館・領事館でビザを申請します。

↓
4
来日・在留カード取得

入国審査ゲートで在留カードが交付される場合と、後日郵送の場合があります(到着空港により異なります)。

⚠️ 例外 パターン②:短期滞在中に申請(現在は受付停止)
1
短期滞在での来日中にCOE申請・取得
↓
2
短期滞在中に在留資格変更許可申請
↓
3
そのまま在留カード取得
🚨 重要:2020年5月以降、技術・人文知識・国際業務等の活動系ビザでは、このパターン②の申請(短期滞在中の在留資格変更)は受け付けられていません(広島出入国在留管理局の場合)。原則としてパターン①で手続きを進めてください。どうしても短期滞在中に申請を行う場合は、許可が出なければ帰国が必要となり、滞在延長は認められません。短期滞在の在留期限を超えるとオーバーステイ(不法滞在)となりますのでご注意ください。

短期滞在ビザから就労ビザへの変更は原則NG

「観光やビジネス目的で日本に来ている外国人を、そのまま採用して就労ビザに切り替えられないか」というご相談をよくいただきます。結論としては、短期滞在ビザから就労ビザ(例:技術・人文知識・国際業務)への在留資格変更は、原則として認められていません。

短期滞在ビザ
→
直接変更
就労ビザ
(技人国等)
❌ 原則不可

唯一考えられる手順は、短期滞在中に「在留資格認定証明書交付申請(COE申請)」を行い、COEが在留期限内に交付された場合に帰国してビザ申請を行うという流れです。ただし、COEの審査中に短期滞在の在留期限が到来すれば帰国しなければならず、確実性が低い方法です。あくまで「こういう手順も理論上は存在する」という理解に留め、基本はパターン①(本国でのビザ申請→来日)を選択するほうが安全です。

🚨 オーバーステイに絶対注意
短期滞在の在留期限を1日でも超えると不法滞在(オーバーステイ)となります。退去強制の対象となるほか、一定期間の上陸禁止処分が課されます。雇用主側も不法就労助長罪に問われるリスクがありますのでご注意ください。

マッサージ師・美容師は技能ビザの適用外――では、どうする?

「外国人のマッサージ師(按摩師)や理容師・美容師を雇いたいが、就労ビザは取れますか?」というご相談は当事務所でも頻繁にいただきます。残念ながら、マッサージ師・理容師・美容師については、これらの業務に特化した就労ビザ(在留資格)が存在しないため、就労ビザを使って従事することができません。

当該外国人が本国で国家資格を持っていたとしても、それだけで日本の就労ビザを取得できるわけではありません。日本の在留資格制度上、これらの職種は技能ビザ(調理師や伝統工芸等を対象)にも含まれていないからです。

では、どうすればいい?

上記職種で外国人を採用したい場合は、以下のいずれかの在留資格を持つ外国人を雇用する必要があります。

✅ 就労制限なし(優先確認)
  • 日本人の配偶者等
  • 永住者
  • 永住者の配偶者等
  • 定住者

業種・職種問わず雇用可能。在留カードで確認を。

⚠️ 時間制限あり(要注意)
  • 留学ビザ+資格外活動許可
  • 家族滞在ビザ+資格外活動許可

週28時間以内の就労に限られます。フルタイム勤務は不可。超過は不法就労となるためシフト管理を厳密に。

ℹ️ 「資格外活動許可」とは

本来の在留資格の活動範囲外で就労することを、入管が個別に許可するものです。留学生・家族滞在者が代表例で、許可を受けた場合でも原則として週28時間(大学等の長期休業期間は週40時間)を超えることはできません。雇用主は在留カードの裏面に資格外活動許可のスタンプまたはシールがあることを確認してください。

技能実習制度の基礎知識と受け入れ時の注意点

工場や農業・建設現場などで「技能実習」の在留資格を持つ外国人が働いているのを目にする機会は多いでしょう。技能実習制度は、発展途上国への技術移転を目的として創設されたものであり、法律上の位置づけは「労働力の需給調整手段」ではありません。

技能実習制度の基本構造

🏛️
外国人技能実習機構(OTIT)
技能実習計画の認定・監督。不正行為を確認した場合は受け入れ停止等の処分を行う
↕
🏢
監理団体(組合等)
実習先企業の監理・指導・支援を行う。送り出し機関との窓口にもなる
↕
🏭
実習実施者(受け入れ企業)
技能実習計画に基づいて実習を行わせる。認定計画以外の業務に従事させることは禁止
↕
👷
技能実習生
法律上は「産業留学生」的な位置づけ。賃金は支払われるが、単純労働力の提供が主目的ではない
🚨 実習計画外の業務に従事させると受け入れ停止処分になることがある
外国人技能実習機構に認定された技能実習計画と異なる職務に実習生を従事させた場合、技能実習生の受け入れ停止等の強力な行政処分が科される場合があります。「人手が足りないから」という理由であっても、計画外の業務は厳禁です。
ℹ️ 育成就労制度への移行(2027年4月予定)

技能実習制度は廃止され、2027年4月を目途に「育成就労制度」へ移行する予定です(2024年改正入管法)。育成就労制度では人材確保と育成を正面から目的に掲げ、一定条件のもとで転籍の自由も認められます。受け入れ企業は制度移行に向けた準備を早めに進めておくことが重要です。最新情報は出入国在留管理庁でご確認ください。

不法就労助長罪とは――違反した場合のペナルティ

就労資格のない外国人を雇用したり、許可された範囲を超えて就労させたりすると、雇用主は「不法就労助長罪」に問われる可能性があります。入管法第73条の2第2項は「外国人が不法就労者であることを知らなかった場合でも、過失(確認不足など)があれば処罰の対象となる」と規定しており、「知らなかった」という弁解が通じないケースが多くあります。採用時に在留カードを確認しなかった場合は過失と判断されるリスクがあるため、必ず確認・記録を徹底してください。

⚖️ 不法就労助長罪の罰則(入管法第73条の2)
🔒
3年以下の懲役
または
💴
300万円以下の罰金
※
🏢
法人両罰規定あり
(法人にも罰金刑)

※雇用主個人だけでなく、法人(会社)に対しても罰金刑が科される場合があります。

🚨 技能実習・特定技能の受け入れ企業への追加処分
技能実習生や特定技能外国人を雇用している企業が違反を行った場合は、不法就労助長罪による刑事罰に加えて、技能実習生・特定技能外国人の受け入れ停止処分が課される場合があります。マスコミに報じられれば企業イメージへの打撃も計り知れません。在留資格の確認・管理を徹底してください。

雇用主が実施すべきリスク管理チェックリスト

📋 採用時に在留カード(原本)を確認し、コピーを保管する
📋 在留資格の種類と在留期限を確認する(期限切れに注意)
📋 就労可能な在留資格かどうかを確認する(就労不可の場合は資格外活動許可の有無も確認)
📋 資格外活動許可がある場合は週28時間の上限を守ってシフトを組む
📋 在留期限更新時には新しい在留カードのコピーを取り直す
📋 在留カード番号を在留カード番号失効情報照会サービスで確認する(偽造カード対策)

よくある質問(FAQ)

Q. 在留カードに「就労不可」と書いてある外国人を雇えますか?
原則として雇用できません。「就労不可」と記載のある在留資格(短期滞在など)を持つ外国人を就労させると、雇用主は不法就労助長罪に問われる可能性があります。ただし、資格外活動許可を別途取得している場合は、その許可範囲内(原則週28時間以内)で就労できます。在留カードの裏面も必ず確認してください。
Q. 海外から採用した外国人が来日するまでにかかる期間の目安は?
在留資格認定証明書(COE)の審査期間は概ね1〜3か月程度ですが、申請書類の不備や審査混雑時はさらに時間がかかる場合があります。COE取得後に本国でのビザ申請・来日の準備期間も必要なため、採用決定から来日まで3〜5か月程度を見込んでおくことを推奨します。入社日が決まっている場合は早めに申請を開始してください。
Q. 技能ビザ(在留資格「技能」)でマッサージ師を雇えますか?
雇えません。技能ビザ(在留資格「技能」)は、ひと口料理(中華料理・インド料理等の外国料理)や伝統工芸、外国建築等、特定の熟練技能を持つ者を対象とした在留資格であり、マッサージ師・理容師・美容師は対象外です。これらの業種で外国人を雇用する場合は、就労制限のない4つの在留資格(日本人配偶者等・永住者・永住者配偶者等・定住者)を持つ方、または資格外活動許可を持つ留学生・家族滞在者(週28時間以内)を採用してください。
詳しくは就労ビザのサポートページもご参照ください。
Q. 技能実習生に計画外の作業をさせても大丈夫ですか?
大丈夫ではありません。外国人技能実習機構に認定された技能実習計画に定められた業務以外の作業に実習生を従事させることは禁止されており、発覚した場合は受け入れ停止等の行政処分が科される場合があります。「忙しいから手伝ってもらった」という場合でも違反となり得ます。疑問がある場合は監理団体に必ず確認してください。
Q. 不法就労助長罪の罰金は500万円ではないのですか?
現行の入管法第73条の2では、不法就労助長罪の罰金刑の上限は300万円以下と規定されています(個人の場合)。法人には法人両罰規定があり、別途罰金が科される場合があります。なお、法改正の可能性もありますので、最新の法令は出入国在留管理庁または法務省のウェブサイトでご確認ください。
Q. 外国人を雇用した場合、ハローワークへの届出は必要ですか?
必要です。外国人を雇い入れた場合(および離職した場合)は、雇用保険被保険者資格取得届(または喪失届)に在留資格・在留期限・国籍等を記載し、ハローワークへ届け出る義務があります(雇用対策法)。この届出を怠ると罰則(30万円以下の罰金)の対象となりますのでご注意ください。不明な点はビザ相談窓口でもご相談いただけます。

まとめ・次にやること

📝 この記事のポイント整理
  1. 就労制限のない在留資格は4種類のみ(日本人の配偶者等・永住者・永住者の配偶者等・定住者)。採用前に在留カードを必ず確認すること。
  2. 海外から呼び寄せる場合は在留資格認定証明書(COE)申請が基本。採用決定から来日まで3〜5か月を見込むこと。短期滞在中の変更申請は現在受け付けていない(活動系ビザの場合)。
  3. マッサージ師・美容師などは就労ビザ取得不可。雇用できるのは就労制限のない在留資格者か、資格外活動許可を持つ外国人(週28時間以内)のみ。
  4. 技能実習生は計画認定の業務のみ従事可。計画外業務は受け入れ停止等の重大処分リスクがある。2027年4月には育成就労制度へ移行予定。
  5. 不法就労助長罪は「知らなかった」では通じない。3年以下の懲役または300万円以下の罰金。在留カードの確認・管理は義務。
🤝 ご不明な点はお気軽にご相談ください

外国人雇用に関する手続きは複雑で、在留資格の種類・業種・雇用形態によって対応が異なります。「自社のケースがどれに当たるか分からない」「申請書類を揃えたい」という場合は、専門家への相談が近道です。

※制度・運用は随時変わります。重要事項は必ず出入国在留管理庁(入管庁)の最新情報でご確認ください。

記事の監修者

Eight Links 行政書士事務所 所長
蜂須賀 昭仁

2016年9月〜
VISA専門行政書士事務所
「Eight Links 行政書士事務所」を開業
専門分野 外国人在留資格申請、帰化許可申請
外国人の在留資格申請を専門分野とし
年間500件以上の相談に対応

講師実績
広島県行政書士会国際業務協議会 担当講師
中華人民共和国遼寧省鉄嶺市(外国人会社設立・経営管理)についての講師

詳しいプロフィールを見る

運営HP
広島外国人ビザ相談センター
https://hiroshima-visa.link/
広島国際結婚&配偶者ビザ申請代行センター
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